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巧血の乙女は宇宙をも救う  ~現世に転生し少女、血でしたためる漢字にて宇宙人を殲滅するんです~  作者: 功野 涼し
潜る!潜る!

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潜るもの2匹目

 エーヴァとビルの上を跳び移動しながらシュナイダーの元へ向かっている途中逃げ惑う人々の集団とすれ違う。


 遠くからでも分かる恐怖に支配された表情が今起きているゆれが地震ではないことを確信させてくれる。

 その集団の後方にいた恐怖に顔をひきつらせた女性が突然地面に消える。

 さっきまでいた場所には人が入れるくらいの穴が空いているのが見える。


「エーヴァ、先行ってて! 下になんかいるかもしれないから確認してくる。後で追うから」


「ああ分かった。こっちはイヌコロと片付けておくぞ」


 エーヴァはビルの屋上を蹴って隣のビルに移って移動して行く。小さくなっていく背中を見送りビルの上から飛び降りる。

 ビルの壁を蹴ってスピードを殺しながら地面に降りると先ほど女性が消えた場所を確認する。


 地面に空いている穴は大きな人が這って進めるくらいの大きさで地中深くに続いている。地盤沈下や道路の崩落ではなく何かが通った跡に見える。


「ふむぅ~宮西くんならこの穴とかで何者か分かっちゃいそうだけど私には分からないなあ。どうしよう水を流したら出てくるかもしれないけど女の人が連れていかれてるから無理だし。ん? なんだろこの音?」


 穴の奥から聞こえるジーーーーッって音。耳を更に集中させ音を拾う。

 なんとなんく遠ざかっているような気がする。

 試しに音のする方へ向かって進むと僅かに音が大きくなる。それに時々止まったりする音がもし穴の主のものだとしたら。そう考えた私は音がする方へ向かって進んでいく。


 少し進んだときキッ!! っと一台の自転車がブレーキをかけ私から少し離れたところに止まる。


「鞘野さん!!」


「え? なんで宮西くん来たの?」


 息を切らして手を振る宮西くんの登場に私は驚くと同時に少し怒りが湧く。なにも知らない人ならまだしも知ってて危険な場所に突っ込んでくることがどんなに危ないことなのかをこの子は知らないのかと。

 そんな私の気を知らず笑顔で手を振る宮西くんに文句を言おうと思ったとき地面が僅かに揺れ何かが下から向かってくる。

 私は全力で走り自転車に乗る宮西くんを抱き抱え音のする方から遠ざかる。宮西くんの乗って来た自転車が地下から出てきた褐色の太い爪のついた腕だろうか穴を掘るのに適したそれは自転車を押し潰す。


「あ、あの、さ、鞘野さん」


「なに? あんまり暴れないでくれる」


 宮西くんを抱き抱えたままの状態、世間でいうお姫様だっこした状態の私は目の前の敵に集中したいのと宮西くんに対し怒っているので少しきつめに返事する。


 その間にも押し潰された自転車は地面の穴に吸い込まれてしまうと直ぐに吐き出される。

 そして穴を突き破ってアスファルトを巻き上げ穴から飛び出してくるその物体は上半身を褐色な外郭で覆い大きく発達した腕に背中に羽、4本の足を地面につけ複眼で私を睨む。


「なにあれ? ウージャス?」


「あ、あれはオケラだよ! オケラってね基本地中に住んでいるんだけど泳げるし飛べるし足も結構速いんだよ! あ、そうそうオケラって俗称でね本当はケラって呼ぶのが正しくてね。昔はよくいたけど近年は田んぼの減少なんかもあって個体数が減ってきているんだ。それからね──」


「もう分かった! であのオケラとやらの弱点は?」


 宮西くんの話を遮る。だってオケラが突っ込んでくるんだもん。宮西くんを抱え避けた私は回答を待つ。


「オケラは代謝が激しいから飢餓に弱くて食べ続けないと死ぬんだ。ほかには……水を好むから乾燥に弱いよ」


 飢餓は今すぐ出来るものではないしあまり現実的な戦法はとれないかもしれない。となると乾燥になるわけだが火で乾かせばいいかな?


「とりあえずありがとう。早く逃げて」


 宮西くんを降ろしオケラの動きに注視する。


「鞘野さんこれ。定規を使うのが得意なんだよね」


 宮西くんが鞄に刺さっていた1メートルの竹定規を引き抜き渡してくる。


「ありがとう。でも私定規使いって訳じゃないよぉって!?」


 悪いけど宮西くん蹴って横に吹き飛ばしオケラの攻撃を避けると小さなナイフを取りだし自分の腕を切り溢れだした血を筆で掬う。

 素早く『刃』を描き魔方陣を蹴ると風の刃がオケラを襲うが太くごつい爪で受け止められ、掻き消される。


 その間に『剣』を描き1メートル竹定規を通すと鋭くなったそれを振るう。


「こいつ素早い」


 オケラに私の剣をことごとく爪で受け止められきっちり反撃してくる。剣と爪が何度かぶつかりあったとき私の剣が爪に挟まれとらえられてしまう。そして捻られるとすぐにベキッと音がして定規が折れる。


「ごめん宮西くん折れちゃった」


 定規を投げ捨てオケラの懐にはいると顔面を殴る。


「堅っ!?」


 予想以上の堅さに驚くと同時に爪を交差し振り下ろしてくるそれを後ろに下がって避ける。

 このオケラ2足歩行とかしてくれたら腹に攻撃出来るんだけどコイツは律儀に昆虫のままの形態で攻撃してくるからやりづらい。


 回り込もうとするとカサカサと4本の足で素早く旋回するし常に正面に爪を持ってくるようにしている。体長も2メートルぐらいで素早く動くので的も絞りにくい。


 突然オケラが薄い羽を大きく広げると羽ばたき始め4本の足で地面を蹴り突進してくる。飛んでいるわけではないが羽の生み出す浮遊力を推進力に変え足の進む力をアシストをする。


 とっさに避けようとするが突進の軌道上に宮西くんがいることに気づいた私は目の前に『盾』を描き受け止めるが大きく吹き飛ばされる。


 そのまま宮西くんの悲痛な声を聞きながら近くのビルにガラスを撒き散らし突っ込んでしまう。

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