表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
野菜大戦争  作者: 黒井隼人
2/3

野菜大戦争 season2


宇宙より無数の宇宙人が地球へと飛来した。

無数の宇宙人はそれぞれ三つの艦隊となり、地球を舞台に争いを始めた。

先に訪れたのは地球を侵略しようとしてきたトマト星人。

トマト星人達は資源豊かな地球に棲む全人類をトマト化し、地球を支配下にするために地球へと侵略に来ていた。

しかし、それを快く思わなかった勢力があった。

それはトマト星と友好条約を結んでいた唐辛子星だ。

資源豊かである地球を狙っている宇宙人達は何もトマト星人だけではなかった。

友好条約を結んでいる唐辛子星人もそのうちの一つであり、トマト星人が侵略した機に乗じたのだ。

争い始めた二つの星人。その争いに乗じて漁夫の利を得ようと第三の勢力である大根星人が攻め込んでくる。

トマト星と唐辛子星。その二つの星を侵略しようとしていた大根星は地球を侵略してきた二つの勢力を撃退し、戦力をそいでそれぞれの本星を侵略しようと考えていたようだ。

三つの勢力の争いに巻き込まれた地球。その争いに対し、何も打つ手がなく、絶望していた時、突如巨大化して現れた農家の人がその手に持つクワで瞬く間に三つの勢力を収穫し、争いを止めた。

それから数年後…。

平和になった地球では穏やかな生活が続いていたのだが…。


とある畑。

そこにはキュウリやピーマン、トウモロコシなどのたくさんの夏野菜がおいしそうに実っていた。

そして例にもれずトマトも栽培されており、その実は赤く熟していた。

たくさんのトマトの内、一つのトマトがポトリと地面に落ちると、ころころと転がりだす。

少しだけ地面を転がり、その勢いがゆっくりと衰えていきピタリと止まる。

すると、モゾモゾと動き出し、突然手足が生えてトマトが立ち上がった。


「ヽ(* )ゝトゥメー!」


その声が響き渡ると共に次々と実っているトマトが落ち始め、動き始める。


「ヽ(* )ゝトゥメー」

「「「「ヽ(* )ゝトゥメー!!」」」」


トマトたちの声に呼応するように次々とトマトたちが動き始めて整列しながら歩き出す。


「(* )トゥメ!(* )トゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!」

「(* )トゥメ!(* )トゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!」


次々と増えていくトマト達。

その声に人間たちが驚きながらも取り押さえようとしたとき…。


「ヽ(* )ゝトゥメー!」


一体のトマトの蔕からケチャップが飛び出し、人間の一人にかかった。

するとその人間が苦しみだすと共に体が徐々に赤く、小さくなっていき、髪が緑色へと変わっていく。

そして…


「ヽ(* )ゝトゥメー!」


ケチャップを浴びた人間はトマトへと姿を変えてしまった。

それを見たほかの人間たちが怯んでいる隙にほかのトマト達が蔕から次々とケチャップが放たれ、人間達にかかっていく。

次々とトマトへと姿を変えていき、どんどんトマト達の数が増えていく。


「(* )トゥメ!(* )トゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!」

「(* )トゥメ!(* )トゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!」

「(* )トゥメ!(* )トゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!」


大量のトマト達が整列し、街中へと進行していく。

その事態を重く見た警察が銃を手にトマト達を制圧しに行くが…。


「ヽ(* )ゝトゥメー!」


放たれたケチャップによって警察すらもトマトへと姿を変えさせられてしまう。

警察すらも自らの勢力へと加え、どんどん勢力を拡大していく。


「ヽ(* )トゥメー!」

「ヽ(* )ゝトゥメー!」


隊長格のトマトの指示で部隊が二つに分かれ、それぞれが別々の場所へと向かっていった。



「(* )トゥメ!(* )トゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!」

「(* )トゥメ!(* )トゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!」

「(* )トゥメ!(* )トゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!」


別れた二つの内の一つ一糸乱れぬ隊列で道路を進んでいく。

途中車で来ていた人間達をトマトへと変化させ、隊列に加えていく。


「(* )トゥメ!(* )トゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!」

「(* )トゥメ!(* )トゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!」

「(* )トゥメ!(* )トゥメ!…(* )トゥメ?」


隊列の先頭にいるトマト達の先頭が緑色の集団を見つける。

その集団は縦に細長く、ところどころに棘がついているキュウリの集団だった。

キュウリ達はトマト達と同じように手足が生え、一糸乱れぬ隊列で迫ってきていた。


「(* )トゥメ!?ヽ(* )ゝトゥメー!!」


その姿を見つけたトマト達は驚くが一瞬で戦闘態勢に入る。

相手は知己の存在であるキュウリ星のキュウリ星人。

おそらくかつてトマト星人達が攻め込み、混乱に陥っている地球に自らの種を残すことで内部から地球を侵略しようとしたのであろう。

今のトマト星人が行っているように。

そしてそこまで悟ったトマト星人がもう一つの事象に行きつく。

それはキュウリ星と同盟を結んでいる星の存在だ。

そこはかつてのトマト星と大根星のように、すぐに瓦解するような同盟ではなく、互いに手を取り合い発展していく関係。

その片方が来ているということは同盟相手も来ているということだろう。


「(* )トゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!」

「ヽ(* )ゝトゥメー!」


隊列の後半にいる何体かに指示を飛ばし、別れたトマト軍へと伝言を届ける。

それを見送った後、トマト達はキュウリ星人へとおそいかかった。



同じころ別動隊のトマト達も異変に気付く。


「(* )トゥメ!?ヽ(* )ゝトゥメー!!」


隊長格の指示によって全員が一斉に足を止める。

正面に先ほどのキュウリ星人達と同じように緑色の細長い野菜、オクラ星人達が大量にこちらに向けて進軍してきていた。


「(* )トゥメ!?ヽ(* )ゝトゥメー!!」


それを視認した隊長が全員に臨戦態勢をとらせる。

臨戦態勢が整いきる頃には、オクラ星人達もトマト達に気づいたようで動きを止める。


「(* )トゥメ!?ヽ(* )ゝトゥメー!!」


お互いに睨みあい、膠着状態が続く中、後方から別動隊と共に行動していたトマト達が来る。


「ヽ(* )ゝトゥメー!」

「ヽ(* )ゝトゥメー!(* )トゥメ!(* )トゥメトゥメ!」

「(* )トゥメ!?ヽ(* )ゝトゥメー!」

「ヽ(* )ゝトゥメー!」


別動隊がキュウリ星人との戦闘を始めたことを聞き、援軍を見込めないと隊長は悟る。


「(* )トゥメ!(* )トゥメトゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!!」

「「「ヽ(* )ゝトゥメー!!」」」


激と共に指令を飛ばすと、全員が威勢のいい声と共にオクラ星人達へと襲い掛かった。

こうしてトマト星人とキュウリ星人、オクラ星人同盟の地球を取り合った戦いが始まるのであった。



トマト星人達の戦いは徐々に激しさを増していく。

トマト星人がケチャップを放ち、キュウリを次々とトマトへと変えていく。

少しずつキュウリが劣勢に追い込まれていく中、二本のキュウリが前線へと躍り出る。

それぞれは他のキュウリとは違った風貌だった。

片方はところどころ縦に線を引くように皮をむかれており、もう片方はところどころに糠が張り付いている。

トマト部隊の隊長はその姿を見た瞬間、噂で聞いた二本のキュウリの存在を思い出す。

それはとてつもない強さを誇るといわれているキュウリ星最強の二本。

己が身を犠牲にしつつ、特殊な環境に自らを置くことで本来行くことのできない境地へと達した存在。

自らの皮をむき、塩気のある水の中に身を置き、心身を鍛えた『浅漬けキュウリ』。

そして光を通さぬ大量の糠の中に全身を沈め、暗闇の中でその実を鍛え『糠漬けキュウリ』。

互いに厳しい状況に耐えしのぐ事によって至ることができる境地に到達した存在。

その強さはまさに一騎当千であり、並みの兵士ではまさに葉が立たない。

それを証明するかのごとく、二本が前線戦い始めると、先ほどまでの優勢が一気に崩れていく。


「(* )トゥメ!(* )トゥメトゥメ!」


隊長の指示によって前線で戦っているトマト達が左右に分かれ始める。

二本のキュウリを取り囲むようにトマト達が移動しようとするが、それを防ごうと左右に分かれてキュウリが迎撃しようとする。


「(* )トゥメ!(* )トゥメトゥメ!」


しかし、それを防ぐように他のトマトがキュウリに襲い掛かる。

そのトマト達の攻撃もキュウリはあっさりといなし、迎撃していく。

糠漬けキュウリの糠によってトマト達の動きが止められ、浅漬けキュウリが素早い動きでトマト達をつぶしていく。

しかし、その間にもトマト達は動いていき、二本のキュウリを取り囲んだ。


「(* )トゥメ!(* )トゥメトゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!!」


隊長の指示と共に取り囲んだトマト達が一斉に襲い掛かる。

糠に足を取られ、動けなくなったトマト達を踏み台に、後方から迫っていくトマト達が飛びついていく。

そして遠距離からケチャップを放ち、キュウリ二本を自らの軍勢に加えようと画策するが、それらを回避しながらキュウリ達は迎撃を続けていた。

その間にもほかのキュウリ星人達も襲い掛かってくるが、それらはすべてケチャップによってトマトへと変貌させられていた。


「(* )トゥメ…(* )トゥメ!」


いささか戦況が膠着状態に陥り、その間に別動隊のトマト星人達のことを思うのであった。



そのころ、別動隊では…


「(* )トゥメ!(* )トゥメトゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!!」

「「「ヽ(* )ゝトゥメー!!」」」


隊長の指示によってトマト達が一斉にオクラ星人達へと襲い掛かる。

トマト達のケチャップとオクラ達の粘りが放たれ、空中を二つの液体が飛び交う。

ケチャップを浴びたオクラがトマトへと変貌するがそれらはすぐに粘りにからめとられ、動きを封じられてしまう。


「(* )トゥメ…(* )トゥメトゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!!」

「ヽ(* )ゝトゥメー!!」


粘りによってからめとられ、動きが止まったトマト達を踏み台に、何個かのトマトが上に乗っかる。

上に乗ったトマト達がケチャップを放つが、オクラ達も大量に粘りを放ってケチャップを迎撃、そのままトマトへと粘りをかけて動きを止める。

しかし、固まったトマト達のさらに上に別のトマト達が乗り、徐々にトマトによる壁が出来上がっていく。


「(* )トゥメ!(* )トゥメトゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!!」


隊長の指示でどんどんトマトの壁が出来上がっていく。

粘りがトマトの蔕の部分にもかかり、ケチャップの噴出を抑えるが、それでも数が多いトマトを倒しきるには至らない。

それに加え、そびえるトマトの壁によってオクラ達の進行が完全に止められ、こちらも拮抗状態となってしまう。

そんな時…


「(* )トゥメ!(* )トゥメトゥメ!(* )トゥメー!!」

「(* )トゥメ!?」


トマトの壁の一番上にいるトマトから何やらオクラ星人達の後方が騒がしいと報告を受ける。

その報告を受け、隊長が一番上に上り、はるか先を見据えると、そこには驚きの光景があった。


「(* )トゥ…トゥメ!?(* )トゥメトゥメ!!」


その光景とはオクラ達が複数人の農家によって収穫されていく様だった。

かつて、トマト達が地球に侵略してきた際に現れた巨大な農家。

その農家によってなすすべもなく収穫された苦い思い出がよみがえる。


「(* )トゥメ!(* )トゥメトゥメ!ヽ(* )ゝトゥメー!!」


即座に撤退を呼びかけるが、オクラの粘りによってその撤退が妨げられてしまう。


「(* )トゥメ!?(* )トゥメトゥメ!!」


突然のことにパニックになっている間にも農家はすさまじい速度で収穫しながらトマト達へと迫っていく。

そしてトマトの壁へと到達した瞬間…。


「(* )トゥメーーーー!!」


トマトの壁が一瞬で瓦解し、すべてが籠の中へと入っていく。

そのまま一気にトマト達を収穫しつつ突き進んでいき…。


「(* )トゥメ…!(* )トゥメトゥメ!(* )トゥメトゥメトゥメ!!」


最後に残った隊長へと農家の手が伸ばされ…。


「(* )トゥメーーーー!!!」


隊長すらも農家によって収穫されてしまった。

そしてすべてのオクラとトマトを収穫した農家達はそのまま突き進んでいく。

すると先ほどトマト達が二手に分かれた場所へと到着する。

そこではもう片方の道からも同じく農家の人達が走ってきており、その手にある籠にはトマトとキュウリが入れられていた。

合流した農家達がうなずき、近くの家へと入っていく。

そこには調理の準備をしている料理人が何人かおり、農家の人達から野菜が入った籠を受け取る。

そして素早く籠からオクラを出して筋の部分を切り、オクラの下ごしらえを済ませてからお湯の中に入れて落し蓋をしてから茹で始める。

その間に大きめのボールに氷と水を入れ、二分ほど経過したときに素早くオクラをざる上げし、ボールの中に入れて冷やし始める。

ちゃんと冷えたオクラを取り出し、輪切りにしてからその間に別の人が洗ったトマトとキュウリを一口サイズに切っていく。

切り終えた野菜達をボールに入れていき、ある程度の量になったら別の人へと手渡す。

ボールを受け取った人はボールの中にごま油、めんつゆ、鰹節を入れて味付けし、そのまま冷蔵庫へと入れていく。

そうやって次々と調理を済ませていき、最終的にはすべての野菜を調理し終える。

そのころには最初に入れたボールが十分に冷えており、収穫してきた農家達に『トマト・キュウリ・オクラの和え物』がふるまわれる。

農家の人達は出された和え物をツマミにビールを飲み始め、ワイワイとにぎやかに食べ始めた。

そして残っているサラダも被害に遭った人たちにふるまわれ、すべて残さず食べ終える。


こうして二度目となるトマト星人をはじめとする野菜達の地球侵略は防がれるのであった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ