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第四話 オーガなんて怖くなーい♪

 迫りくるオーガに対して何もしないわけにはいきません。

 侍女さんは車の屋根に足をかけてスカートをまくり上げ、太もものホルスターに仕込んだ投げ針を掴みます。

 不謹慎ですが……ふぅ、とってもセクシーです。


「ハアッ!!」


 侍女さんの投げ放った針はオーガの胸に直撃しました。

 ですが、まるで鋼を打ったかのように針は弾き飛ばされるだけで、足を止めることすらかないません。


「チイッ! お嬢様をどうか安全なところに!

 私が時間を稼ぎます!!」

「ダメよ! あんなのと戦ったらお前が死ぬことになるわ!」

「お嬢様! このままだと追いつかれて全滅です!

 お放しください!!」


 自ら囮になろうとする侍女さんをアクヤちゃんはしがみついて止めています。

 そうしているうちにもオーガは近づいてきて、もうすぐ手が届いてしまいそうです。


「お嬢様ぁっ!! あなた様にもしものことがあれば私は生きていけません!!

 どうか誇りある死を私に賜らせてくださいまし!!」

「いやだ! いやだ! いやだよおお!!」

「くっ……ご無礼仕る!!」


 侍女さんが気絶させようとアクヤちゃんの首に手刀を振り下ろそうとしますが――――


「あのー、侍女さんじゃなくて私が戦いますよ。

 一応、護衛ですし」


 侍女さんの手首をつかんだまま私は言いました。

 すると3人ともきょとん、とした顔をしています。

 何言ってんだ、コイツ? とでも思ってるんでしょうか。

 心外ですね。


「き、キサラ! 駄目よ!

 いくら貧乏人で追放されたからといって自棄はよくないわ!

 なんの取り柄もないあなたの未来に夢も希望もないからって自ら命を絶ってはいけないわ!」


 アクヤちゃんの引き止め方が胸をえぐります。

 なんの取り柄もない……ってことはないと思うのです。


「おいてかないでね、すぐ終わるから」


 私は車の扉を開け、そのまま外に飛び出しました。

 すると、目の前にオーガがいて私と目が合いました。

 怖い顔です、目を合わせたくありません。


「GAAAAAAAAAAA!!」


 オーガは丸太のような腕を振るって私に殴りかかってきました。


「キサラああああああああっ!!」


 アクヤちゃんの悲鳴を受けながら、オーガの腕をかわし、その胸板を蹴って奴の頭上に飛び上がります。

 そして、白銀の剣『セレニティ』の柄に手をかけます。


「【エンジ流剣殺法――交響剣シンフォニア四番……『夏の落雷』】」


 抜刀の勢いそのままに剣をオーガの脳天に斬りつけます。

 そして、体ごと地に向かって……超加速して落下!!


 地面の岩盤を砕き割って、ドゴオオオオオオン!! と雷が落ちたような音が上がります。


 上空から超加速しながら抜刀剣を食らわす『夏の落雷』は私の使える剣技の中でも7番目くらいに強いです。

 まともに食らったオーガは縦に真っ二つにされ、地面に倒れました。


 オーガが死んだのを確認して振り返ると竜車は止まって待ってくれていました。


「アクヤちゃーん! 終わったよー」


 私が駆け寄るとアクヤちゃんは大声で、



「キサラあああああ!?

 あなた! ナニモノなのよぉっ!?」



 と叫んでいました。

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