番外編 門主王アルテリア
───ゴォォオオオオオッッッ...！！
「......。」
至る所に黒い火柱が立ち上る場所。そこには一つの門があった。その門は現世とこの世を繋ぐたった一つの綱。死した魂が地獄や天国に行く前に通るこの門にはとある人物が立っていた。
「...。」
──バグッ...！！
『ギャァッ...！？』
無限に続く魂の行列。その先頭ではそのとある大きな人物が濁った魂達を掴み、丸呑みをしている。
「むん...！」
そして手から綺麗になった魂達を召喚し、門を潜らせていた。彼の名はアルテリア。犬の顔を持ち、人の体を持つ七大罪の内の一角だった。別名:暴食やら門主王とも呼ばれる彼はこの門で魂を喰らって浄化させていた。
そんな彼には1つ悩み事があった。
「多い...。」
普段なら1日1万程度の死者数なのにも関わらず、朝からもう既に2万は超えている。ココ最近ずっとだ。一体現世で何があったのか。何が起きているのか。それが彼の最近の悩みであった。
「埒が明かぬ...。」
この間にも毎秒20体以上の魂を浄化しているが、長い長い行列は途絶えることを知らない。これが毎日続くものだからアルテリアは溜まったものでは無い。
「...命を、なんだと思っている。」
ここに流れ着く魂達は9割9分が魔物のもの。これでは現世の生態系が崩壊してしまう。これほどまでの事件を引き起こした者を赦しては置けない。
「私が直々に喰らってやる。」
自慢の槍を召喚し、並ぶ魂達を一瞥する。
「お主たち。私の力となってくれ。」
左手を翳し、並ぶ魂達をその手に吸引する。それと同時に力が漲ってくるが本来ならばこういった事をしたくはない。だがこれ以上死者数を増やす訳にも行かない。
「...しばし借りようぞ。」
──ガンッッ...！！
槍の石附を地面に叩きつけ、魔法陣を召喚する。彼がその上に乗ると淡く光りだし、彼の力を高めた。
「しかし...他の大罪共は何をやっておるのか。こうなる前に鎮めることはできなかったのか？...まぁ良い。久しぶりの現世だ。存分に楽しませてもらおうじゃないか。...フンッ！！」
───ギュォォオオオオオオオッッッ！！！！
──ギャィイイイイイインンッッ！！！！！
──ジジジッッジジジジッッ...！！！
槍を渾身の力で投げ、現世とこの世とを隔てる結界を攻撃する。神の創り出した結界はそう簡単に割れるものでは無い。しかし神に準ずる力を与えられたアルテリアに壊せないものでもなかった。
「フンッ！！」
───ビュォオオオオオオッッッ！！！！
──ギィィィィンンッッ！！！！
───パ、キンッ...！！
何度も何度も投擲し、ようやく黒い空にヒビが入り、青い光がこの世界に入ってくる。
「...黒い奴は皆殺しにしようぞ。」
彼は魂の色を見ることが出来た。白に近ければ近いほどその魂は穢れを知らぬ純新無垢なもので、黒に近ければ近いほどその魂は悪に染まっている。一度でも悪意を持って殺生を行えばその魂は一生濁る。それを何度も繰り返せば真っ黒に染まる。つまり...
魂が黒い奴がこの事件に関与しているとアルテリアは推測したのだ。
「命を粗末にする者は、断じて赦さぬ。死を持って償わせようぞ。」
暴食の門主王アルテリアが現世に来る日は近い。
────────────────
─────────────
──────────
──────────
・緊急防衛イベント『怒りに燃える門主王』の開催
プレイヤー達の増大によって日に日に増える魔物達の死亡数に怒りを覚えた冥界の門の主アルテリアがこの現世に来ようとしている！仲間たちと協力してアルテリアを撃退しよう！
・『レイドボス:門主王アルテリア』
現世に来ようとするのは冥界の門の主アルテリア。七大罪の暴食や門主王としてよく知られ、大きな槍と天獄魔法を用いてプレイヤー達を圧倒するだろう。
・『冥界の門が今、開かれる...！』
次に急襲する場所:ウンドージア国
次に急襲するまで後 27時間 ！戦闘に備えよ！
・『支給武器』
各国の冒険者ギルドは天啓を得て強いと思われる冒険者に武器の支給を施した。冒険者ギルドにつき1つしかないその武器は並の武器とは一線を画すだろう。
そして何より、聖属性が付与されているためアルテリアの怒りを浄化させる作用がある、らしい...。
イベント期間
・本日11/30～アルテリアの怒りが収まるまでを予定しております。
──────────
七大罪がようやく出揃いました。ずっと前から考えてたこの子がやっと出せて嬉しい限り...。どうやってストーリーに出そうか悩んでたけど、ちょうど良く全国でスタンピードが起きてたからそれを利用させてもらいました。
