第671話 カオス
庭を横切って、家の裏手まで神様に案内された私。ちなみにスカーレットとの体の共有は解除してもらったから今まで通り簡単に動けるようになった。
「ここじゃ。」
「ふぉぉ...広い...!」
「くく...そんなに喜ぶとはのう?」
「それはそうですよ!まさかここまで整ってるとは思ってなかったですから...!」
まるでお父さんの鍛治場と似たような場所。全てが取り揃えてあるここでなら改良も捗りそう。
「それじゃあわしは先程の場所で待っておるぞ。帰りたくなればわしに伝えておくれ。」
「はーい。」
そう言って元来た道を戻っていく神様。なんだかさっきよりも生き生きしている気がする。
『...踏ん切りついたかな。』
「ん?なにが?」
『ん。なんでもない。』
「?」
とりあえず半ばからポッキリ折れたChaos Swordを取り出して見る。うん。まぁ鋳潰してから作り直すかな。せっかくだしオリハルコンとヒヒイロカネも使っちゃお〜
「ふんふふんふふ〜ん♪」
『...機嫌良いね。』
「だってこんなにたくさんの伝説の金属があるんだよ?機嫌良くならないほうがおかしいからね!」
『...そう。』
鼻歌交じりにオリハルコンとヒヒイロカネを[煌波]で燃やしていく。こうでもしないと溶けてくれないからね...。今の私は龍神モードだし叩くのもいい感じに行けそう。
───ガァァァンッッガァァァンッッガァァァンッッ!!
──ガァァンッッガァァンッッガァァンッッ!!
─ガァァァンッッガァァンッッガァァァンッッ!!
1時間程度打ち続けていると金色の塊ができた。こうしてオリハルコンとヒヒイロカネが纏まってきたら今度は溶かしたChaos Swordの刃を混ぜていく。伝説の金属に呑まれるんじゃないかなって思ってたけれど、合金は徐々に黒く染まっていき、金色の光は黒い光へと変質した。
「......ふぅ。あとは形にするだけ...。」
いくら龍神モードで存在力をSTRにめちゃくちゃ割り振っていても合金にするだけで1時間強も掛かったのだ。伝説の金属だけあって本当に硬いなぁ...。
────ガァァァンッッガァァンッッガァァァンッッ!!!
───ガァァンッッガァァァンッッガァァァンッッ!!!
──ガァァンッッガァァァンッッガァァンッッ!!
─ガァァァンッッガァァァンッッガァァァンッッ!!!
「ふぅ...ふぅ......」
『お疲れ。』
「...うん。」
ほっと一息ついてからもはや刀身が見えないほど黒いオーラに包まれている刀を見る。悪そうなオーラをしているが、前までのような恨み辛みばかりが詰まっている刀ではなく、なんというか...全てを悟ったような感じがしてる。何言ってるんだろう私...
「まぁいっか...《鑑定》」
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【名前】Chaos Sword:品質17→20(神器)
【説明】伝説の金属オリハルコンやヒヒイロカネをはじめとするほとんど全ての金属を混沌と化した刀に織り交ぜた刀。度重なる改良や様々な属性が入り交じったことにより、混沌を司る物となったこの刀は全属性に対する与ダメージ上昇効果(超極大)を持つが、混沌故に全属性受ダメージ上昇効果(超極大)も持つ。
魂を司る刀でもあるためにこの刀は宿る魂の格や数によって重さが違い、多ければ多いほどこの刀の能力は上昇していく。そして、そこに有ると思えば見えぬ物をも斬ることができる。
─見えないからなんだ。受ける傷が大きいからなんだ。私はなんでも斬ることができる。最終的に私だけが立っていれば私の勝ちなんだよ─
【神器スキル】[カオスLV.1(New!)]
【武器スキル】《混沌の拒絶(7)LV.2》《刀剣地獄LV.8》《カオス・レイLV.2》《混沌召喚LV.1》《超重量化LV.─》《全属性特化LV.1》
耐久:∞
STR:58,633(43,750+14,833)
AGI:54,220(36,526+17,694)
VIT:45,176(36,398+8,778)
DEF:35,660(23,210+12,450)
INT:48,630(35,214+13,416)
DEX:52,496(38,965+13,531)
MND:86,554(53,207+33,347)
【製作者】アヤネ
【所有者】アヤネ
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【名前】神器スキル:【カオス】 消費MP:なし
【効果①(LV.1)】使うと自身を中心とする半径100m以内の世界の理が10秒間変わり、全ての属性の有利不利やスキル効果が逆転する。クールタイムは10秒。
【効果②(LV.1~)】レベルが上がれば持続秒数と効果範囲が上昇する。このスキルに成長限界はない。
─火が水に弱い?闇が聖光に弱い?有り得ない。強き者は弱き者に。弱き者は強き者に。それがこの世界のルールだ─
LV.─:全属性与ダメージ+100%
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「『...。』」
『...おい。何か言ったらどうだ。』
「『え...?』」
今、誰が喋った...?スカーレット...?
『私じゃない。』
『おい。無視をするな。私を見て何か感想は無いのか。』
「もしかして...この子...?」
『ふん。ようやく気づいたか。それで?感想は?』
この頭に直接響く、感想を催促する女性の声の出処はまさかのChaos Sword。と、とりあえず感想感想...
「...強い、と思いました。」
『...はぁ。もっとあるだろう...こう...もういいや。何はともあれこれからも宜しく頼むなご主人。』
「へ!?は、はい...?」
『なんだよ。パッとしないなぁ...ほれ。まだ他のやつも造るんだろ?さっさと造っちまえよ。ま、私より強い刀なんて出来やしないだろうけどな。』
「む...。」
そう言われると...もっと強さを求めたくなっちゃうじゃん...。
○TIPS○
・ついに神器化した刀
神器化すると喋り出すのは何でだろうね。この刀の女性は一応人間の姿も持ってます。黒髪ロングで清楚系っぽく見えるけど口調が荒々しい感じ。
・[カオス]
もし範囲内で巨大な火球を創り出したら小さな火の玉になります。もし範囲内で小さな火の玉を作り出したらそれは巨大な火球になります。もし範囲内で水属性の敵に火の玉をぶつけたら蒸発します。もし範囲内で水属性の敵に轟雷が降り注いだら感電せず、小さな傷がつきます。もし範囲内で闇を掻き消すほどの大きな光に小さな闇の玉を投げ込んだら光は掻き消されます。もし範囲内で光を掻き消すほどの大きな闇に小さな光の玉を投げ込んだら闇は掻き消されます。
もしもしもしもしもしもしもしもし────
・次回
次回はもうひとつの刀を造ります。やっと登場します。私が忘れていた斬丸系統やらが、ね...。




