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俺はそれを見ることは

風呂から上がった俺達は、リーネが作ってくれた野草と木の実のスープと果実とで夕食にした。肉がないのは物足りねえが、獲物がない以上はどうしようもないからな。


それに腹が膨れりゃ何とかなるしよ。


雨はそれなりに強くなってきてるとはいえ、家の中は穏やかなもんだ。外に鍋とか桶とかも並べて、雨水を貯めるようにもした。風呂の水もこの調子ならまた溜まりそうだ。晴れりゃ明日も風呂に入れるかもしれねえ。


そうして、俺達はまた三人で並んでベッドに横になる。トーイはリーネにしがみついて、胸に顔をうずめてる。まあ、うずめられるほどの胸もねえけど。ただ、甘えたいだけなんだろう。不安なんだと思う。無理もない。


それでも、しばらく経つとすうすうと寝息を立て始める。この感じで寝られるというのは大事なことだ。安心して寝られなきゃ、ストレスも溜まる。家で安心して寝られるというだけでも、かなりのストレス解消になると思うんだよな。


それで考えたら、俺は自宅でもリサの部屋でも、安心して寝られた覚えがねえ。いっつもどこかに焦ってる感じがあって、寝つきも悪いし眠りも浅かった気がする。


それもあってイライラしてたっていうのもあるんだろうな。で、イライラしてるからまた寝つきも悪くなるし眠りも浅くなるっていう悪循環だった。その悪循環を断ち切るためには、俺自身が変わる必要があったんだ。


こうしてリーネと一緒に暮らし始めてからの俺は、すごくよく眠れてる。寝起きもいい。前世とは大違いだ。こうやって俺は、前世と今世とで実地で自分の選択の結果を比較することができてる。仕事でもやるだろう? 実際に仕事をしたことのない奴には分からないかもしれないがな。


とは言え、総当たりで選択とそれがもたらす結果を確認していくには、転生するたびに記憶の引継ぎが必要ではある。それができりゃ人間は一気に生物としてのステージを駆け上がることができそうだ。


……いや、人間には無理でも、それができる可能性を前世の人間達は手に入れたか。


コンピューターだよ。人間には記憶を完全に引き継ぐことはできないが、コンピューターなら、データを丸ごと引き継いでいくこともできる。前世で運用されてたレベルのそれじゃまだまだ幼児のそれにすら敵わないかもしれないにしても、順調に進歩させていければいずれは人間の人生のすべての選択肢を総当たりでシミュレーションできる程度の情報量を蓄積できるかもしれない。


そうなったら、何が起こるかな?


人類を超越し、愚かな人類を見限る新しい存在の誕生か……?


ま、俺はそれを見ることはないだろうけどな。



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