表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
734/798

番外編 ぬこと奇妙な体験(後編・終)




「ぐるる...。」

「ほぅ?奴の力を受け継いでいる訳か。」



白いライオンのものになっている私の手にはこれまた白いオーラが纏われている。これが天力というもの。天獣王に師事し、教わった私の奥義。



「ガァァァアッッ!!!!」

「ふん。言葉も話せぬのか!」

「喋れるわァァァッ!!!」



───ズガガガガガガガガッッッッ!!!!!!



片脚で踏み込んで体を固定し、真正面からアルテリアを殴る。私の背丈がアルテリアの半分ほどしかないから殴る場所は必然的にお腹辺りになる。アルテリアは現世と幽世に棲む怪物。きっと聖なる天力には弱い...と踏んでみたがどうやら当たりみたい。両手で防御はされるものの、中々痛そうにしている。



「ハァァァッッ!!!」

「くっ...。」

「吹っ飛びなさいよ!」

「この程度で吹っ飛ぶほどやわでは無い!」



踏み込んでいた脚を軸に、横腹目掛けて回し蹴りをする。しかしたたらを踏ませるだけですぐに体勢を整えられた。



「フンッ!!!」

「チィっ!動きが鈍いわよ!」

「ふっ、それはすまないな。未だ傷が癒えておらぬ故。」

「謝る暇があったら攻撃してみなさいよ!」



アルテリアの攻撃は凄く速く、重い。しかし、前に対峙した時と比べると避けられるし受け止められるほど動きが鈍くなっている。こんなんじゃ私を倒せないわよ!



太い腕から繰り出される無数の連撃。それを避けて弾いて受け流して、反撃に天力を込めた一撃をお腹にぶち込んでやるとアルテリアはようやく吹き飛んだ。



──コキっ...ゴキ...



「なるほどな。...新米女神といえスカーレットといえ天獣王といえ...私の目の前には壁ばかりが立ちはだかる。」

「...?何が言いたいの?」

「もう一度...魂達よ。もう一度私に力を貸してくれ。今度はしっかり報いよう。」

「っ!?」



アルテリアがそう言った瞬間、どこからともなくたくさんの人魂のような何かがアルテリアの元に集結する。というか今なら無防備だし攻撃し放題じゃ──



「お、おぬこ様!攻撃しちゃダメですよ!?」

「...なぜ?」

「変身の時は攻撃しちゃダメなんですー!」

「はぁ...?」



この変態女が言っている事がよく分からないけど、確かに攻撃したら何かよからぬ事が起きそうなので止めておく。アルテリアを覆っていた黒い光が収まるとそこには私と同じぐらいの背丈の少女が...は?



「は?」

「か、...可愛いっっ!!!!!!」

「あ、ちょアンタ!?」



目をハートにさせて飛び込んで行ったあの女。あーもう色々起きすぎて訳分からないわ...。



「邪魔をするな。」

「あふんっ!?」



デコピンで100mぐらい吹っ飛ばされたあの女を一瞥もせずこちらに向かってくるアルテリア。これは...



「──ちゃん付けした方がいいのかな...?」

「お主も私を愚弄するかッ!?」



耳を横に倒して、いかにも不機嫌ですっていう顔をするアルテリア、ちゃん。あーダメだちょっと可愛くて呼び捨てにできないや...。



「その妹を見るかのような目を止めろッ!!」

「っ!?グァッッ!?」



先程よりも段違いに速いパンチが私のお腹に当たる。当然威力も凄まじいため吹き飛ばされるが、空中で姿勢を正して空を蹴る。睨んでくるアルテリアちゃんはとても可愛い。でも...



「私は妹でも殴れる!!」

「だぁから私は妹じゃなぁぁぁぁあいっっっ!!!!」



白い光と黒い光がぶつかり合う。互いに互いの体力を削り合い、ようやくその時が来た。



────ドゴォォオオオオオオオンンッッ!!!!



「っ、がふっ...!」

「あがっ...ぐぅ......!」



互いに顔面を殴り、同時に地面に倒れ伏した。結果は見事に引き分け。どっちが勝ったとか言えるほど余裕もなく、私たちは仰向けで黒い空を眺めていたのだった。



「...やるでは、ないか。......まぁ私は傷を負っていた訳だがな。」

「一言余計、なのよ。私だって、あの変態女と一緒で、疲れてんのよ。」

「...それは大変だな。」




そこまで言って私は思い出した。あの女はどこに行っ──



「お2人ともお疲れ様でした!いやぁ見事な戦いっぷりでしたね〜!ささ!疲れてますでしょう?






───私のお家に招待(拉致)しますねぇ?」



「「は?」」



今の私は...というか私たちは2人揃って全力を出し切った身。今こいつに拘束されたら何もできない。まさかそのために私に依頼を!?



「ザッツライ!さぁまずはおぬこ様から〜♪」


「はぁ...勝手に抜け出したと思ったらお前は。」


「っ!?!!?な、ななんでここ、が...」


「...くくく...イヌミミィ...よぉくも私の()から抜け出してくれたなァ?犬っころの分際で飼い主に歯向かおうってのかァ?あ?」

「ひぃぃいぃいっ!??!?お、おぬこ様たす、助けて...!」

「ぬこさんすまんなこんな奴に好かれちまうなんてなぁ...安心してくれ。私がこいつを躾なおすからよ。」


「......そうしてくれると助かるわ。」

「おぬこ様ぁぁぁぁぁぁ!!!?!!?」



私は魔女らしき装備をしている人物に引きづられていくイヌミミから全力で目を逸らしたのだった。というかあれは誰だったのか...?というかどうやってここに来たんだろう?



「「...。」」

「...なんと言うか、人間とは難儀だな。」

「...アレが特殊なだけよ。」

「くく...」

「ふふふ...」





その日私は新しい友達ができた。



○TIPS○


・アルテリア&おぬこ様

あと少しで監禁されるとこだったな...助かったよ謎の人...。


・イヌミミ

いぃぃぃぃやぁぁぁぁぁっっっ!!!?!!?せっかく!せっかく抜け出せたのにぃぃぃぃ...!!!!


・謎深き人物

ふふふ...私の管理が甘かったようだね。あ、そうだ最近手に入れた媚薬、使ってみようかな。くくく...楽しみ。



ま〜た新しい人出てきましたね。まぁこの人はプレイヤーじゃなくてNPCなんですけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >「...なんと言うか、人間とは難儀だな。」 「...アレが特殊なだけよ。」 特殊(多数派)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ