第619話 境界線
ふぃぃ...間に合ったぜぇ...(1時間遅れ)
「私を愚弄せしクロきモノタチめ...全員ジゴクに送ってやる...!」
『...その黒いオーラのせいでみんなクロきモノってやつに見えてない?』
「もうすず...!来るよ!」
『えぇ分かってるわ。《招雷》《銀の虚像》』
すずはすずに似た銀色の分身を多数召喚した。《招雷》というのがよく分からないけど頭上にある雨雲から雷がすずの手のひら目掛けて集まっていたのできっと魔法強化系の魔法なのだろう。でも分身を召喚してどうするんだろう...?
「フゥゥゥッ...?」
って思ったら犬耳ちゃんは分身達を見てその全てを警戒し始めた。...まさかとは思うけど本当にその黒いオーラのせいで全部クロきモノに見えてる、とか...?それに判断力も落ちてるみたいだし...
『 ふふっ...暴走モードなら見境なく攻撃する。これが定番でしょ? 』
「定番か分からないけどそうなのかも...?」
「ァアアアアッッッ!!!!」
───バヂンッッ!!!
私を一撃で即死させた(まぁまだ生きてるけど)全力パンチがすずの分身を襲う。雷の散る音が響き渡り、逆に殴った張本人にダメージを与えた。...特に気にしてなさそうだけど。
『 《コネクト》《[銀雷]一斉掃射》 』
──ドゴオオオオオオオンンッッ!!!
「カ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!!!!」
殴られた分身は消え去ったけれど他はまだまだ健在。その分身達から一斉に放たれる銀の雷は犬耳ちゃんの体を焼いた。
「き、カヌ...!全て...喰ラッテヤル...!!」
『 まだまだよ[銀雷] 』
───ドゴォォオオッッ!!!!
『 なっ!?食べた!? 』
「けぷ...お返しダ...ガァァァッ!!!」
───ゴァァァアッッ!!!!!
まるでどこかで見たピンクの丸い生物のように銀の雷を食べ、口から同じく銀色の光線が飛び出した。すずに直撃はしなかったものの、すずの背後で蠢いていた黒い雲が衝撃波で晴れるほどなのだからそれは相当な威力だったはず。すずは1ダメージしか受けないから大丈夫だけど、それがもし下にいる街の人たちに向けられていたらと思うとゾッとする。
「はッ!!!」
───ドゴンッッ!!!
考えても仕方ないので私も攻撃に回る。背中目掛けて拳を叩き入れた。...んだけどぜんっぜん効いてないんだけど...?
「ぐ...ぅ...!邪魔を、スルナァッ!!」
「うわっ!?あちょっ!?危なっ!」
もはや槍さえも捨てて殴り掛かる犬耳ちゃん。何とか避けられてるからあれだけど1発1発がソニックブームを起こして私の肌に傷をつけてくるほどに凄まじいから当たったら...また死んじゃうだろうね。
『 私を無視しても良いのかな?《インフィニティ・サンダー・マイン・レイ》! 』
───ギュゥゥゥゥンンンッッ!!!!!!
銀色の光の束が私に殴りかかってきていた犬耳ちゃんを襲う。まともに反応できない彼女はそのまま無防備にそれを受けた。
「ぁ...が......」
『 可愛らしい子犬ちゃんには申し訳ないけどとっととあの世に帰りなさい。《避雷針》《虹色の雷鳴》 』
小指の長さほどの小さな針が犬耳ちゃんの頭に突き刺さり、空の黒い雲はなんと虹色の雲となった。ゴロゴロと音を立て始め、ついにその時は来た...
「ぁ、ぁぐ...」
『 新しい体での初戦闘...楽しかったわ。 』
───パチンっ...
────ドゴォォオオオオオオオオオンンッッ!!!!!
虹色の雷の全てが犬耳ちゃんに直撃する。その光景はまさに天変地異。《虹色の雷鳴》は確か自身を中心にランダムで虹色の雷を落とすスキルだった。だからあの《避雷針》が招雷の役割を果たしているのだろう。
「うわぁ...」
『 あれだけ硬いんだからこれぐらいでもしないとね。それにあの子死なないでしょ? 』
「ぎ、ぁ...ご、ほっ...」
『 ほらね? 』
「ほらねじゃないんだけどね...?」
こんなに苦しそうにしてるからちょっと可哀想に思えてくる。
───ここはお主のいる場所では無い───
「ぁ、がァァァっっ!!!?!!?」
『 え、なになに誰の声...?ってかなんで苦しそうなの? 』
「わ、わかんない...。」
「ヘル、ン...さま......私ともっと......」
───ズモモモモモモ......
突如として現れた黒い霧に呑み込まれた犬耳ちゃんは霧が晴れるとそこにはもういなかった。
『 一体なんだったのかしらね? 』
「あの子大丈夫かなぁ...?」
『 あら?私がいるのにほかの女の心配? 』
「もうすずったら...。」
なんともスッキリしない終わり方だったけど...一件落着かな?
○TIPS○
・投稿しないと思った?
まだまだ今日は終わらないぜ相棒。
・アルテリアちゃんボッコボコ事件
いくら全ステ20倍とはいえHPはそのままだからダメージさえ与えられれば倒せちゃうんだよね。(なお防御力も20倍だからそれ相応の攻撃力は必要とする)
・一件落着?本当にそうですか?
というわけで次回は番外編です。




