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なに自分に酔ってんだこのオヤジ!?

しかし、子供が自分のことを見限ってからこんな話をし始めると、


『キモッ!』


『ウザッ!!』


『なに自分に酔ってんだこのオヤジ!?』


って思われるのがオチだよな。そうなる前に、そして、自分の言ったことを否定するような振る舞いはしないようにしなくちゃ、こんな話、それこそ、


『自分に酔ってる』


だけだと俺自身が思う。てか、俺の父親が酒とか飲みながらこんな話しだしたら、間違いなく、


『こいつ、俺に介護させようと思って恩を売ってきてんな?』


って余裕で思う自信がある。実際、なんだかんだと俺に恩を売ろうとしてやがった。まあ、


<介護付き看取り付き高齢者介護施設>


てのに早々に放り込んでやったから、くたばってから義理で顔出しただけだったけどよ。でもまあ、たぶん、俺がくたばった後には元女房もゆかりもリサもきっと来なかっただろうから、俺よりはまだマシな最後だったかもしれねえ。


それだけ前世の俺が<ロクデナシ>だったって証拠でもある。


そんな俺が今世でどれだけの人間になれるかなんてまったく分からねえし、まあ、報われることなんて期待しちゃいけないんだろうけどよ。なんたって、前世でゆかりに対しての<ハズレ親>っぷりは、


『娘から見捨てられた』


程度じゃチャラになるようなもんじゃねえという実感しかない。


だから俺は、『自分が報われる』ことを目指さねえ。どこまでも、


『リーネとトーイに幸せになってもらう』


ことを目指したい。俺みたいなロクデナシのクズは、それくらいでちょうどいいんじゃないかな。


と言うか、リーネとトーイが幸せになってくれたら、これ以上の<ハッピーエンド>はねえだろ。俺がどんな死に方しようがな。


それを確認しつつ、また三人で一緒のベッドに入る。


トーイはリーネに抱かれて安心した様子で眠ってる。それで俺もホッとする。その上で、


「リーネ……さっきも言ったが、思ったことは何でも俺に言ってくれたらいい。俺はそれを受け止める。俺にはそうしなきゃいけない責任があるんだ。<親>ってのはそういうもののはずなんだ。これは俺自身がそうしたいから言ってる。何も心配要らねえ。俺がやりたいことをやりたいようにしてるだけなんだ。遠慮も要らん。


愛してる。リーネ……」


まったく、『愛してる』とか、前世じゃ女房にもゆかりにも、たぶん、リサにも言った覚えがねえのに、今はこんなにすんなり口に出てくる。


数え年で十三、実年齢はたぶん十二、見た目に至っちゃ十歳にも届いてなさそうなリーネ相手に『愛してる』とか、他人が見たらさぞかし<下種な勘繰り>するだろうな。


けど、今の俺の正直な気持ちなんだよ。



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