第598話 第2形態...?
私を囲うように空から見下ろすたくさんのレティシアさん。ゆらり、ゆらりと踊っていた彼女達が剣の切っ先をこちらに向けると突然その姿が掻き消えた。
『『『隙だらけね!』』』
「...。」
───ギィィンッッ!!
私は心眼で私という人物を客観視することでどこから攻撃が来るのかを見ている。それによってほぼ同時の複数人からの攻撃を刀で防ぐことができる。
『『『『『なら数を増やしましょう。』』』』』
『...ご自由に。』
もはや空を覆い尽くすほどの数にまで増えた彼女。私は短刀もインベントリから取り出して極限まで集中する。...いやまぁいつも集中してるけどね。
『『『『『防ぎきれるものなら防いでみなさい!!』』』』』
「っ!」
────ギギギギギギャィィィンッッ!!!
───ギギギギィィンッッギギィィンッッ!!
こちらも踊るように足を軸にして回転して2つの刀で攻撃を弾いていく。刀は私の体にピッタリとまではいかないものの、近づけることで回転率を少しでも上げる。
「...慣れてきたかも。」
『『『『『っ!?』』』』』
───ズシャッッ!!
当たり前のように死角から襲い来る無数の有効的な攻撃のみを弾き、僅かな負傷承知で無理やり彼女...の分身を斬り伏せる。ボフンと消えたのを見て彼女達は距離を取った。どうやらこのまま続けていたら危険だと感じ取ったのだろう。負傷承知とは言ったものの私が攻撃を受けた翼は切り傷しか入ってなくて、ダメージも1ダメージのみだ。...まぁ刀の継続ダメージの方が大きいけどね。一々切り替えてるけど中々大きい...。
そして観察して分かったのだけど分身の彼女たちは口は動くものの、表情は動かないみたい。唯一本物のレティシアさんは我慢しているみたいだけど所々で驚いたりと反応してしまっている。
本物はあそこか...。
『『『『受け身ばかりでつまんないわね!』』』』
『そりゃどーも。』
『『『『褒めてないわよ!』』』』
一瞬攻撃の隙ができたので強引に分身たちの包囲網を抜ける。そして足に力を入れて本物目掛けて跳びながら2本の刀を構える。
──《刀堂流刀術・双月》──
───ズガァァァァァァァァンッッッ!!!!
『あっ...ぶないわね!?ゆ、油断も隙もないわ...。』
「まだだよ!」
───シュパパパパパパパパパパパパッッッ!!!!
───ギギギギギィィィンンッッ!!
『ちょ、ちょっと...うひゃっ!?あ、危なひゃぁっ!?』
「はぁぁぁぁぁあっっっ!!!!」
攻撃する隙を与えないようにこちらも死角から攻撃する。反応速度は良くても察知能力がなければ防げない。現に何とか視界に入って見える部分は防がれているが、背後からの攻撃には点で反応できていない。
「はァっ!!!」
『ぎィッ...!!』
上から攻撃するとレティシアさんは苦悶の表情で地面に叩きつけられる。そこで逃がすほど私は甘くない。天力を手に纏って砂埃が舞う地面にダイブした。
───ズッ...ガァァァァアアアアアンッッッ!!!!
「...逃げられたか。」
───バサッ...!!
翼を大きく広げて砂埃を払う。そこに立っていたのはレティシアさん...とセレスティアさんだった。何をする気なのかを警戒しながら見ていると説明してくれた。
『私から吹っかけた勝負だけど...アメリカ代表として負けられないのよ。』
『...そういうことです。僕達は2人で1つ...つまり勝負はここからです。』
『...それで?2対1で戦うってこと?』
『『いいえ!戦うのは私だけです!』』
──《天秤の天使》──
「なっ...!!」
レティシアさんとセレスティアさん。互いに手を取り合って文字通り溶ける。そうして混ざり合って光となった。
───カァッッ...!!!
『『私のことはセレティシアと呼びなさい!』』
金色と黒が左右半々に分かれている髪に一房ずつの黒と金のメッシュが入っている人物。目もオッドアイでそれぞれレティシアさんとセレスティアさんの目の色となっていた。両手に持っているのは槍と剣。どちらも彼女たちがメイン武器としていたものだ。
『『私は貴女のことを見誤っていたわ。だから...今度は私の本気をもってして相手をしてあげる!』』
『そうですか...。...分かりました。』
黒狼王の魔短刀...ちょっと苦しいかもしれないけど私に着いてきてくれるかな?
そうして私はセレティシアさんの後ろに見える大きな天秤に目を向けたのだった。
レティシアさんとセレスティアさんの合体です。ステータスは次回に...。ちなみにセレスティアさんのステータスに伏線にもならないネタバレがありました笑




