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第586話 表裏の試練の塔




「こんな山奥に試練の塔があるなんてね...。」

「マップがあって助かったかも...。モネちゃん案内ありがとうね?」

「いえいえいえいえ!!!アヤネたんのためならなんっでもしますっ!!」

「そう?」



なんかモネちゃんが出会ったばかりの頃の態度に戻っている気がするけど...それでも頼りになるのは間違いない。私とすず以外の唯一のプレイヤーで道案内もできるモネちゃん。それだけでも十分なのに技術の面でも凄いんだから流石だよね。



「はぅっ!?な、なんだかすごい褒められた気がしますぅっ!」

「もうモネったらいい加減あやに慣れなさい...。ほら、試練の塔に挑戦するんでしょ?」

「は、はい!」



今回も皆で試練の塔に挑戦する。今回はモネちゃんも挑戦するらしいのだけど何が彼女を突き動かすのか...。


「ふっふっふ...アヤネたんの造ってくれた解体包丁があればなんでもできます...!!」

「...戦闘用じゃないんだけどねぇ...。」



と、そんな訳で皆で仲良く試練の塔に入った。...まぁ1人用だから入ったらみんなバラバラに別れちゃうけどね。



───────────────

────────


《表裏の試練の塔に挑戦者が現れました》


《特殊設定を確認──完了──》


《──プレイヤーネーム:アヤネ に状態異常:あべこべ(弱)を付与──》


《アバター情報を記録中──記録しました──》


《環境設定──異常気象:猛吹雪 設定完了──》


《バトルシステム──最終決戦モード──》


《エネミー設定──データ収集中──》


《エネミー設定──完了──》


《レベル設定──計測中──》


《エネミーレベル設定──LV.600に設定完了──》


《ボスエネミーレベル設定──LV.680に設定完了──》


《───》


《─》


───────

─────



「うわぁ...真っ白。」



白い光を抜けた先は変わらず白い景色が待っていた。目の前の木々も吹雪で薄らとしか見えない。...って



「うわわっ!?」



───ぼふんっ!


顔から勢いよく地面に突っ伏してしまう。な、なんか今体が変だった...。普通に歩いたつもりだったんだけど...。



「右脚を動かそうとしたら左脚が動く...?」



座りながら右脚を動かしてみるとやっぱり実際には左脚が動く。逆に左脚を動かそうとしたら今度は右脚が動く。それだけじゃない。



「両手も逆になってる...。」



まるで鏡の世界にいるかのようだ。二人三脚したらもう片方の人と動きが逆になるように今の私もそんな感じになってる。まぁ1人だけど。



「...難しい。」



───ザッザッザッ...



「っ!」


───ヒュッッ!!


突然白い矢が飛んできたので咄嗟に体を逸らすとやっぱり体は真逆の方に逸れる。それでもなんとか矢を避けれたので一度距離を取って木の後ろに隠れる。...ちょっと慣れる時間が欲しかったんだけどそうも言ってられないか...。



刀をインベントリから出して()()に装備する。



「...いつも右手で握ってるからね。」



反転していると意識しなければいいのだ。いつも通り私は右手で刀を握る。そうすれば今の私は勝手に左手で握ってくれる。



「あとは斬る位置が逆になるだけ...。」



相手の防御にだけ気をつければ何とかなる...はず。



───ザッザッ...



徐々に近づいてくる足音。私は木の裏から飛び出て刀を抜いた。



「《カオスチェンジ》」


「っ!?」


───ヒュヒュヒュンッッ!!



沢山飛んでくる矢を避けて、矢を放ってきた人型の影目掛けて刀を振るった。



───スパンッ...ぼすっ...!



雪に埋もれた死体をよく見てみると人型ではあったが、動物に近い見た目だった。それでも女性であるとはっきり分かるぐらい体の線がはっきりしている。



「...。」



人や人型の魔物を斬る時はいつも躊躇っちゃう。けど何もせずにただ死ぬのはもっと嫌。



「だから、」



「隠れてないで出てきて。」





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― 新着の感想 ―
[一言] あべこべ(弱)でこれなら(強)とかになったら関節逆に曲がりそう
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