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番外編 猫と犬のティーパーティー




「この通りですっ...!!」



丸い机と2つの椅子以外何も無い荒野の中、椅子に座る1人の少女の声が木霊する。対面に座る犬耳の少女はそれを困った目で見つめていた。



「...私は弟子をとるつもりはないのだが。」

「お願いしますアルちゃん!」

「...はあ...。」



アルちゃんと呼ばれた犬耳少女は頭に手を当てて考える。どうすれば目の前で頭を下げる少女...ぬこの弟子入りを諦めさせることができるのかを。



────────────

──────


「それでね、やっぱり私もっと強くなりたいの。」

「貴殿は十分に強いはずだが?」

「...あの女に誘拐されそうになったからね。」

「うっ...」



2人の苦い思い出であるイヌミミ誘拐事件。ぬことアルテリアの2人が体力消耗したところを狙った悪質な誘拐未遂事件だ。それは今でも2人の心を蝕んでいた。



「だ、だが万全な状態であればあの者など余裕で倒せるだろう?」

「いつでも万全で戦えるとは思えないからね。」

「むむむぅ...」



戦いにおいてアルテリアは強いが、言葉での勝負となるととことん弱い。ぬこは知ってか知らずかアルテリアとの距離をグイグイ詰めていく。



「だからお願い!周りで強い子アルちゃんぐらいしかいないのよ!」

「むぅ...だがなぁ...はぁ、分かった。」

「ほんと!?」

「...うむ。人の子に教えるのは初めてだが私も頑張ろうじゃないか。」

「人の子にってことは人じゃない子には教えたことがあるの?」

「ん?うむ。スカーレットという龍がおってな。子龍の時に戦い方を教えたのだ。」

「スカーレット...アヤネちゃんの中にいる子?」

「うむ。彼女が死んでから長い年月が経ったが、まさかあの龍人の中にいるとは思わなかったな。」



目を細めて何かを思い出しながら話すアルテリアにぬこはニヤニヤとしだす。



「...スカーレットちゃんのこと好きだったの?」

「んぐっ...そうではない。いや、弟子としては好き、だったな。」

「ふぅん?」

「...なんだその目は。弟子入りさせぬぞ?」

「あ、うそうそ!ごめんってば!」

「...ふん。」

「えー...いつからやるの?」



すっかり不貞腐れてしまったアルテリアに平謝りして話を変えるぬこ。彼女は手っ取り早く強くなりたいのだ。



「...そうだな。今日はゆっくりして明日から厳しく行こうじゃないか。」

「...いいね。楽しみにしてるよ。」



片や現世と幽世の狭間を管理する者、片や試練の塔の四天獣である天獣王に認められし者。師弟の関係になる必要性は感じられないが、ぬこは更なる強さを求めて笑みを零したのだった。



「そういえばぬこ殿。」

「なに?」

「貴殿今日は何やら集まりがあると言ってなかったか?」

「......ぁ...。」




ジークフリート率いるクランの会議。現実世界で21時からの会議だったはずだが今の時間は...



「21時半...行ってくるっ...!!!」

「あぁ気をつけてな。」



慌ただしくティーカップをインベントリにしまいながら狭間の出口に向かうぬこ。そんな少女の姿をアルテリアは微笑ましく紅茶を飲みながら眺めていたのだった。



「...あの子は強くなる。だが私で良いのか...?いや...私が強くしてみせる。」




その呟きは誰にも届かない。


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