第627話 事後?事前です。
「ぅ....ん...ぇ?」
いつもより少し遅い時間帯に目が覚める。今は大体朝の5時ぐらいかな?今日は師匠との特訓はないので慌てる時間じゃないけれど、なんで私は1時間寝過ごしたんだろう...?
「ぅぅ...あたまいたい...。」
昨日の記憶を思い出そうとすると何かにぶつけたかのように頭が痛くなり、思い出すのを止めてしまう。とりあえず体を起こそう...
──ぷにょん...
「へ...?ぁ、えぇ...?」
ベッドに手をついて起き上がろうとすると左手が何か柔らかいものに当たる。思わず目が点になり、お布団を捲るとそこには眠るすずがいた。...裸の。
「なんで...って私も裸...!?うわっ...なんか痣がすごい...寝てる間についたのかな...?うぅ...そんなに寝相悪かったっけ...。」
とりあえず裸のすずはなんだかアレなので...じゃなくて寒そうなので布団を被せておき、私はベッドから出る。すずが贈ってくれた全身を写せる鏡の前に立つ。
「...はーと?」
首筋や太もも、お腹周りにたくさんの痣ができていたが、その中でもお腹のお臍よりも上辺りにある痣がなぜかハート型なのだ。寝てる間にぶつけまくったのかって思ったんだけどハート型なのはおかしい。
「うーん...昨日何があったんだろう...?」
『 あや...ここがいいの...? 』
『 やぁ...もぅやぁ... 』
『 わかった...もっとやってあげる...。 』
「っ...!?」
何かが頭をよぎる。お腹のハート型の痣を撫でながらだと何かを思い出すのかもしれない。そう思って見つめていると後ろから忍び寄る気配に気が付かなかった。
「そのハートマーク気に入ったかしら?」
「ひゃっ!?え、ちょ、ちょっとあたあたってる...から...」
「当ててるのよ。さっきのちょっと痛かったわよ?」
「え、ごめん...って起きてたの!?」
後ろから抱きついてくるすずにお腹を撫でられながら会話をする。すずの大きなお胸が私の背中にピッタリとくっついているのに意識が行ってしまって仕方がない。それに2人とも裸だから尚更...。
「それで?このハートマークどう?私頑張ったんだけどなぁ?」
「え、え、...その...どうやって...」
「もちろんこーやってね♡」
──チュゥッ...!!
「んぁっ...!?」
すずが首筋に顔を埋めたと思ったら急に強めのキスをされた。鏡越しに見てみるとそこにはできたばかりの痣が...。つまり身体中についているこの痣は全てキスによってできたもの...
「っっ...!!」
「あやかわいい...。」
微笑んでいたすずの口角がさらに上がる。すずが笑っているのに怖いと思うのはこれで何度目だろうか。こういう時は大抵怒っている時なんだけど、私何かしたっけ...?
...たしか昨日ログアウトする前にベッドで語り合おうねってすずに言われたと思うんだけどそれの事だよね...その直前に多分怒らせちゃったと思うんだけど...
ハートマーク...?
あぁ...なるほどねぇ...?
つまり
「嫉妬しちゃったってこと?」
「っ...」
「やった正解!でしょ?そっかぁーハートをサインに書いたユウト君に嫉妬しちゃったのかぁー!すずも可愛いとこあるじゃん!」
今私の立場は危うい。このままだとすずにまた食べられちゃう。だから再起不能になるまで可愛い可愛い言って褒め殺しにすれば私は逃げられ──
───ギチッ....
「ひぅっ...!?ちょ、っと...苦し...」
「あやは煽るのが得意なのね...。私が躾けてあげないとねぇ?」
「へ?あのちょっとすずさぁーん?」
○TIPS...?○
・アヤネちゃん
な、なんでまたベッドに寝かされてるの...?え?え?ちょっとスズカさん笑ってるけど目が笑ってな───
・スズカさん
アヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネアヤネ───────────·········




