第654話 甘くて美味しいペロペロキャンディ
「手始めに...っと」
「っ!?」
────ドゴオオオオオオオオオオオッッッ!!!
相手がどう来るか。それを見逃さないようにジッと見ていると突然その姿が掻き消え、私の真上に影ができた。もちろん避ける準備はしていたので問題なく避けると相手に蹴られた地面が崩壊し、巨大な穴ができた。...私がさっきまでいた階層も見えている。フォルトゥナさんのペットといい試練の塔壊れすぎじゃないかな...?
『...これでも別空間のはずだから見た目よりも数十倍分厚い地面なんだけど。』
『わぁお...。』
今壊れた地面も見た目は3m近くあって十分分厚いんだけど...?あれよりの10倍以上ある地面を突き破ったってこと...?
「余波で死ななかったみたいだね。」
「...まぁ流石に、ねっ!」
当たり前のように宙に浮かぶ相手に返事をして天力刀から天力刃を数本飛ばす。当然防がれることはわかっているので追撃のために私もそれに続く。
「あっはっは...脆いな。」
「あぶなっ...!?」
構えを取った相手に嫌な予感がして空中で横に逸れると私の真横を何かが通った。
───ドゴォオオオオオオンンッッ!!!!
相手の突き出された拳。天力刃はもちろん掻き消され、その延長線上にあった地面に拳型の大きな穴が空いた。...これ、なんかのスキルなのかな...普通に突き出しただけで穴が空くなんてない...よね...?
『...力だけは強い。』
『...なるほど。』
どうやら普通に突き出しただけみたいです...。
「ほほぅ!勘も冴えてるみたいだね!」
「それはどうも。」
私はその力に感心しながらも戦闘中だということは忘れていない。喜ぶ相手との距離を一気に詰めて天力刀を突きつける。
──ピタッ...!!
「...もうちょっと硬くできるかな。」
「硬さどうこうじゃないと思うんですけど...」
──パキッ...ン...
親指と人差し指で刀の切っ先を摘まれて天力刀の硬さを指摘される。いくら刀が硬くともその刃が相手にすら届かないのであれば意味が無い。
そのまま破壊された天力刀を再構成しなおして再度距離を詰める。このままじゃなにもできない。
「《刀堂流刀術・新月》」
天力で無理やり体を動かして新月を放つ。時が止まった周りで私だけが動ける。そのまま天力刀を相手の首に運び、斬りつけた。
───バギンッッ...!
大きな音を立てて崩壊した天力刀。いや体全体硬すぎるでしょ...?天力で創ったとはいえ並の刀よりも鋭くて硬いはずなんだけど...?
「だから言ったじゃん。もうちょっと硬くできるかな。って。そしたら私を殺せたかもね。」
「そう、ですね。」
天力の扱いには中々慣れてきたと思っていたけどまだまだだったみたい。もっと研鑽しないとなぁ...
「これでど───」
「えいっ。」
「がっ...!?」
体力が1しかない私はその攻撃で呆気なく死んだ。目が覚めると私はその殺された相手に膝枕されていた。...なんか一気に色んなことが起こって何がなにやら分からないんですけど...?
「んー?なんか齧りたくなったから?」
「えぇ...」
「というわけでいただくね。」
「え?今!?ちょ、ちょっとまっ──ひゃぁっ!?」
「はむっ!」
寝転がる私を持ち上げ、背後から抱きつく心牙童子さん。慌てる私なんてお構い無しに首筋に齧り付いた。
「ちゅ...んちゅ...」
「んっ...や、ちょっ...んんっ...!?」
いつの間にかはだけている私の服。あ、ちょっと服の中に手入れないで...!?てか齧るだけなのになんで手入れてるのこの子!!
「あまくへおいひい...。ぺろ...」
「絶対嘘!甘くなんてにゃぁっ!?」
その後私はペロペロキャンディの如くぺろぺろぺろぺろ舐められたのであった。
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「はふぅ...久しぶりのご馳走美味しかったよ。」
「...結局...食べられたの、私、じゃん...はぁ...」
力強すぎて抵抗しても逃げられなかった私はねっとり舐められ続けた結果私だけが疲れ果てていた。さっきスカーレットを齧るって言ってたじゃん...
『ぷっ......どんまい。』
『覚えててよスカーレットっ...!』
笑ったスカーレットは絶対に許さないから!
○TIPS○
・ペロペロキャンディ
はい。傲慢の大罪なので自分のやりたいと思ったことをすぐに実行します。欲望に忠実ですね。え?アヤネたん=ペロペロキャンディでしょ...?何言ってるんですかやだぁ...
・次回
次回は飛びます。七大罪分全部飛ばします。多分おそらくきっとMaybe700階層まで飛びます。飛ばします。




