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第682話 アポカリプス

んー...やる気出ない...。





捜索願:私のやる気



───ポッポォォォオオオオッッ...!!!



白煙を上げながら線路を敷設し、その上を走る汽車。それはまもなく中立国家アポカリプスに到着する。世界一周の試運転として乗客はおらず、乗っているのは一任者であるユウト少年と汽車制作チームのリーダーであるガンヅ、そして傭兵のスリーナに途中で加わったアヤネの4人であった。



「うぉおおおすげぇっ!!」

「まさかこの世界で汽車が見れるとは思わんかったな...」

「かっけぇなぁ...」



──プシュゥゥゥッッ!!!


予め用意されている土台を進み、駅らしき場所まで来ると汽車は大きな音を立てて停車した。



「っ...ユウト。俺はしばらく点検しておくからよ。お前は先に観光でもしといてくれ。...スリーナもユウトに付き添ってくれるか?」

「分かった!」

「あぁ任せてくれ。」

「...それとアヤネ。少しだけ頼みたいことがある。」



ユウト君とスリーナさんが外へ出て行くとガンヅさんは重い口を開いた。



「このままでは汽車が壊れてしまう。」

「えぇっ...!?」

「ここを見てくれ。」



指をさされたのは魔力を溜め込むタンク。多少魔力は減っているものの走行に問題はなさそうだけど...?



「いいやよく見ろ。魔力の量じゃなくて魔力タンクに問題があるんだ。」

「え?あ...溶、けてる...?」

「そうだ。魔力タンクには魔力親和度の高いミスリルを使ったが、それでも純度の高い魔力そのものには耐えきれないみたいでな...。」

「なるほど...」

「そこで傭兵としてではなく、鍛治師としてのアヤネに頼みたいことがあるんだ。」

「...これよりも魔力親和度の高い容器を造れって事ですか?」

「...その通りだ。頼む。」



頭を下げて頼み込むガンヅさん。こっちは乗らせてもらってるんだから答えは1つだよ。



「もちろん良いですよ。」

「本当か!?」

「はい。ただ、私は硬度が高いだけのものを造ってきたので魔力親和度の高い物を造れるかと言われれば...やってみないと分からないです。」

「それでも良いさ。俺だけじゃ何もできないからな...。」

「形状は同じで良いですか?」

「あぁ。」



形状を記憶して汽車から出る。見通しが立たないまま引き受けちゃったけどここがアポカリプスで良かったのかもしれない。なぜなら...




「アヤネさん待ってましたよ。」

「え?あ、サーラさん!」



汽車を降りた私を待っていたのはこの街の領主であるサーラさん。なんで私を待ってたんだろう?



「アヤネさんもここに来ると天啓がありまして。」

「天啓ってそんな便利なんだ...」

「というのは冗談です。ガンヅさんからここに来るという連絡がありましたので。」

「な、なんだ...」

「ふふ。それよりもアヤネさん。魔力タンクのことでお困りでしょう?」

「あ、そうなんです!私もこれから領主館に行ってサーラさんの部隊に助けを貰おうかなって...」

「それでしたら喜んで手伝わせましょう。この汽車が通常運行されるのであればこの街ももっと活気溢れるでしょうからね。」



前に会ったサーラさんはこの街の存亡が掛かっていたから少し刺々しい印象だった。でも、今のサーラさんは憑き物が取れたかのように爽やかだ。サーラさんの目元にくまもないし安心できそう。



「ど、どうしたのですか?そんなに私の顔を見て...」

「あ、なんでもないです。」

「そ、そうですか...それでは海の掃除屋が管理する鍛冶屋に案内しますね。」

「お願いします!」



先に行くサーラさんの後を追って私も小走りする。あ、サーラさんいい匂いする...。薔薇の香りかな...?


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