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番外編 来たれ文明の進化



「ついに...ついに完成するね...!!」

「やっとか...!ここまで約半年...長かった...!」



とある炎の国の街。2人のプレイヤーが興奮した様子で何かが書かれた資料を熱心に見ていた。



「『全国鉄道計画』...成し遂げられるとは思わなかったよ...。」

「ホントにな...でもまぁまだ完成していない。気を引き締めなければな。」

「そうだね。」



資料には古き良き機関車の精巧な絵が描かれており、素材から制作方法までその全てが資料に纏められていた。



「街のみんなにも伝えてくるよ!」

「これが終わったら打ち上げだな。」

「うわぁそれは楽しみだね...!」



丸メガネを掛け直して笑顔を浮かべる少年が部屋から走って出ていく。それを少年のお父さん...のように見える歳の男がフッと笑いながら見送ると資料に目を落とした。



────────


『全国鉄道計画の資料』一部抜粋


・全国への敷設のため、全国に許可を得ることから始める。


・炎の国の街ニスリンドの街人達の協力を得てこの計画を開始する。


・自動線路敷設機の制作。


・襲撃を想定して装甲の強化・防衛設備設置


・魔力のエネルギーを利用して動かす魔道機関車の制作。


・魔道機関車として用いるに耐えうる素材の選別。加工するための場所確保。


・───────


・─────────



───────────

───────



「ガンヅさ〜んいますか〜?」


「おうユウトか。よく来たな。」

「おはようございますガンヅさん!」

「おはよう。」



ユウトと呼ばれた少年はとある加工所まで来ていた。街の人たちに計画の進捗と打ち上げについて大まかに話すためだ。


「ガンヅさん...もうすぐ完成しますね。」

「そうなのか?たしかに四角い箱にはなってるが...本当にこれが動くのか?」

「それは...試してみないと分からないですが、設計図通りにすれば動くはずです。」



確固たる自信を持った目で疑心暗鬼な目を向けてくるガンヅという筋肉ダル──筋骨隆々な男を見つめ返す。


「......はぁ...お前さんのことを信じるよ。それにしてもよくこんなモノの知識なんて持ってるよなぁ...?」

「ふふふっ...何せ僕は鉄道オタク、ですから!」

「て、テツドー、オタク...?なんの事かよく分からんが誇りに思ってるんだな。」

「そりゃもう。」



メガネ少年は使うと微笑ましくなるドヤ顔を披露したあと、加工所の奥...少しだけ敷かれた線路の上に鎮座する大きな機関車の前までやってきた。



「とりあえずソウジュウセキというものは設計図通りにしてみたが...何かあれば言ってくれ。すぐ直してみせるぜ?」

「それは助かりますね。...今のところは特に問題無さそうですね!」

「そうかい。そりゃ良かった。」



嬉しそうにはにかむユウト少年の頭をくしゃくしゃに撫でるガンヅ。そこだけ切り取るとまさに親子のようだった。



────────────


次に向かったのはもうひとつの加工所。こちらでは先程の機関車とは違うものの制作を依頼していた。



「おや?ユウトくんかい?よく来たね。」

「おはようございますリースさん!」

「えぇおはよう。」



出迎えたおばちゃん...というほど見た目は歳をとっているように感じないリースと呼ばれた女性はやって来たユウト少年の頭を優しく撫でる。



「こっちの方はもう完成するわよ?」

「それは良かったです!見せてもらっても?」

「もちろんよ。まさか魔力を併合するなんて思わなかったのよ?よくこんな凄いものを思いつくわねぇ...」

「あはは...それ程でもないですよ。」



謙遜するユウト少年の頭をもう一度撫でたリースは魔道加工所の奥へ彼を案内した。



「...ふむふむ...いいですね...!」

「そうでしょう?まぁ設計図がそもそも完璧だったからね。ふふふ...。」

「あ、ありがとうございます...。」



そこにあったのは機関車とは別の機関車...らしきもの。車両の先頭には金属を加工しながら冷やす装置が取り付けられており、普通の機関車というよりも戦闘機関車と言った方が正しいと思うぐらいの装甲に覆われている。



「私たち魔法使いでもここまで来るのに苦労したわねぇ...。こんなのも久々ね。最近はあまり依頼が無かったから。」

「そうだったんですね...。」

「それはそうと打ち上げはいつやるのかしら?」

「それはまだ未定ですが、街ぐるみでやろうっていうのは決まってますね。」

「そう。それは楽しみね。他の子達にも伝えておくわ。」

「お願いします!」



そうしてユウト少年は次の場所へ向かったのだった。




○TIPS○

・魔道機関車

魔力を魔法陣を通して動力に変換することで動く機関車。動かすために必要な魔力量は一般人約100人分。運転手は魔法陣に何かあっても直せる魔法使いになる予定...だとか。


・ユウト少年

小さい頃から鉄道の良さに惹かれて鉄道オタクになった少年。このゲームをプレイするきっかけは友達に誘われたことによるものだが、ここまで続けてきた理由は鉄道の無いこの世界に鉄道を普及させたかったから。しかしその目的ももうすぐ達成する...。



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― 新着の感想 ―
[一言] なんかみんなが魔物と戦って遊んでる間にすごい偉業成し遂げてる人いるんだけど()
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