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不思木さんの話

 



「そういえば、なんかお前不思木さんと仲良いよな」

「確かに。結構2人して話してるよなぁ」

「はい?」


 ごく普通の昼休み。

 机を合わせてお昼ご飯を囲むのは、前の席に座る上山と左の席に座る下山。


 基本的にお昼ご飯はこの2人と食べているが……不思木さんの話題が挙がったのは初めてだった。

 そもそも、こいつら視点からは仲良く見えてんのか? 明らかにおちょくられ、イジられてるだけだと思うんだけど。


「良いよなぁ。あんな可愛い子と仲良く出来て」

「俺なんて話せる自信ないわ」

「まてまて、俺だってイジられてるだけだぞ? 話のネタにされてるだけだって」


「お前分かってないな。話のネタにされるだけマシじゃねぇか」

「本当に興味がない奴は話題にも上がんねぇってんだよ」

「だけどさ……」


「ギャル4人衆で最も可愛くて人気のある不思木さんだぞ?」

「そうだそうだ。その人気侮るなよ?」


「「はぁ…………いいよなぁぁ」」


 良いのか? 本当に良いのか?

 まぁ話しできるのはいいけど、その裏には何かあるという疑いも捨てきれないんだよな。

 大体、会話中は常に手のひらで転がされ続けてるけど。


「不思木さんって中学の時からギャルだったのかな?」

「同じ中学校だった中山の話だと、中学校の時点であんな感じだったらしいぞ?」


 2組の中山か? 確か下山とは部活が一緒だったな。

 にしても……中学時代から?


「なるほど。先輩方から目つけられなかったのか?」

「数ヶ月しか経ってないのに、高校での交友の広さ見ろよ。先輩達にバカ受けだろ? しかもめちゃくちゃ可愛がられて慕われてる。あのテンションが中学時代と変わってないんだぞ? その容姿もあってかなりの人気者だったらしい」


 ……恐ろしいな。


「金髪褐色肌。たまらんな」

「なんか、金髪は地毛で、褐色肌も天然の日焼けって話は聞いたよ」


 ん? 金髪地毛? もしや不思木さんってハーフなのか? まぁいいや。地毛なら先生らも注意しないのは納得だ。

 それにしても……いまいち理解できないのが、学力なんだけど。ここってそれなりの進学校でもあるわけだろ? 俺が抱くギャルのイメージだと……ねぇ?


「まじかよ。地毛金髪はヤバいな。ハーフとか?」

「正解。お母さんがアメリカの人らしい。しかもあんな目立って人気があるのに、頭も良いらしい」


 はい?


「なるほどなぁ。話を聞くと、容姿と<不思木アリス>って名前が納得だわ。それ+頭良いとは」

「中学時代は常にクラスで3本の指に入ってたらしい」


 たしかに印象的な名前だとは思ったよ。それにしてもクラスで3本の指? ヤバいな。


「服装はともかく、地毛で日焼けの褐色肌。しかも人気も高いとなると……先生達も打つ手なしだな」

「それが、先生達とも仲良かったってよ?」

「超人かよっ!」


 ……ヤバいな? 不思木さんの中学時代の話……結構ヤバくね? 学力良し、顔良し、コミュ力良し。

 マジで非の打ち所がないのでは? 丸まるギャルのお手本のような姿以外は。


「だからな? お前はズルいんだよ! 算用子っ!」

「そうだぞ? ズルいぞ算用子!」

「えっ? あっ、その……」


 そっ、そんな目を血走らせないでくれよぉ。たっ、頼むから……


「「俺達も不思木さんとお近づきになりたいんだよっ!」」




 俺に怒りを向けないでくれぇ!!




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