頭巾ちゃんとキ〇ガイ伯爵
俺が読んだ絵本の内容は……
昔々、あるところに、お祖母さん想いの優しい少女がいました。少女はお気に入りの頭巾をいつも被っていたので、
<頭巾ちゃん>
と呼ばれていました。
頭巾ちゃんはその日、隣村に住んでいるお祖母ちゃんにママが焼いたパンを食べさせてあげたくて、一人、隣村に向かって歩いていきました。
けれど、その時、隣村に住んでいたお祖母さんは、キ〇ガイ伯爵に殺されて食べられてしまっていたのです。
そのキ〇ガイ伯爵は、贅沢な料理を食べ飽きて、自分でも料理を作って食べてみて、だけどそれさえ飽きてしまって、これまで食べたことのない珍しいものを食べたいと思い人間を料理して食べるようになって、一人暮らしだったお祖母さんを料理して自分で食べてしまったということでした。
そうとは知らず頭巾ちゃんはお祖母ちゃんの家に来たのですが、突然訪ねてきた頭巾ちゃんに慌てたキ〇ガイ伯爵はお祖母ちゃんの代わりにベッドにもぐり、入ってきた頭巾ちゃんに応対します。
「お祖母ちゃんお祖母ちゃん、どうしてそんなに手が大きくなったの?」
「それはね、あなたをしっかりと抱き締めるためよ」
「お祖母ちゃんお祖母ちゃん、どうしてそんなに声が太くなったの?」
「それはね、あなたにたくさん歌を聞かせてあげようと張り切り過ぎて喉を傷めてしまったからだよ」
「お祖母ちゃんお祖母ちゃん、どうしてそんなに大きなお口になったの?」
「それはね……お前を美味しくいただくためだよ!!」
頭巾ちゃんとお話している間に邪悪な気持ちを抑えられなくなったキ〇ガイ伯爵はついにベッドから飛び出し、頭巾ちゃんに乱暴し、その上で彼女を料理して食べてしまおうとしました。
だけどその時、
「ついに見付けたぞ、このキ〇ガイ伯爵め! 俺の女房と娘を食った報いを受けろ!!」
キ〇ガイ伯爵に女房と娘を乱暴された上に食べられてしまった猟師が踏み込んできて、矢を滅茶苦茶に放ち、キ〇ガイ伯爵と頭巾ちゃんを射殺し、そして自分の首を鉈で切り落として、みんな死んでしまったのです。
そしてキ〇ガイ伯爵は地獄に落ち、その一方で、頭巾ちゃんとお祖母ちゃん、猟師と女房と娘は天国で再会し、幸せに暮らしましたとさ。
という、およそ子供に読ませるような内容とは思えないそれだったが、まあ、この世界じゃそんなもんなんだろう。
その絵本の中の<キ〇ガイ伯爵>を<オオカミ>に差し替えて描写や設定や展開を少々いじったら、前世で見た<赤ずきんちゃん>の話になる気はするか。
とまあ、えげつないものではあるものの、寓話の類はだいたいこんな感じだから、選択の余地はないんだ。