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どうしようもないロクデナシの俺という人間がかつていたという事実

リーネやトーイが俺のことを<外れ親>と感じてそれを口にしたとして、そのことが他人に何の関係があるってんだ? その事実を受け止めなきゃいけねえのは俺だけで、他の奴らには何の関係もねえだろうが。


実際に俺の下で育った二人による評価がどんなに厳しかろうが、それは他所の親に向けてのもんじゃねえだろ。なんで無関係な赤の他人がキレる必要があるってんだ? 俺とリーネやトーイとの問題なだけだろうが。


それでリーネやトーイに対して、


『恩知らず!』


だの、


『甘えんな!』


だの、


『親の所為にするな!』


だの罵るとかわけ分かんねえよ。自分が言われたわけでもねえのによ。リーネやトーイにそう言われた時の気持ちは、俺自身の、俺だけのもんだ。無関係な赤の他人が勝手に斟酌すんじゃねえ! 


<親として向かい合うべき結果>


を、リーネやトーイを育てたわけでもない奴が横から口出しすんな。<親の責任>を親から奪うんじゃねえよ。


ましてやてめえの憂さ晴らしに利用するとか、何様だ!?


てめえの憂さ晴らしに利用するために他所様の子供を罵ってんじゃねえっての!


とまあ、こんなこと言やあ、


『他所様の子供を罵ってんのはお前も同じだろ!!』


みてえに言うんだろうけどよ。だから、


『自分が罵られたくねえなら他所様の子供を罵んじゃねえよ』


って話だっつってんだろ。


俺は他所の子供が『親ガチャに外れた!』とか言ってても、


『はあ、さいですか』


としか思わねえよ。何しろ親子の間にあることは、その親子にしか分かんねえからな。


なんてのも、<今の俺>だから思うんだけどな。前世の俺は実際に、


<親ガチャって言葉を使う他所様の子供>


を罵りまくってたしよ。今から思えば本当に恥ずかしい限りだよ。自分が<外れ親>ってゆかりに言われる心当たりがあり過ぎるから<親ガチャ>って言葉を潰そうとしてたのがよく分かる。


それを潰したところで、ゆかりにとっての俺の評価が上がるわけじゃねえってのによ……


本当に情けない親だったよ。


その事実と毎日向き合ってる。今世の俺は、前世の俺の馬鹿さ加減と最初から最後まで向き合わきゃいけないと思ってる。そうすることが<前世の記憶>なんてものを持ってる理由なんだろうさ。


でも勘違いするなよ? これは前世の俺の存在そのものを否定するためにやってることじゃない。むしろ逆だ。


『どうしようもないロクデナシの俺という人間がかつていた』


という事実を認めることで、俺が俺を受け止めるんだよ。


だってよ。前世じゃ誰も俺を看取ってくれなかったしな……


施設の職員も仕事で仕方なくそうしてただけだし……



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