番外編 緊急防衛イベント開始...!
ウンドージア国の青い空に巨大な黒い亀裂が入る。その真下の地上には数多くのプレイヤー達やウンドージア国の騎士たちがそれを警戒している。
──ピシッ...!!!
──ゴロゴロ...ゴロゴロッッ...!
黒い亀裂の向こう側には暗雲が立ち込めており、赤い雷が駆け巡っている。固唾を呑んで見守る中、誰かが亀裂の奥に誰かが居ることに気がついた。
「お、おい...なんかいねぇか...?」
「え、ど、どこ?」
「ほら!あそこ!!」
「......ま、マジやんけ!」
──バギッ...ピシピシッ...バギギッ...!!!
──急襲まで残り 10秒───
───パキ、ン...ッ...
───ゴォォオオオオオッッッ!!!!!
「な、んだこの風...!!」
「きゃぁぁっっ!!?!!」
完全に空間が崩壊し、黒い瘴気とも呼べる何かがこの世界に流れ込んでくる。そして、その空間から現れたのは一体の人物だった。
「──黒き者に正義の鉄槌を。邪魔をする者は白き者であろうと容赦はせぬ。」
ゆっくりと浮遊しながら降りてくるその人物...門主王アルテリアは右腕の槍を地上に向けていた。その矛先は冒険者ギルドから聖なる武器を預けられた唯一のプレイヤー...カインに向けられていた。
「か、かかかカインさんどとどうしますかか?」
「そう慌てるな。まずは鑑定班に鑑定してもらおうか。」
「「「「「《重複鑑定》!」」」」」
通常であれば自分たちのレベルを超える相手やスキルのレベルが低い場合であれば相手のステータスを見ることは叶わない。しかし、複数のプレイヤー達が力を合わせて鑑定すれば見えないものも見えるようになるのだ。
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【名前】門主王アルテリア《RAIDBOSS》LV.1511 状態:正常
【弱点】コア
【苦手属性】天、獄
【説明】あの世とこの世を繋ぐ狭間の管理を神から任されている七大罪の内の一角。暴食と名高い彼はその名の通り魂を喰らって自身の糧としているがその代わりに魂を浄化してあの世に送り届けている。あの世に送る前の魂達を吸収して一時的に力を借りる事も可能であるが彼はそれを嫌っているため滅多にやらないが、今回はあの世とこの世の魂のバランスが崩壊した事により怒りに燃えている。
HP:1566320/1566320
MP:1543198
STR:1204157
VIT:251280
DEF:211840
AGI:393695
INT:1419158
DEX:114517
MND:623509
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「はっ!化け物かよ...!」
カインが冒険者ギルドから授けられた武器は両腕に装着する聖なるガントレット。数々の聖女によって天属性が付与された世界最高峰の武器である。
「...今度は無様に負けてやるものか。《鬼神化》!」
アヤネにコテンパンにしてやられたカイン。苦労して受け継いだ《鬼神化》でさえも歯が立たなかったアヤネとの戦いの後だからかカインの目は燃えていた。
「ちょ、ちょっとカインさんなんか燃えてません!?」
...物理的に燃えていた。
「おいアヌビスモドキ。俺達とやり合おうじゃねぇか。」
「あぬびすもどき?知らぬ名だな。先程も言った通りだが白き者であろうと邪魔をするならば容赦はせぬ。フンッ!!」
そういうや否やアルテリアは槍を構えてカイン目掛けて投げ下ろした。
───ギュォォオオオオオッ!!!
「ハァッッ...!!!!」
カインも負けじと構えを取って槍の側面を叩いて逸らす。
──ズガァァァアアアアアアアアンンンッッ!!!
逸らした槍は後方に飛んでいき、地面を割った。砂煙が晴れる頃には槍は無くなっており、いつの間にかアルテリアの手元に戻ってきていた。
「中々やるようだな。しかしお前程度に他の人間どもが守れるか?」
「お、おいまさか!!止めろ!!」
「《獄炎:対象・黒き者》」
「止めろっつってんだよッ!!!!」
───ズガァァァアアアアアンンッッ!!!
「ぐっ...。」
アルテリアの顔面に一瞬で飛んできたカインの拳が当たる。天属性のガントレットの効果であろうか、大きく仰け反らせたもののアルテリアは槍を横に薙いでカインを弾き飛ばした。
「ぐはぁっ!?」
「か、カインさんを援護ぉぉぉおおお!!!!」
「「「「おぉおおおおおっっ!!!!」」」」
矢やら魔法やらが飛び交い、アルテリアを狙うがそのどれもが全て体に当たると弾かれる。...それでも1ダメージは与えているだろうが。
「ペッ...やっぱ強い奴と戦うのは楽しいな...。」
カインはニヤリと笑った。
魂をくらい続けたことによって超強化された暴食の門主王アルテリアさんvs傲慢の豪鬼王心牙童子の弟子カインさん




