表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
763/798

第659話 ステータスの暴力




相手のステータスはアイリスと同じく綺麗な数字だけで成り立っていて、とてつもなく高い。最低値が500万という化け物っぷりだ。だからこそ相手に攻撃をさせる前に私が攻めないといけない。



「すぅ......」


──ゴォォオオオアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!



全天力を肺に込めて焔を吐くことで開戦の狼煙とする。スカーレット曰く天力を息に混じえて焔を吐くと《煌波》というものになるらしく、それは煌属性の攻撃になるのだとか。煌属性は焔属性と聖属性が合わさったものでこの攻撃は相手に有効だ。



しかし...



「良いですね良いですね。良い攻撃です。」

「グルルル...!」



そういう相手の体には傷1つない。まぁステータスの差が酷すぎるから傷をつけられるとは思ってないけどね...。



「今度はこちらから行きましょう。」



そう言って翼を大きく広げるエレメンタルドラゴンさん。飛膜も今の目と同じく虹色ですごく目に悪い。思わず目を背けようとした瞬間、飛膜から無数の黒い光線が私に襲いかかる。



私は閉じていた翼を少し開いて、横に逸れる。翼を半開きのまま固定してジャンプすると滑空ができるのだ。そうすれば勢いもつくし攻撃から逃れやすい。これは前に戦ったヘルファイアトレントキングでの龍化状態の時と同じだ。あの時は翼が細く、とてもじゃないけど飛べなかったから滑空に使った。今回はそれの再現という訳だ。



そうやって逃げてもなぜか着いてくる黒い光線は私の周囲の地面に当たると消え去っていく。誘導して地面にぶつけるのが良さそうだけど、光線は無限に出てきている。私は振り向いてもう一度肺に天力を集中させる。



───ゴァァアアアアアアアアアアッッッ!!!!



闇属性の光線と聖属性を含むブレス。さすがに私のブレスの方が勝って相手の光線を打ち消していく。だけどこのままじゃ息が続かない。


──《刀堂流刀術・奥義:次元斬》──



目眩しも兼ねたブレスに紛れて私は右腕を振るって空間に穴を開ける。この穴の出口は相手の頭上。高さも結構ある。



瞬間移動のごとく、次元の狭間を通って一瞬で相手の上に移動した私は右手に力を込めて殴る。正直、龍化状態の私ができることは殴ったり蹴ったりの物理攻撃とブレス攻撃ぐらいしかない。でもその分威力は凄まじいのだ。



「グォォオオオオオオオオッッッ!!!!」



───ズッッ、ガアアアアアアアアアンンッッ!!!!



地面に押し込むように拳に全体重をかける。いくら硬いとはいえ、これにはさすがに相手も頭を下げた。程なくすると力が拮抗し、ギギギッと何やら金属の音が聞こえてくる。



「ふむ。まだまだ研鑽が足りてませんね。」



グリュンッと首が曲がり、私の腕が噛まれる。そのまま首を振り回すと当然私もそれに引っ張られる。



──ズガァァァァァアンッッ!!


「ガァッッ!?!!」



相も変わらず体力が1の私は呆気なく死んだ。


────────

───


「う、ん...?」

「起きたようですね。さぁもう一度遊びましょう。」



無表情なのに優しい声色のエレメンタルドラゴンさん。そんな彼女に全くもって勝てる未来が見えない。スカーレットの言う通り、《焔龍王の力》を使ってみたらもう一度龍になることができた。だからと言ってキツイものはキツイ。



次元斬で相手の意表を突いて首を切ろうとしたり、脳震盪を狙って頭をたくさん殴ったりしてみたがやっぱりどれも無傷。何度も何度も私の攻撃は弾かれて、相手の攻撃は全て致命傷。こんなのを相手にして私は一体どうすればいいのだろうか。...そう、心が折れかけているのだ。



それでも...私はすずに会いたい。アリスを守るためにも強くなりたい。もっと...。




しかし願いは届かず、私は何度も死んだ。



────────────────


────────────


─────────


──────


────


──





──死亡回数:■■■■■■回──



「......。」

「起きたようですね。さぁもう一度遊びましょう。」



無限に聞いたこのセリフ。相手はまるでロボットかのように同じセリフを繰り返す。



『...アヤネ、がんb──』

『うるさい。』

『っ...』



何日経っても倒せないエレメンタルドラゴンへの怒りから気遣ってくれたスカーレットに思わず八つ当たりしてしまう。...私が弱いせいなのに怒るなんて、ね...。こんな自分にも腹が立ってしょうがない。



「さぁ避けてみてくださいな!」



これも無限に見た攻撃。闇の光線群を全て掠るか掠らないかというレベルで避ける。でも避けたところで何?避けて相手が倒れるとでも?...ダメだ。もう自分の行動にさえイチャモンをつけてしまう。



───ギリッ...!!


「ふむ。まだまだ研鑽が足りてませんね。」



噛み締めた歯の隙間から熱気が漏れる。涙目の私に対して掛けられる言葉もこれまた無限に聞いたセリフ。ロボットのような返答にイライラしながらも、もう諦めようかと思ったその時...



─ ...何度倒れても折れぬ心の強さ。いつ見ても素晴らしいものじゃな。 ─


「っ...?」


─ 儂が初めにお主にスカーレットを託した時...お主はどうであった? ─


「...。」



おじいちゃんの声に私は思い出す。初めて竜人になったのは試練の塔の時。その時は普通だったからこれじゃないのだろう。ならば初めて龍化した時を思い出そう。たしかあの時は...私の刀をあのゴリラに折られて...()()()()




─ ホッホッホ...今のお主なら扱えそうじゃな ─


△△△△△△△△△△

《───》《─────》《──》

《──》《焔龍王の力LV.─》《──》

《───》《─────》《──────》

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽






△△△△△△△△△△

《───》《─────》《──》

《──》《原初の輝き(new!)LV.16》《──》

《───》《─────》《──────》

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽






私は...絶対に勝つ。




○TIPS○

・エレメンタルドラゴンさん

実はホムンクルスのドラゴン。アヤネが死ぬ度に2回前の記憶リセットされるため、本龍としてはいつも2回目の遊びとなる。アヤネたんが曇っているのには気づいているが原因は理解していない。所詮は創られたロボット。...なぁんてね。普通に感情はあります。まぁめちゃくちゃ天然なんで言葉で数少ないアヤネたんの怒りのツボを押しまくってます。


・覚醒アヤネたん

ステータス差がすごすぎて話にならないエレメンタルドラゴンさんへの怒りと理不尽を押し付けたスカーレットへの僅かな怒り、そして『スカーレットに対する怒り』に対する軽蔑と弱い自身への怒り...それは憤怒を超えた憤怒を体現する。



今回の《原初の輝き》は前に出てきた《最期の煌めき》と対を成す存在だったりそうじゃなかったり。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 年末年始休暇が終わるまで、毎日更新かアヤネが、夜の肉体はひたすら際限なく発情させられて快感は寸止めのみで、 精神は一晩中薬物と道具と魔法と淫獣と機械による際限のない発情と絶頂によって、 身も…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ