番外編 ぬこと奇妙な体験(中編)
o(`・ω´・+o) チョイドヤァ…!
目をキラッキラさせながら私の手を掴んでブンブン振り回す様はさながら推しアイドルに会えたファンのよう。最初はよく分からないストーカー男か何かが手紙を送ってきたのかと思ったが、このような犬耳少女が嬉しそうにしているとこちらまで嬉しくなってくる。
「す、すみませんつい嬉しくて...」
「いえ大丈夫よ。」
「それでは依頼内容の確認をさせていただきますね...?」
「えぇ。」
「今回私は手紙にも書きました通り、現世と幽世の狭間というところに行きたいのです。そこに今この世界を恐怖に陥れているアルテリアちゃ...アルテリアがいるのです。私は彼女...アルテリアを倒して本当のすがt...じゃなくてこの世に安寧をモタラシタイノデス!」
「......そう。」
何やら後半は吃りすぎてよく分からなかったけどとりあえずアルテリアを止めたいってことでいいよね?
「...はい!」
「うーん...それは分かったけどなんで私なの?私だけなの?他の強いプレイヤーも連れてけばいいのに。」
「.........実は、今からとある場所に向かうのですが、そこは2人しか入れないとこなんデスヨー。」
「ふぅん...?......本当に?」
「本当に決まってるじゃないデスカー!私がおぬこ様相手に嘘なんてとてもじゃないですができないデスヨー!」
「...その言葉信じるわ。それで私よりも強い人なんてたくさんいるし女性だけに限定してもアヤネちゃんとかでも良かったわけでしょ?」
「そこはもう猫耳が...ゲフンゲフンアヤネたんはスズカさんとセットじゃないですか。さっきも言った通り2人しか入れないのでアヤネちゃんだけ連れていくというのはできないわけなのです...。」
「そういう事ね。よく分かったわ。」
ミミさんの力説にとりあえずは納得し、こちらからも手を握り返す。これで取引成立だ。私は私のできることをしよう。
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「え...まってこんなの聞いてないわよ...」
「はい!聞かれませんでしたので!」
「うっさい先に言っときなさいよこのワンコ!!」
「きゃぅんっ!!」
勢い余ってワンコと言ってしまったが、なぜかミミさんは顔を染めて胸を抑える仕草をする。なんだこいつ...。
それでなぜ私が怒っているのかというと、目の前に広がる広大な海が原因だ。
「なんで素潜りしなきゃいけないのよ...」
「海底にある遺跡に狭間への扉があるからです!」
「...さっきは聞かなかったけど貴女のその情報どこから得たの...?」
「それは企業秘密です♡」
「うっざ」
「はぅんっ!!」
ワンコ系の見た目をしておきながらその実小悪魔ドM系のこの女。ミミさん呼びなんてもうとっくの昔に捨てたわ。
「水着持ってて良かったわ...。」
「イベントのやつですね!眼福です!」
「...取引しなきゃ良かったかも。」
「...その場合違約金として体でお願いします。」
「こっわ。こいつこっわ...」
「ふふふ...手紙にもそう書いてありますからね。『取引の途中で逃げたら体で払ってもらいます』って。」
「は?...いや本当じゃん...。」
そんな事どこにも書いてなかったでしょと思いながら手紙を取り出して見てみると追記の欄にそう書いてあった。
「...きっも。」
「ひぅっ!」
私は意趣返しに手紙を破り捨て、装備欄で普段着から水着に変更した。
「まぁコピーはしてあるんで大丈夫ですけど...」
「どうせそんな事だろうと思ったわよ。ほらさっさと着替えなさい駄犬。」
「ひゃいっ!?」
私はこの駄犬女のいやらし過ぎる視線から逃れる為に一足先に海に飛び込んだのだった。
「おぬこ様ぁ...そのボディと猫耳がマッチしていて最高です...ふふふ...あぁ楽しみ...。」
○TIPS○
・イヌミミ
ド変態ドM犬耳女。最後に何やら不吉な言葉を発していたが真意やいかに。
・おぬこ様
可哀想なお猫様。可哀想は可愛い...?




