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番外編 試練の塔の裏側



AIによって無数に生成された世界。その内の1つ...常に吹雪く世界に彼らは生まれた。



「ん...。」



表一族のリーダー。そんな役目を負って生まれてきたのが表吽だった。そんな彼は幾度の転生を果たしていた。



「...ふっ...今回の挑戦者は強かったな。」



挑戦者とは言わずもがな試練の塔に挑戦した者のことである。今回の場合はアヤネたんだろう。先程起こった戦闘を思い出し笑みを浮かべる表吽。妖艶の美女のごとくその姿は数々の男を魅了する。え?何かがおかしい?そう思うのも無理はない。



今回表吽が転生、もとい憑依したのは表一族で最も幼い少女だったのだから。



「...いやぁまさかあそこで首絞めされるとはな...。少し抜かったか。」



少女...とは言いつつもその姿は人間で言う大人の女性である。そんな彼女の倒れた木に腰掛けてぷらぷらと足をばたつかせるという幼子のような行動が少し目に余る。



「表菜?そんなところでどうしたの?」

「...んぁ?あぁこの体の持ち主の名か...。済まないなそこの者。我の名は表吽。今回はこの体に憑依してしまったようだ。」

「そ、それは...ようございました!表吽様のお帰りを私たちは歓迎致します!」



パタパタと駆けて行く表菜の母親。きっと表一族全員に表吽の帰還を伝えに向かったのだろう。なにせ表吽がこうして死んで一族の息子、娘に憑依するのは実に300年ぶりであったからだ。



「うぅむ...。それにしても女性の体というものは、慣れないなぁ...。」



表菜に憑依した表吽。男としての自我が強い表吽にとって女性の体に憑依した事実は中々のものであった。



「それに、首筋の切り傷が気になるな...。」



首をぐるりと1周するようについた切り傷。1週間もすれば治る程度ではあるが、憑依する前にこの少女に何があったのだろう。


きっとそう考えている表吽だが答えを言ってしまうと、アヤネたんが唯一殺した少女がこの表菜なのだ。首を切られたばかりの表菜だったからこそ傷痕が残っているのだ。ならばなぜ生きているのか。それは試練の塔の本質にあった。



試練の塔は世界と世界を繋げる塔。天高く聳え立つ塔は他の世界と繋がっているのだ。そんな塔に入ると、自動的に自身の戦闘能力に見合った世界に接続され、試練として挑戦できる。世界同士が繋がっている間は挑戦する世界でどれだけの死者が出ようとも挑戦者が死ぬか、クリアした後に()()()()()()()()()()()()蘇生する。唯一、ボスである魔物は死ぬと蘇生なんてできないが、その配下の中から新たなボスとして選ばれるのだ。



「裏阿の奴はどうしておるだろうか。」

「呼・ん・だ?」

「呼んではないが気にはしていた。」


──ぎゅむっ...!


表吽の後ろから大きな胸を押し付けて抱きしめる1人の女性。ニヤニヤしながら表吽に抱きつく彼女の顔はとてもじゃないが見せられたものではなかった。



「...いつも思うがお主我が男の時と全く態度が違くないか...?」

「え?だって私女の子好きだもん。すぅはぁ...ヒョウのやつが女の子になったって聞いていても立ってもいられなくなっちゃった☆」

「ひゃっ...く、くっつくな!だから男の体が良かったんだ...!」

「え〜?私はずっとこのままでいいんだけどな〜?」

「ちっ...」

「舌打ちは良くないんだよ〜?そんな悪い口には...ちゅ〜!」

「うむぅっ!?ぷはっ...ば、ばかっ!お主何してくれる!?」

「むふふ...」



えー...目の前で起こる惨劇(いちゃいちゃ)だが...まぁ互いに魂が繋がっている番どうしなのだから...存分に貪られてくださいませ...。



「ちょ、おい!そこの!コイツを剥がしてくれ!」

「...裏阿様に触れるのは不敬に当たりますので...。申し訳ございません。」

「何を言っている!我が良いと言っているんだ!」

「ふへへ...ヒョウちゃん。あっちでイイコトしよ?♡」

「嫌に決まってるだろうこのバカタレ!」

「じゃあ力づくで。お互いに憑依したばかりだけど私の体の方が力があるから抵抗できないよ〜?ふふふふふ...♡」

「い、いやぁぁぁぁっっ!!!」


─────────────


────────


────


かくして1人の少女...女性は番の女性に心ゆくまで貪られたのであった。めでたしめでたし(?)


結局百合なんだよなァっ!!ヒャハハハハッ!!!(狂乱)

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