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風呂に入ってる間はまあいいんだが

まあもっとも、漫画やアニメやドラマを見るってのはただの息抜きってことも多いだろうからな。世知辛い現実を突き付けられるのは嫌だってのは確かにあると思う。


けどな、だからこそ現実はそうじゃないってのを理解してもらわなきゃいけないと思うんだがな。


『現実がそうじゃないと分かってるからフィクションに夢を見るんだ!』


って言うかもしれないが。本当か? 本当に現実ってもんを分かってんのか? 分かってるつもりで実際には漫画やアニメやドラマみたいなことが起こらないかと期待してないか? 本当に現実ってもんが分かってるなら、自分に都合のいい、自分の好みに合わせた漫画やアニメやドラマばっかり作られるわけじゃないってことも分かるだろうに、前世じゃ、自分の好みに合わない漫画やアニメやドラマに文句言ってる奴がメチャクチャ目立ってた気がするんだがな。


<自分に都合のいい、自分の好みに合わせた漫画やアニメやドラマばっかり作られるわけじゃない現実>


が本当に分かってるならなんでそんなことをしてる? おかしくないか?


まあ、こっちじゃそんな夢を見ようにも漫画もアニメもドラマもないけどな。嫌でも毎日現実を見ながら暮らさなきゃいけないわけで。


だからこそ、せめて俺の傍にいる間くらいは心穏やかにいさせてやりたいじゃないか。


そんなわけで、かなり寒くなってきたものの、湯沸しのための竈に火を入れた状態で風呂に入る。これならちょっとはマシだろう。


ただ、風呂のすぐ脇にある<湯沸かし器>が設置されてる竈については、点けてると逆に危ないから点けないけどな。


熱された<湯沸かし器>にうっかり触れてしまったりってことも有り得るし。


でも、風呂に入ってる間はまあいいんだが、上がるとさすがに寒い。


「うひ~っ!」


「さむ~い!」


「う~っ!」


三人で声を上げながら家に駆け込む。家の中は、炉に火を入れたままにしてたから暖かいが、さっさと体を拭いて、服を着込む。ちなみに、炉に火を入れっぱなしにしてても家自体が隙間だらけで常時換気してるみたいなものだから、一酸化炭素中毒の心配はそれほどないだろう。


気密性が高いと逆に危ないだろうけどな。


そして、湯冷めしないうちに、作り直してふわふわになったベッドにもぐりこんで、寝る。


「あったかいです……♡」


寝るために炉に残っていた火も消してほぼ真っ暗になった家の中で、ベッドにもぐったリーネが言う。


「そうだな。あったかいな」


俺も素直に応えた。濃密な藁の匂いと弾力とトーイとリーネの体温がすごく心地好い。だからこそ幸せを実感するな。



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