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赤ん坊なんてそれこそ死ぬのが当たり前

本格的に暑くなってくる前に、リーネとトーイのための暑さ対策を考えなきゃいけないが、その前に風呂を沸かしてやっぱり三人で入った。


と、風呂の湯が、かなり綺麗になっている。何度も湯を入れ替えているうちに泥になるような細かい土が洗い流されて、湯が澄んできたみたいだ。しかも、暖かくなってきたことで湯の温度をそれほど上げなくてもよくなったこととも合わせて、風呂を沸かす時間が短くて済むようになってきたんだよ。


以前は泥のおかげで体がさっぱりしてたのがなくなったものの、今度はしょっちゅうこうして風呂に入れるようになったことで、だいたいいつも体はさっぱりしてるから大丈夫だろ。別に、スポンジとかで体をゴシゴシしなくても平気なんだってことが分かってきた。


言われてみると、体をこすり過ぎると逆に防御が弱くなって皮膚病とかになるという話も聞いたことがある。こっちに来てから<アレルギー>ってのもあんまり聞かなくなったから、やっぱり、清潔にしすぎるのも問題なんだろうな。


ただそれは、もしかするとアレルギーとかがある奴はもう小さい頃にアナフィラキシーショックとかで死んで、アレルギーのない奴が生き延びてるだけって可能性もある気がする。


こっちじゃ、赤ん坊なんてそれこそ死ぬのが当たり前って部分があるからな。


俺にも、顔も知らない兄弟姉妹が何人かいたらしい。それを悼む気はさらさらなかったようだけどな、あの両親には。


だから、『清潔にし過ぎない方がいい』ってのは、それなりに成長して免疫がしっかりしてからの話なんだろう。免疫の弱い赤ん坊の内はやっぱり清潔にする必要があるんだって思う。ここの連中にはまだそういう知識がないから、全部、<運>と<弱さ>で済ますんだ。


『運のない奴、弱い奴は死んで当然』


ってな。


でも、俺はそんな風には割り切れない。自分じゃどうしようもない部分は<運>だと割り切るしかないとは思うが、自分で何とかできる範囲は努力しなきゃと思う。


そんなこんなで風呂を終え、夕食に。


しかも今日のスープは、物々交換でもらってきた野菜がたっぷり入った具だくさんのスープだ。これは食べ応えがある。


後は肉があればと思うものの、さすがにそこまでは贅沢か。今でも週に二~三回は罠にネズミやウサギが掛かってくれるから、時々食べられるんだけどな。


さらに、


「こうやって食べるものも手に入れられるようになったんだ。ケチケチせずにパンを焼いていこうか」


俺がそう言うと、


「いいですね!」


リーネも嬉しそうに言ってくれたのだった。



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