立ち上がれ、堕落
梅の実が
落ちている
埃っぽい舗道に
コロコロと
ミョウガも
落ちていた
少し先の舗道に
ぼとりと
パイナップルも
落ちていた
林檎と並んで
潰れていた
米袋が
落ちていた
何かに踏まれたのか
白いはらわたをぶち撒けていた
シャドウの真ん中で
この世には
色んなものが落ちている
きっと空の上から落ちたのではなく
人間によって堕とされている
私は何も拾わない
それは卑しいことだと教わったから
何も拾わず横目で見ながら通り過ぎる
立ち上がれと念じながら
老人が
落ちている
まるで未来の私のように
舗道にうずくまっている
私は見ないふりをして通り過ぎた