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巧血の乙女は宇宙をも救う  ~現世に転生し少女、血でしたためる漢字にて宇宙人を殲滅するんです~  作者: 功野 涼し
貪欲に奴らはやってくる

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慎重に生きる者

 私たちの前に現れた、私のおじいちゃん哲夫(てつお)。64歳のちょっとお腹が出てて、白髪と口髭が特徴だ。

 ウージャスから逃げていたのであろうか、作業着は汚れ、手には鉄の棒を握っている。


 私たちの戦う様子、そしてまたしても、シュナイダーが私を詩と呼んだせいでバレそうになっている。


「あんたら何者だ? それに詩って言っておったろ、そこの犬が……犬!? いやまてお主周作(しゅうさく)のところの犬……あ~なんじゃったかの、シュ、シュナウザー」


 シュナウザーは犬種だよおじいちゃんと言いたいのをこらえる私に、クーンと鳴いて、つぶらな瞳でパチパチし誤魔化そうとするシュナイダーだがもう遅い。


「あたしは帰るわ」


 そう言って帰ろうとするエーヴァの襟を掴んで引き留める。


「待ってよ。この場をどうにか納めてよ」


「あぁっ? なんであたしが納めなきゃいけねえんだよ!」


 小声で言い合う2人をおじいちゃんはじっと見た後、手に持っていた棒を近くのテーブルに置くと椅子にドカッと勢いよく座る。

 私たち3人はおじいちゃんが何を言うか注目する。


「ふぅ~疲れたわい。死ぬかと思ったわ」


 作業着の袖で額の汗を拭うと、私らをチラッと見て話し始める。


「パソコン打っとたら、突然でっかいゴキブリがバットを持って窓ガラスを割って入って来てのう、とっさに裏から逃げて隣にある工場に逃げ込んだんじゃ。

 して、そこの倉庫に身を潜め外の様子を窺っておったら、お主らが来てそのでっかいゴキブリを倒したというわけじゃ」


 おじいちゃんは両目を瞑って肩をトントン叩たいていたが、片目を開き私を見る。


「可愛らしいお嬢ちゃんは見たことないし、犬はなんとなく覚えとるぐらいじゃが、可愛い孫はそうそうに間違えんと思うがの。

 いくらボケてきてると言われても、そこだけは自信があるわい。そういうわけじゃ詩、説明してくれんかの?」


 色んな考えがぐるぐる回る。このまま逃げちゃおうか? 適当に誤魔化せないかな? などなど。


 私は仮面に手をかけると、そっと外す。おじいちゃんは私の顔を見てちょっとだけ眉を動かすが、いつも私を見る優しい顔で見てくる。


「このことは、周作と里子さんは知っておるのか?」


 私が首を横に振ると、少し困った顔をしたものの責めたりはせず、


「詳しい話が聞きたいのう」


 とだけ言う。私は正直に話す。信じてくれるくれないは分からないけど、ここで嘘をついても仕方がないと前世の話から全部。

 静かに聞くおじいちゃんは、私の話が終わってもしばらく黙っていたが、自分の考えも整理しながら言葉を選ぶように、ゆっくり話し始める。


「詩が昔誰だったか、それはわしも前は違う人間だった、いや人間でもなかったのかも知れないということじゃな。

 つまり前世はなんであれ、今の詩はわしの孫であることに変わりはないのじゃろう?」


 大きく息を吐くとおじいちゃんは、私を真っ直ぐ見てくる。


「詩、さっきの話じゃともう戦いたくない、その思いで生まれ変わったのじゃろう? 今やっていることは全くの逆じゃがよいのかの?」


 そう、前世でエレノアだったときの生き方と全く違う生き方をしたくて転生したのに、今の生き方は前世とあまり変わらないことをしている。なんとなくは自覚していたけど、おじいちゃんに言われ改めて考えさせられる。


 この生き方で良いのだろうか? 私がここで宇宙人を数体倒したところでなんになるんだろうか? そんなことも考えてしまう。でもほんの少しでも誰かを何かを救えるのなら私は戦いたいそう思う。

 その気持ちを伝える為に、ゆっくりと言葉を選び思っていることを伝える。


「私が……私のこの力を使って何かを救う、それが出来るのなら私はやりたいと思う。全部を救う、それこそ世界を救うなんてことは出来ないけど、それでも私は戦うよ」


 じっと聞いていたおじいちゃんが静かに口を開く。


「正直、わしは詩が戦うのは反対じゃ。だが今の戦いを見ていたら詩の力は今の世に必要なのじゃろうな。ふ~む、本当は周作には話さにゃいけんのじゃろうがのう」


 少し悩んでおじいちゃんはパンッと両手で太ももを叩く。


「どれ、可愛い孫が戦っているわけじゃ。少しくらい手助けせんわけにはいかんじゃろ」


「え? 手助け?」


「そうじゃ」


 私たち3人はおじいちゃんの言葉に驚くが、とうの本人はなにかを決意したようで少し楽しそうにも見える。



 * * *



「というわけでおじいちゃんからここを拠点にしてもいいと、場所の提供がされました」


 私は美心、宮西くん、シュナイダー、エーヴァに小さな工房の中を案内する。

 宮西くんは目を輝かせ工房の中を見て回る。美心はレイアウトを考えているのか、うろうろしながら棚やらのサイズを確認している。


 エーヴァは窓際に椅子を持ってきて座り、外を眺めている。自分の場所を作ろうとしているっぽい。シュナイダーは端に座り部屋全体を眺めている。

 各自、好きに過ごしていると、工房のドアが開きおじいちゃんが入ってくる。みんなが集まり、自己紹介も終わったところでおじいちゃんが話し始める。


「もう使わん工房じゃ、わしが趣味で使っておってな電気も通っておるしネットも使えるようにしておる。ここを自由に使ってよいぞ。

 それとじゃ、詩とエーヴァちゃんじゃったな。2人には何かしら戦うための武器があった方がいいのじゃろう? 

 法律の問題もあるからすべてが希望通りとはいかんじゃろうが、コッソリ作るから希望を聞かせてほしいのう」


 なんとも衝撃的な発言。まさかの武器取得フラグ!?



 * * *



 下水道の奥でトゲのあるウージャスは、1体の鎧のウージャスの頭に手を突き刺し何やら思考する。

 戻ってきたウージャスの情報を得て彼は考える、この敵に対抗する手段を……

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