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○プロローグ・Welcome To Heavens Prison

前回連載作完結からだいたい三か月。しめっぽろい展開ばかりに飽き飽きしてきたので、ここから一発カラっとしたものを描きたい、と一念発起してはじめました。

楽しんでいただければ幸いです。


 産まれてこの方、青空というものを見たことがない。昼も夜も薄暗い雲に覆われていて、いつだって蒸し暑くて湿っぽろい。

 空も暗けりゃ先行きも暗い。人口ピラミッドが逆転してもう何年になるだろう。ニュースでは毎日お前らのせいだと、大人たちにやってもないことを糾弾され、思考停止の映画やドラマの再放送が代わる代わる流される。


『この世に天国ってあると思う?』

 ボクがうんと幼い頃。手を引いて歩く母様にそう尋ねたことがある。母様は自分の纏っていたストールをボクの首に巻いてこう言った。

『あるわよ。"パンゲア(ここ)"がそう』だって。


 パンゲアは電子の海。

 パンゲアはこの世界に生きるひとたちの理想の集合体。

 はじまりはただ広大な草原と海が広がるだけだった。開拓者がそこに乗り込み、イマジネーションをはたらかせ、色んなモノを空想世界から持ち込んだ。

 パンゲアがヒトのものになって三十年。此処には街があり、国があり、険しき山々がある。恐怖と羨望から産まれたモンスターや、それを狩るハンターも。


 パンゲアに立ち入るのに許可なんていらない。意識を飛ばしてジャックインすれば、そのひと次第で何にでもなれるし、好きなことをなんでもやれる。世界を救う勇者にだって。華やいだドレスを纏うお姫様にだって。滅ぼす側の魔王にだってなってもいい。

「パンゲアは自由。なんでもあなたの好きにしていいのよ」

 あぁそうさ。口で言うだけならね。そんな話をした翌日、ボクは母様に捨てられた。


 誰にだって夢の世界さ。ボクみたいなのを除けばね。親に棄てられ、素養・・もなく、現実にも居場所がないような奴には、あんなもの天()以外の何者でもない。


 そんな訳で、この話の主はボク。流行り物嫌いの鼻つまみ者。これは落ちこぼれで社会のド底辺だったボクが、自信を得てひとり立ちするまでの物語。

 このひねくれたセカイの中で、往くべき道を示してくれた、ひとりの男の生き様の追想録。


…………

……


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