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リサ

そうして俺は、リサに癒してもらうことで仕事を頑張れた。使えねえ部下や頭の悪い上の連中の中でもちゃ~んと結果を出した。あの会社は、俺がいるからもってるようなもんだ。


でもまあ、さすがに十五万程度じゃ毎日通うのは難しくて、貯金を切り崩すことになったから、翌月からは二十万、給料から抜いて残りを生活費として渡すことにした。


身の程をわきまえて慎ましい生活すりゃ十分十分。


それでもこっちはやっぱ足りなくて、貯金を切り崩すことになったけどな。でも、リサのおかげで仕事を頑張れるんだ。それを思えば安いもんだ。


しかもリサも、親がクズで苦労してきたらしい。だから優しくしてやったら、俺に気を許してくれてよ。俺のおかげで引っ越しできた部屋に、俺も帰るようになった。


正直、壁も薄い貧相なアパートだったが、最近は物価も高いしこんなもんか。とは思いつつ、リサと一緒にいられりゃそれで大して気にならない。


だから、そっちが俺にとっては<家>になってた。リサも俺に甘えられて、毎日張り合いが出たそうだ。




だが、ちょっと荷物を取りに、名義上の<俺の家>に帰ると、知らない女がいた。若い女だ。


『誰だ?』


って思ったが、ああ、娘か。え…と、名前は……そうだ。<ゆかり>だ。


なのにゆかりは、俺を見ても挨拶さえしなかった。それどころか、ホームレスでも家に上がってきたみたいな目で俺を見やがった。


「なんだその目は? それが父親に対する態度か? 誰のおかげでこの家に住めてると思ってるんだ!? あ?」


父親として、親に対する礼儀がなってない娘を躾けてやる。なのに、ゆかりは、


「はあ!? ロクに家に金も入れない奴が何言ってんだ!? 私はお母さんが働いて稼いだお金で育ててもらってるんだよ!」


とかホザきやがったから、


「なんだその口のきき方は!!」


バーンと横っ面を張り飛ばしてやったぜ。親を尊敬もしないとか、やっぱあの女のガキだな。いくら種が良くても畑が腐ってりゃガキも腐ったのしかできねえってことか。


マジでムカつくぜ! こんな家、二度と帰るか!!


と思ったが、その後も荷物とか取りに何度か帰る羽目にはなったんだが、その度に生意気な態度を取るから、やっぱり張り飛ばしてやった。




まあそんなこんなで、俺は、リサと暮らしながら仕事に励んだんだよ。そしたらリサも、ちゃんと金を出すようになってくれてよ。リサの部屋に帰りゃ会えるから店にも行かずに済んで、また貯金もできるようになってな。


もっとも、日本脱出するには少々心許ない程度だが、リサがいりゃ別にこのままでもいいか。



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