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人里離れたところに住むデメリットの一つ

麓の村がますます安定してくると、狩人もがっつり山に入ってくるようになった。なので、リーネとトーイには果実や木の実の収集はやめてもらってる。獣と間違われて射られる危険性があるからだ。食い物はもう村で手に入るし、そんなことでリーネやトーイを喪いたくはない。


それと同時に、家の周囲に柵を設けて、人間が暮らしていることを知らせる。まあ、<柵>と言っても、人間が見れば明らかに人工物だと分かるって程度の、地面に刺した丸太に縄を括りつけて渡しただけのものだけどな。


仕事の合間にささっと済ます。そして作業中は、


「ほーい! ほーい!」


と声を上げることで、人間がこの場にいることをアピールする。こうやって自分の存在を知らせてないと、マジで獣と間違われて射殺(いころ)される事故があるんだ。人里離れたところに住むデメリットの一つだな。


自分の土地ってわけじゃないから『狩りをするな』とも言えんし。


それらは、リーネやトーイにやらせるんじゃなくて、俺がする。大人で体が大きい分、相手からも見分けがつきやすいし。


さらに、流れ弾と言うか流れ矢?が飛んでこないように、板を木に括り付けておく。前の住人もそうしていた痕跡が、家の周りにはたくさんあったんだ。


死んでから放置されたらしく朽ちてただけで。


でもまあ、猟銃なんかだとそれこそ射程が違い過ぎる上に木の板程度じゃ防げないだろうからもっと神経も使うものも、弓矢だと有効射程は精々数十メートルだってのはまだ救いだな。


戦争で使われるでかい弓矢だともっと射程も威力もあるそうだが、森の中で使う狩猟用は、取り回しが良く使いやすいことが望まれるうえに、障害物が多くて、離れたところから狙うよりいかに獲物に接近するかが大事だそうだ。


それに、距離があると矢が届く前に獲物が動く可能性が高いしな。動かない的を狙う競技としてのそれなら離れたところの的をいかに狙い撃つかってのが醍醐味にもなるだろうとしても、狩猟の場合は<格好良さ>よりも<確実に獲物を捉える信頼性>が求められるってのは自明の理なわけで。


イキってカッコつけてるだけの奴より、不格好でもしっかり獲物を捕らえてくる奴の方が有能に決まってるだろ。生活かかってんだから。


あと、人間の気配があるところは獲物も当然少ない。だから、人間が暮らしてて動物が寄り付かないところを探す手間も省けて狩人の方もありがたいしな。


完全に他人に知られずに隠れ住むなら気配をさせないだろうが、俺達はそうじゃない。


ある程度はこっちの存在を悟ってもらわなきゃいけないんだよ。



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