第637話 上には上がいて、さらに上がいる。
昨日はまだ腕が痛くて風邪気味だったので念の為お休みしました。...学校とバイトもあって無事喉が死にましたありがとうございません。
...なんならワクチン接種から4日も経ってるのに未だに腕に違和感あるの怖いんですけど...。
『...その、向こうでは馬鹿げた強さだと思ってはいたけどあれで納得した。』
『そっか...でも楽しかったでしょ?』
『...うん。』
師匠の扱きを受けたスカーレットはぐったりとした姿を幻視できるほど疲れ果てた様子。私も最初はスカーレット以上にボロボロだったなぁ...今じゃ刀だけだと負けなくなったけどね。そのあと本気の勝負でぼこぼこにされちゃうのは流石負けず嫌いの師匠と言ったところかな。
『...次はアヤネの番。』
「...もちろん。」
今いるのは山奥にある師匠の自宅。家出した身だから私の家には戻れない。ちゃんとゲームにログインできるようにゲーム機も持ってきている。え?ネットに繋げられるのか、だって?そうなんだよね。私も気になって前に聞いてみたんだけど、師匠の数ある能力の内に『コネクト』というものがあるんだけどそれで繋いでいるらしい。
『アヤネ、集中』
「了解。」
昨日連れてこられたこの大陸、ブラックアイで既に2回接敵している。一体目はティラノヘルベロスという三つ首竜でもう一体は池の奥底にいたであろう手がめちゃくちゃ長い魔物。名前は鑑定できてないから分かんない。次にあったら鑑定してみたいね。...いや、もうあんな目には遭いたくないけどね。
さて、そんな私が今いるところはどこでしょうか。
───ボゴッ...ジュヮァァァッ......
───どぷんっ...
...。
「...正解は魔物の胃袋の中でした〜、なんて...はぁ...。」
くさい臭いの液体が地面を覆い、赤い肉に囲まれた部屋。誰がどう見ても食べられてます。しかも私の腕を奪ったあのティラノヘルベロスが何十体も入れるほどに大きい。
「《鑑定》」
▲▲▲▲▲▲▲▲▲
【名前】モグリュウグウノユーズの胃 LV.1124 状態:正常
【弱点】?
【苦手属性】?
【説明】
──未確認生物のため詳細なデータがありま...|──
これの名前は...多分『モグリュウグウノユーズ』。この世界が誕生した時からいた魔物...の次世代の魔物。今は胃袋の中だから合ってるか知らないけどこんなに大きい魔物は他にいない。通常の見た目はアヤネの世界で言うモグラに竜の鱗がついたもの。今の見た目は魔力で変質してる。普段は地面に潜って獲物を狙ってる。...ちなみに彷徨いの森の木々はこいつの髭。
HP:9342557/9342557
MP:0
STR:0
VIT:5664987
DEF:8875543
AGI:0
INT:0
DEX:0
MND:0
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なんでこんなにステータスに偏りがあるのかと一瞬思ったけど名前をよく見てみるとモグリュウグウノユーズの胃って書いてあった。つまりこの魔物の胃袋のステータスなのだろう。知能もなければ素早さもないから0なんだろうね。...それにしては体力とか防御力とか例のティラノヘルベロスよりも高いんだけど...?
ってあの森の木って全部この魔物の一部だったの!?そりゃ木の上でログアウトしたら食べられる訳だ...。木も鑑定しとけば良かったかもなぁ。
「え、じゃああの池にいたやつもこの魔物だったってこと...?」
『あれはこいつの鼻の中に棲みついた魔物。』
まじかぁ...。どれだけ大きいんだこの魔物は...。なんかどんどん会う魔物が大きくなってく気がするんだけど...?
『...流石にこれ以上大きいやつはいない。』
「...それでも安心できないんだよね。」
今まで巨大な魔物たちを見てきたけど1つの大陸みたいな大きさの魔物がいるとは思わなかった。とりあえずここから出たいけどどうしよ...。
○TIPS○
・池の魔物
いわゆる鼻k...ゲフンゲフン。全貌は不明。
・モグリュウグウノユーズ
モグラ+リュウグウノ(ツカイ≒使う=)ユーズでモグリュウグウノユーズ。そこアンチョビとか言わない。
 




