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巧血の乙女は宇宙をも救う  ~現世に転生し少女、血でしたためる漢字にて宇宙人を殲滅するんです~  作者: 功野 涼し
貪欲に奴らはやってくる

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み、見られてた!?

 シュナイダーを先頭にして人混みを避け走ると、繁華街の町並みは、小さな町工場がところ狭しと並んだ場所へと変わっていく。

 警察が出動したのは繁華街の方だけなのか、こっちに姿は見当たらない。


 この辺りは確かおじいちゃんの工場がある場所。

 夜も遅いし、おじいちゃんがいるわけないと思ったが、進むにつれ見慣れた風景になっていくことに不安が大きくなる。


「詩、少し速度が上がっている。隊列を崩すな」


「ごめん、この辺おじいちゃんの仕事場があるからちょっと焦った」


 エーヴァに言われ少し焦っていた自分に気付く。前世だと一族みんな強かったし、戦いの最中死ぬのは珍しいことじゃなかったけど、今の家族は違う。

 記憶を引き継いで変わらない自分がいたと思っていたが、違う自分がいたことにも、気が付く。


「おい、シュナイダー。襲われているヤツがいたら、あたしとお前が先行でいくぞ。助けられなかったらあたしらのせいだ。気合い入れていけよ」


「ああ、了解した」


 少し考え込んでいた私は、エーヴァとシュナイダーの会話に思いやりを感じる


「なにか燃えた匂いに混ざって、さっきと同じ匂いがする。たぶんヤツだ」


「んじゃあ、あたしが右だ、シュナイダー左な。詩は後からこい!」


 私を置いて2人が左右に別れると、エーヴァが窓を突き破り、建物の中へ侵入する。時間差でシュナイダーが反対側の窓を割り中へ入る。

 その建物がおじいちゃんの工場とは違うことに少しホッとして、正面から侵入するため建物の前に立つと、中では2人が既にウージャスと戦っている。


 エーヴァがウージャスを蹴るが、その足を上2本の手に持ったバットで受け止め防ぐと、真ん中の手に持つ鉄の棒でシュナイダーに応戦する。

 手助けに入ろうとしたそのとき、不穏な空気を察知し、その場から飛び退く。


 さっきまで私がいた場所に、振り下ろされた鉄の棒がアスファルト叩く鈍い音が響く。


「2、3……4匹か」


 地面に降りてきたのが2匹、屋根の上にいる2匹は様子を伺っている。私を囲むそいつらは全員が4本の手に棒状の物を装備している。

 そういや最初のカナブンも棒を持ってきたっけ。

 それにさっきまでウージャスと違い前面に甲冑みたいなパーツが付いていて胸部、腹部を保護して鎧みたいに見える。


 中にいるのも含めて5匹、便宜上A~Eの名を与えよう。多分途中で分からなくなるけど。


 Aが中にいるヤツってことで地上にいるB、Cに駆け、間合いを詰め剣を振り上げる。


 その剣先は鎧部分に少し食い込むが、切ることは出来ずに反れてしまう。

 そのまま体を捻り腹部を蹴って間合いを放すと、もうCが4本の棒を振り上げ向かって来るので、素早く描いた『弾』で『風弾(かざだま)』を放ち対抗する。


 胸部に風弾を受けよろめくCに剣を振り下ろす。ウージャスは、身を反らして避けようとするけど、剣先はギリギリ右目を切り裂く。

 さらに上空から襲いかかってくるDとE。工場の窓ガラスが割れシュナイダー飛び出して来るとD……もうどれか分からないや。


 シュナイダーが飛び出してきて、一匹のウージャスの腕に噛みつくき、そのまま押し倒し、地面に背中を叩きつけると、自分は口を開け飛んで空中に着地する。

 宙でグッと身を屈め、後ろ足で勢いよく宙を蹴ると倒れているウージャスの前面の鎧にタックルをして、再び空中に着地。それを何度も何度も繰り返す。


「『風脚風打』!!」


 叫ぶシュナイダーの連続のタックルに鎧は砕けないが、地面に挟まれ何度も打ち付けられる衝撃に体はダメージ受け手足、顔面を、潰されウージャスは痙攣している。

 その上に着地した瞬間、シュナイダーは体全身を燃やし炎を纏い、足元のウージャスを燃やすと蹴って前方に炎の赤い線を引き、別のウージャスに炎の塊としてぶつかる。


 炎の塊は止まることなく、壁にぶつかり炎が弾ける。ぶつかったまま炎は火柱を上げ勢いを増して燃え盛る。

 火柱の中でおそらく、シュナイダーはウージャスを押さえつけ焼き殺しているものと思われる。

 地面に転がり蹴られたウージャスをよく見ると、鎧のない部分を切り裂かれしっかり内部も焼かれている。どうやら蹴った瞬間に風の刃で切り裂いたようだ。抜かりのないワンちゃんである。


 私は片目を切ったウージャスが振りかぶる4本の棒を、回転しながら避け移動し、背中に回るとそのまま逆手で剣を後ろの首筋に突き立てる。


 ベキンッ! と音を立て剣が折れる。まあ元が直尺だから仕方ないのかもしれないけど、武器が壊れるのは嫌なものだ。

 そのまま飛んで両足で蹴る、いわゆるドロップキックを放ち、勢いよく燃えているシュナイダーの火柱に突っ込ませる。


 もう一体が棒を横に振り攻撃してくるのを避け、建物の中に入るとエーヴァが、最初にいたウージャスの頭をバールで殴り、壁に蹴りとばすとそのまま突っ込みバールの先端を体に突き立てたところだった。

 エーヴァが手を離し、後ろに下がったところを私が『雷弾』を撃ち、電流が流れ痺れるウージャスに『レクイエム』が鳴り響く。


 私を襲ってきたウージャスも建物の中に飛び込んでくる。そいつにエーヴァが近くにあった長い棒を持ってフルスイングする。

 それは先端が大きく曲がっている、たしかそれは火掻き棒、おじいちゃんに聞いたことがある。

 火掻き棒の先端が衝撃で更に曲がり弓なりになる。


「エーヴァ!」


 私が声を出し手を上げると、エーヴァが曲がった火掻き棒を私に投げる。宙に漢字『刃』を描く私は、魔方陣に受け取った火掻き棒を通すと、曲がった先端に風が纏い始め刃となる。それをそのままエーヴァに投げ返す。


「3回くらいしか使えないから気を付けて!」


「それだけあれば十分だ!」


 エーヴァがキャッチした火掻き棒を真横に振るい、軌跡が走るとウージャスの鎧の隙間から真っ二つに切れる。そのまま先端を宙に浮かぶ上半身の頭に振り下ろす。

 先端を突き刺し地面に叩きつけ、床に縫い付けると演奏を始める。激しく痙攣した後、動かなくなるウージャス。


「一回余ったな」


 そう言って火掻き棒を振り回すエーヴァ。


「なんか死神みたいね、無駄に似合ってるわぁ~」


「そうか? 意外にこの形状も使いやすいぜ。体が小さくなった分、大剣よりも良いかもな」


 満更でもなさそうに先端が大きく曲がり大鎌のようになった火掻き棒を持つ銀髪の少女は、どこからどう見ても死神にしか見えない。


 ちょうどそのとき窓からシュナイダーが入ってくる。


「こっちも終わったぞ! 今の技、さっき思い付いたからまだ名前を決めていないのだが。詩、エーヴァオレと一緒に名前を決めるために裸の付き合いをすればっ!?」


「おっと後一回残っていたのはこういうことか」


 エーヴァの死神の鎌がシュナイダーの喉元に突き立てられる。


「やっちゃえ、エーヴァ!」


 応援する私の前方のドアがゆっくり開き、私たちの前に現れる一人の老人。


 っていうかおじいちゃん!?


「お前たちは一体……それにさっき詩といっておらんかったか……」


 猫の仮面をかぶる私を指差す、突如現れた人物に3人は固まってしまう。

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