番外編 執着
『主様。もっと撫でてください。』
『もちろんいいわよ。』
『主様もっと可愛がってください。』
『ふふっいいわよ。』
『主様私の事好きですか?』
『もちろんよ。みんな等しく愛してるわ。』
『主様...なぜ私だけを愛してくれないのですか?』
『んー...みんな大事だから、じゃだめかしら?』
『主様なぜスカーレットばかり愛すのですか...?』
『別にそんな事ないわよ?貴女も愛してるわ。』
『なんで...なんで!もっと...私を...』
『もう落ち着きなさいな...。』
『あ、はは...そんな姿になっても私は主様をお慕いしております...。今なら主様を私のモノに...?』
『...力のないわしじゃ今の君を止めることはできぬ...仕方あるまい...
──[封印]。少しは頭を冷やせアルテリア。それとわしを主と呼ぶことを暫し禁ずる。』
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「っは...ぁ...!ある...ヘルン様...。」
筋骨隆々の犬顔。見るだけで迫力のある彼は目覚めると自身の胸を抑えた。
「...やはり、許しては貰えぬのですか...。大義名分を得たと思ったのだが...。」
現世と幽世。その狭間から出られる唯一の理由。現世と幽世のバランスが崩れる時のみ調整の為に現世へと戻ってきても良いと彼の主人は許した。しかし、現にやり過ぎてしまった彼はこの狭間に連れ戻されてしまった。
「ヘルン様...私は一体...どうすれば良かったのですか。」
しかし、今回の事件は未だに解決していない。だからまたアルテリアが現世に行くことになる。...普通ならそう考えるだろう。しかし現実には違った。
「起きましたかアルテリア様。」
「...誰だ。」
「私はアレン。お前でもお好きなようにお呼びください。」
「...アレンとやら。ここにはどうやって来た?」
「それはヘルヘ──」
「もうよい。...つまり私の代わりになる、という事だな?」
「話が早くて助かります。それでは早速今回の事件の解決に向かわせて頂きますね。...アルテリア様はここから出ないようお願いします。」
「...分かった。」
執事服を着たアレンという人物は丸いメガネをクイッと上げるとその場から消えていった。アルテリアは重い腰を上げ、たと思いきや背中から地面に倒れた。まだ先程受けた攻撃が効いているのだ。
「ぐっ...あの新米女神め...ヘルン様にも挨拶していないようだったな...。」
倒れ伏したまま黒い空を見上げ、ぶつぶつと呟くアルテリア。事実上の監視を付けられてしまった彼はその後も何もせず、ただひたすら流れてくる魂を貪ったのだった。
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「やっぱり涼香ちゃん強いねぇ。」
「そうですね。スズカさんはプレイヤー初の神種族ですからね。神種族の隠し能力は今回使われませんでしたけどそれを抜きにしても強力ですね...。」
「叡子もそう思う?ちょーっと強くしすぎちゃったかな...。でも一度決めた以上修正はできないし...。」
「AIの調整平均レベルを上げたのが仇となりましたね。」
「そうね...まぁまだ上げたばかり。これから皆もどんどん強くなるわよね。」
「理論上はそうですけどそれに伴って魔物たちのレベルも上がりますから初心者の方には大変なゲームになるかと...。」
「なら初心者接待のイベントでも開催しましょうか。イベント係にでも回しといて?」
「はっ。...それと社長...」
「何よ?」
「そろそろ休んだらどうですか?ここ10年以上休み無しじゃないですか。」
「仕方ないじゃない。AI管理なんて他の人に任せられないでしょ。」
「それはそうですけど。そう言われると思って私、こう言ったものを用意致しました。」
「は?」
「名付けて──AI監視AI、です。」
○TIPS○
・ヘルン様
言わずもがな世界を管理する神様。ヘルンは七大罪にのみ呼ぶことを許された愛称。
・10
「10」の「1」の部分を取ったら0になるよね。つまりセーフ。




