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第635話 一方その頃




「あや...私のあや...なんで...なんでニゲルノ?」

「ちょ、スズカさん落ち着いてください...!」

「そうですよ落ち着いてください。」




あや、私の、私だけのあや。私を置いて、どこに行った...?あぁ...こんな事ならもっと強力な媚薬を使っておけば...



「スズカさんそれ以上はダメです...。」

「しばらくしたらきっと帰ってくるはずですから落ち着いてください。」

「...。」



頭を冷やせ?私は至って冷静よ。そんな事よりもあやはどこに行ったの...。許せない...私のあやを奪っていった...!



「うわわ怒りに変わっちゃいました...。」

「...スズカさん顔が良いですから怒った顔も様になっていますね。」

「そ、そんなこと言ってる場合じゃないのよアンナ!」



ふふ、ふふふ...こうなったらまたあやの家に行くしかないわね...。ふふふふ...まだ、まだ大丈夫...現実世界ではスカーレットは干渉できない...ふふ...今度は逃げられないようにあやと()()しなきゃね...ふふふふふ...



「あぁもうスズカさんはダメみたいですね...。」

「そうですね。そっとしておきましょう...。」



周りがうるさいがそれを無視して私は自室に戻り、ログアウトした。



────────────

────────



「ねぇ車出してちょうだい。」

「...かしこまりました。」

「全速力でお願い。」

「かしこまりました。」



言わなくても分かるだろうが行先は勿論あやの家。なぜスカーレットを止めなかったのかちゃんとお話しなきゃ。あやが私から逃げるなんておかしいもんね。



「...お嬢様。何かありましたか?」

「貴方には関係ないわ。」

「それは失礼いたしました。」



──キキィィッ...!



「着きました。」

「ありがと。」



運転手が扉を開けるのよりも早く私は自分で扉を開け、あやの家に駆け込む。


──カチャッ...


刀夜さんから「いつでも来ていい」と渡された合鍵で中に入る。すると入ってすぐのリビングに刀夜さんが座ってこちらを見ていた。



「来ると思っていた。」

「...あやは?」

「彩音は家出した。」

「え...」



この言葉で私は崩れ落ちた。この言葉を聞くまでの私は心のどこかであやは私から離れないはずだと思っていたのだ。それがどうだ。あやの家出という最悪の結末を迎えている。



「何があったのかは知らんが、やり過ぎるなとは言っていたはず。」

「...。」

「それにお前は...彩音()()喧嘩していないだろう?」

「っ...でも、あやは実際に家出した...。あや自身の意思で...。」

「...違うな。俺に家出すると伝えたあの子は彩音じゃなかった。」

「はぁ...?」



刀夜さんは何を言って...ん...?ま、まさかスカーレット...現実世界にまで...!?



「...その子の口調は傲岸不遜でしたか?」

「よく分かったな。そういう事だ。お前はその子を怒らせた。しばらくは会えないだろうな。」

「...。」



ここで私の心は折れた。何もできない私に腹が立つ。一瞬警察でも使おうかとも思ったけどここは私の負けを認めよう...。それにあやは凄いからどうせ見つからないだろうし。



「...あやが帰ってきたら、私が謝りたいと言っていたと、そう伝えてください...。」

「...帰ってきたらな。」





この日私は初めて喪失感というものを味わった。


呆然としたまま車に乗り込み、出発させる。私の両目から零れる涙は今までで1番、辛いものだった。



「お嬢様どうなさ、っ!ど、どこかお怪我でも!?」

「な、なんでも、ないわ...。」





私は、何がしたいのだろう。


○TIPS○

・スズカさん

ゲームの世界ではスカーレットに邪魔されたから怒るだけで済んだ。だけど現実世界の方でも逃げられてしまった彼女はここまで来てようやく自分が取り返しのつかないことをしてしまったと気づいた。


・スカーレットさん

彩音たんとの意識の同調が進み、遂に現実世界でも一緒にいられるようになった(なってしまった)。体の所有権は流石に彩音たんにしかないが、彩音たんが貸し出すことでスカーレットさんの意思で動かすことが可能。




・危なかった

アルバイトの帰りにあれ?今日投稿したっけ?って気がついた私偉い。ということでセーフ(?)


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― 新着の感想 ―
[一言] 23時近くなので言うまでもなくアウトです。 きっとお詫びにロリで眼帯と首枷・手枷・足枷・口枷・腕枷・腿枷の枷もりもりと拘束具もりもりで黒鎖と黒帯もりもりで縛られた外見年齢7歳くらいの貧乳…
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