第589話 表と裏、裏と表
ボスの部屋に繋がっているだろう黒い階段を登ると案の定いた。
「2人...。」
──カシャンッ...カシャンッ...
全身を覆い尽くす鎧を着て大剣を地に突き刺してそれを支えにする巨大な金髪男性と、白と黒の大きな2つの弓を背中に背負った軽装の巨大な黒髪女性が腕を組んで仁王立ちしていた。
私はまだ階段を登りきっていないからか、それとも気づいていないからか、目を閉じたまま動かない。今のうちに鑑定しちゃおうかな。
「《鑑定》」
▲▲▲▲▲▲▲▲▲
【名前】表吽《BOSS》LV.680 状態:リンク
【弱点】なし
【苦手属性】暗黒、焔
【説明】光属性と氷属性の魔法を操る表一族の男族長。巨大な体躯と素晴らしい業物の大剣から繰り出される剣戟は並大抵の実力では受けきることはできない。それに加えて身体強化魔法やフィールド変化魔法に精通しているため戦う際は常に自分が不利になると覚悟しておいた方が良いだろう。
対になる存在、裏阿とは見えない線で繋がっており、お互いの存在を理解し合うことができている。
HP:253140/253140
MP:123308
STR:105867
VIT:65070
DEF:86542
AGI:96520
INT:56124
DEX:89652
MND:53900
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
【名前】裏阿《BOSS》LV.680 状態:リンク
【弱点】なし
【苦手属性】聖、焔
【説明】闇属性と氷属性の魔法を操る裏一族の女族長。しなやかで長い腕と素晴らしい業物の大弓達から繰り出される無数の矢はおいそれと防ぐことはできない。それに加えて付与魔法や天候魔法に精通しているため戦う際は常に自分が不利になると覚悟しておいた方が良いだろう。
対になる存在、表吽とは見えない線で繋がっており、お互いの存在を理解し合うことができている。
HP:250327/250327
MP:152430
STR:100241
VIT:53740
DEF:56419
AGI:156307
INT:86524
DEX:95465
MND:55342
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
ステータス高いけどサンダルフォンスパルオンクイーンのステータスを見たあとだとちょっと見劣りはするよね。...それでも十分高いんだけど。
「...よく来たな。」
「...あの群れを突破したこと。褒めてやろう。」
「...まさかあやつらよりも早く突破する者が現れようとは。」
「...うむ。言われた通り準備していたが、正解だったか。」
「えっ...と...?」
「汝武器を握れ...。」
「我ら表裏の長」
「ここまで来た汝の試練として立ちはだかろう」
「「...いざ尋常に。」」
「えぇ...。」
私を無視して突然始まる戦闘。いやまぁ戦闘自体は不意打ちされた方が悪いから突然始まっても文句はないんだけど...。
...それに2人に言われずとも武器はちゃんと握っている。
──ビュンッ!!
──ビュンッ!!
──バギッ!!
当たり前のようにそれぞれ違う方向から飛んでくる2本の矢を横一閃で斬り伏せ、女性の方に距離を詰める。まずは遠距離攻撃ができる敵から倒さないと大変になるからね。
───ビュォォオオオオオオオッッッッ!!!!
私が女性の方に近づくと突如としてこの大きな部屋全体に吹雪が襲った。当然の事ながら女性の方...裏阿を見失い、表吽も吹雪で見えなくなった。
──ズシャァンッッッ!!!
「うわっと!?」
地面から飛び出てくる巨大な氷の柱。フロストサーペントと戦った時もこんな感じだったな...。
「...。」
心眼で辺りの地形を確認。私の周りを凄まじい速度でぐるぐる回っている裏阿と表吽。吹雪に隠れて飛んでくる矢も裏阿がいる方向が分かれば防ぐのもたやす───...!?
──ピシピシ...パキッッ!!
凍りついていく刀をすぐさまインベントリにしまう。付与魔法ってこれのことか。きっと氷魔法を矢に付与したのだろう。インベントリからもう一度刀を出してみてその魔法が消えているかどうかを確認する...けどやっぱり消えていない。
「ハァッッ!!!」
「っ!」
───ガァァァァンッッ!!!!
───ブォォオッッ!!!
さっきまで少し離れた所にいたはずの表吽が私の背後から大剣を振り上げていた。それをなんとか白刃取りで防いだ。その衝撃で辺りの雪どころか地面が捲り上げられた。それに紛れて表吽の横腹を攻撃したかったが、逃げられた。
「...中々厄介。」
二人で一つ...。はて?




