番外編 ぬこと奇妙な体験(中編②)
私が海に潜ってから少ししてあのド変態女も水着で飛び込んできた。
『気持ちいいですね!』
『アンタの視線は気持ち悪いけどね。』
『辛辣!でもそこがいい!』
水着の効果で溺れることはなく、念話でこいつと話す。こいつの声が直接脳内に響くというのはなんとも言えない気持ち悪さがあるが、ここはグッと我慢する。依頼完遂までの辛抱だ...。
『見えてきましたよ!』
『意外と近いのね。』
『もっと遠ければ船を用意してますからね〜。』
それもそうね。遠ければわざわざ泳いで向かわなくても近くまで船で寄ってから泳いだ方が良いし。その点1kmも離れてないここならば船を借りてくるよりも泳いだ方が速い。
海底に見えてくるのはこの女が言った通り古びた遺跡。しかしながら表面が金属質のように光っているからこれが存在した時代の文明が遥かに進んでいたことがよく分かる。
その遺跡の内部に侵入していくと中には古ぼけた大きな金属製のゲート?が。ゲートは黒いモヤを吐き出し続けており、嫌な雰囲気を感じた。このモヤどこかで感じたことがあるなと思ったらアルテリアが現れた時だ。そういえばこのゲートもその時に現れたものとそっくりだ。
『ついに...ふふふふ...』
『アンタ怖いわよ...』
なにをそんなに喜んでいるのか...まだこれからだっていうのに。私はとりあえずインベントリから起動したカメラを取り出してゲートの先目掛けて投げる。
『...何してるんですか?』
『クリアリングよ。』
ゲートの先に何が待っているのか分からないからね。手元に用意したモニターを見てみるとそこは真っ黒の画面しか写っていなかった。
『期待はしてなかったけどやっぱり写ってないわね。』
『そうで...ん?なにか写ってません?』
『これは...何かの毛?』
画面いっぱいに映し出された毛。さっき真っ黒だったのは近すぎたかららしい。
『『え...』』
カメラが何者かに掴まれ、その謎の毛から距離が離される。その全貌を見て私たちは絶句した。
『あ、アルテリアじゃない!!』
『アルテリアちゃ...アルテリアを倒すチャンスです!行きましょう!!』
『えぇ!』
この先が現世と幽世の狭間である事が分かった。あとは安全性だけどまぁプレイヤーだし死んでも大丈夫。それにこの女をどうにもならないって言って諦めさせることも可能になる。
そう思いながらゲートに飛び込んだ。
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「...ここへどうやって来た。」
「アンタをぶっ飛ばしに来たわ!」
内心死なないことを残念に思いながらカメラを掴んでハテナを頭の上に浮かべているアルテリアに啖呵を切る。
「まぁいい。お主は...白いがそっちのお主は...色んな意味で黒いな...?」
白いと言われた私に対して色んな意味で黒いと言われた隣の女。確かにこいつはド変態だしドMだから黒いのは合ってる(?)。でも私が白いかと言われるとそこまで潔白でもないと思う。
「さぁおぬこ様やっちゃってください!」
「ほう?お主が戦う訳では無いと?」
「私は見物人です!」
「複雑だけどそうね。」
「ふん。いくら負傷しようがたかが仔猫1匹に負けるほど落ちぶれてはおらぬ。」
「へぇ?言うじゃない。私の本気アンタに見せてあげる。」
喧嘩売りに来たのはこっちだが、そっちも喧嘩を売るなら買ってあげる。
「バチバチの2人...ふふふ...潰しあってくださいね...ふふふふふふふ...。」
「最初から全力で行かせてもらうわ!!《ビーストモード・天獣王》!」
茶髪の私の髪が真っ白に染まり、私の手足の毛も白く染まる。天獣王というのは天に住むと言われているライオン型の魔物のこと。試練の塔に挑戦し、彼に認められたからこそ得たこの形態。これが今出せる私の本気。
「ほう?ただの猫じゃなかったか。」
「そうよ!これでアンタをぶっ飛ばす!」
「ふん。ただの猫ではないと言ったが、私にとっては少し強くなった猫だ。」
「いつまで吠えられるかしら!?」
───シュバッ!!!
小手調べに一瞬で背後に回り込んで伸ばした爪で首を掻っ切る。しかし当然の如く首を少し傾けるだけで避けられる。
「物理で私に勝てるのはスカーレットのみ。」
「スカーレット?あぁアヤネちゃんの中にいる子ね...。なら届くまで攻撃するだけよ!」
そう言って私は天力を爪に纏わせた。
○TIPS○
・おぬこ様
天獣王に天力について教わった。天獣王モード時のみ天力使用可能。
・イヌミミ
白いおぬこ様もてぇてぇ...あぁ可愛くて仕方ないです...。




