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巧血の乙女は宇宙をも救う  ~現世に転生し少女、血でしたためる漢字にて宇宙人を殲滅するんです~  作者: 功野 涼し
新たな衣装と忍び寄るメガネ

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転生者も色々

「ふ~泣いたらスッキリ! いやあ、まさか衣装決めで泣くとは思わなかった」


 私は目を擦りながら笑うともらい泣きしたのか少し涙目の美心がしんみりと語る。


「魔法とか使えると楽しいかと思ったけど大変なんだね。しかも腕切って戦うとかよく考えたら自己犠牲もいいとこだよね」


「め、女神や! 美心あんた女神やわ! 私をそんな風に言ってくれたの美心だけ」


 涙目ですがり付く私の頭を撫でてくれる美心に忠誠を誓う。


「美心の為ならバシャバシャ血を流してみせる! 私の血で敵を血祭りに上げてみせるから! 美心が作ってくれた衣装を真っ赤に染めてみせるよ!」


「え、えぇっと。気持ちは嬉しいけどそこまで血祭りを開催しなくてもいいかなぁと」


 私の決意に少し押される美心。遠慮しなくてもいいのに。なんて無欲な人なんだろう。


「えっと詩それでさ肝心のお面なんだけど。デザインは出来るけど形にするのが難しいんだ。覆面みたいなのは縫えるけど」


「お面かぁ。顔を隠すのって意外に難しいよね。おじいちゃんに鉄を叩いてもらう訳にもいかないし」


「詩のおじいちゃんって鉄の加工をやってるんだよね」


「小さな町工場(まちこうば)だけどね」


 ここでおじいちゃんの紹介。私のおじいちゃん鞘野哲夫(さやのてつお)はこの曙町で町工場を営んでおり板金とか鉄を加工する仕事をしている。因みにパパのパパってことなんでこちらも私にあまあまである。

 私が戦っていることを知らないおじいちゃんにお面を作ってもらうわけにもいかないし、そもそも鉄でお面は難しいかも。


「詩、お面のデザインだけどさ、やっぱ巫女服路線でいくなら狐かな? それならネットとかでも売ってるのは売ってるんだけど」


 美心がスマホでネットのサイトを見せてくれる。


「でもさぁ折角だからお面もオリジナルがいいよねぇ。お面次第では千早の柄も考えたいんだけど」


 私にスマホの画面を見せながら呟く美心。真剣に悩んでいるあたり妥協する気はなさそうだ。


「思ったんだけど、突発的な戦闘のときは着替えれないんだけど」


「あーんそこなんだよねぇ。詩なんか収納魔法とか関知魔法とか便利なのないの?」


「ないよそんなの。魔法って言っても攻撃的なものしかほぼないし」


 よくゲームであるアイテム収納とかどんな仕組みだよって思う。あったら便利だろうけど前世における私たちの力は魔力という力を物事に乗せて強化や加速させるだけのもの。

 実に攻撃的なものである。


「そっかぁ無い物ねだりしても仕方ないし私は衣装を縫おうっと。じゃこの巫女さん路線でいくけど良い?」


「うん」


 この後袖の長さをどうするかとか、筆を入れる場所やナイフを隠す場所が欲しいとか服のデザインとは思えない話し合いをして美心と別れる。

 帰り際凄く嬉しそうに「頑張るから!」と言う美心に「徹夜とかしないでね」と答えたがそれに返事はしたけどあれは聞いちゃいない。

 絶対徹夜するなと確信をもって見送る。


 そんな1日を日記に書くため思考する私はペンを走らせながら思う。

 昔の自分はどこか相手を守ってやっている。そんな気持ちがあったのではないかと。

 女神シルマは力も記憶を持ち越さず転生する人が多かったと言った。それは1人の人間として人生を終えた証なのではないだろうか。

 私みたいに前世と現世の比較をして幸せを感じたいって、それは未練があるからに他ならない気がする。


「あ~未練たらたらってことかぁー。地縛霊みたいなもんじゃん」


 椅子に背を付け体重をかけて上を向く。今の自分を冷静に考えて前世のやり直しというか比較して優越感に浸りたいだけなのかも。


「うたーご飯出来たわよ」


 下からママが呼ぶ声がする。


「はーーい」


 返事をして部屋から出る私は呟く。


「未練がましくてもいいじゃん。現にそのお陰で今戦えてるんだし」


 私はこの日常を守りたい。



 * * *



[今日もお綺麗ですね]


[お上手ね。あなたからは他にないワイルドな魅力を感じるわ]


[ええそうでしょう。私は3年ほど山で生活をしていましたから。生きるか死ぬかそんな生活をしていました]


[まあ! だからそんなにもたくましいのね。この辺りにいる男どもとは違うわけね]


[すいません。飼い主が先を急ぐようなのでこれで失礼いたします。ではまた]


 背を向け去っていく赤い毛並みの犬の背を見て彼女は熱い視線を送りながらため息混じりに呟く。


[なんてカッコいい方なの。早く明日の散歩の時間にならないかしら。私も彼に会うために散歩コースを変えて欲しいわ]


 詩の母、里子にリードを引っ張られシュナイダーは歩く。


「シュナイダー三輪さん家のマロンちゃんとなに話してたの?」


 ワフワフと答えるシュナイダーに里子は笑顔を返し散歩を続ける。

 しばらく歩くと「大きな犬ですね!」と女子中学生たちに声をかけられワシワシ触られ満面の表情のシュナイダーは1人の女の子の顔を舐める。

 きゃーきゃー言って舐められたことを楽しそうに騒ぐ女子中学生たちを眺めながら


(ふむ、よい味だ)


 味を堪能する。


[シュナイダーさん、シュナイダーさん]


 どこからかにゃーにゃー声がするので視線を上に移すと塀の上に黒い猫がいる。


巳之助(みのすけ)か、どうした?]


[シュナイダーさんに伝言です。最近下水道が騒がしいと]


[そうか、すまないな。また何かあったら知らせてくれ]


[お任せください]


 黒猫の巳之助はサッと身を翻し塀を歩いて何処かへと去っていく。


「なに今の!? 犬と猫が話してなかった?」


「だよね! そう見えたよね!」


 シュナイダーと巳之助がワンワン、にゃーにゃー話すのを見て女子中学生たちが騒いでシュナイダーを撫でる手をベロベロ舐めるシュナイダーはご満悦で散歩を終えるのだった。

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