番外編 左翼の天使
『えーとなになに?...ここはダルシム?』
『そうみたいだね。久しぶりに人が生き残ってるのを見たね...。』
『えぇ。ここは岩肌ばかりだけど基本的に自然豊かだしね。それにしても本当にこのさきのウンドーズから魔大陸とやらに行けるのかしら?』
『このサーバーの掲示板で調べてみたから行けるはずだよ。』
『...日本語読めるの?って思ったけど翻訳機能付いてるから読めるわね。で、目の前の街に強そうな人がいるんだけど誰か分かる?』
『ちょっと待ってね......名前は...「あるきだすぜ」?なんだかアルキメデスに似てるね。』
『あ、ちょうど街から出てきたみたい。...これって私たちのこと気づかれてる?』
『...《鑑定反射》スキルを持ってるみたい。』
『どうする?多分戦闘になるわよ?』
『やるしかないね。この世界での初戦闘が人間とはね...。まぁ向こうの世界と何も変わらないか。』
『ふふっ...アメリカサーバーの代表として無様な戦いはできないわね!』
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───アルキダスゼside
「むっ...。」
頭の中に響く甲高い音。これは《鑑定》スキルが反射されたことを知らせる音だ。それと同時に目の前に俺を《鑑定》してきた者のステータスとその居場所が表示される。
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【名前】セレスティアLV.752
【種族】左翼の天使
【職業】上級鑑定士LV.MAX
【状態異常】正常
HP:40,950/40,950
MP:40,550/40,550
STR:53,260
VIT:43,205
DEF:36,872
AGI:67,835
INT:81,067
DEX:52,659
MND:70,744
【スキル】《鑑定LV.MAX》《剣術LV.MAX》《上級剣術LV.MAX》《身体強化LV.MAX》《天槍術LV.MAX》《銃撃術LV.MAX》《回避術LV.MAX》《防御術LV.65》《聖魔法LV.93》《拳術LV.76》《完全鑑定LV.MAX》《裁縫LV.MAX》《無埃の掃除術LV.MAX》《料理LV.MAX》《生活魔法LV.MAX》《魔力操作LV.MAX》《魔力填装術LV.MAX》《天使の翼LV.MAX》《天秤の天使LV.23》《焔属性耐性LV.72》《流水属性耐性LV.89》《暴風属性耐性LV.85》《大地属性耐性LV.MAX》《暗黒属性耐性LV.MAX》《聖属性耐性LV.25》
SP:0
【装備】高級な執事セット、銃天槍ヴァル・キュリアー、天使のイヤリング、ウィング・リング、昏睡のガントレット
【所有地】なし
【称号】『天使の片割れ』『地上の覇者』『地獄の覇者』『天界の覇者』『聖魔法を極めし者』『試練の塔の覇者』『遠近距離の申し子』『第1回イベント覇者』『第3回イベント覇者』『第2回PvPイベント覇者』『二人で一つ』『天秤の天使』『ジャイアント』『祝福する者』『裁縫神』『料理神』『最強の執事』『毒を以て毒を制した者』
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「...ははっ...バケモンかよ。」
この世界のプレイヤーじゃないことはひと目でわかる。まずレベルが桁違いだ。この世界で今1番レベルが高いとされているジークフリートでさえレベル500を超えたばかりだ。なのに俺を鑑定してきたこのセレスティアとやらはレベル700越えだ。レベル400を超えたあたりから1レベル上げるのも一苦労のこのゲームにおいてレベル700ははっきり言って廃人レベル。この比較的平和な世界じゃ有り得ない。それこそ毎日試練の塔に潜ってなければなれない。
あとはステータスだな。これも化け物すぎる。INTとか8万行ってるじゃねぇか。いやまぁかの有名なアヤネのSTRは10万どころじゃねぇって話だが。
「...くくっ...行くしかねぇじゃねぇか。」
強い者と戦う。それはなんとも嬉しいことだ。俺はまだアヤネを倒せないがいずれ倒してみせる。セレスティアとやらも俺を鑑定したということはそういうことだろう。ならば行くしかねぇ。
足を燃やして空に飛び上がり、あっという間に街を出る。目的の人物がいる街の外に出てみるとそこにはお姫様と執事の格好をした少女が立っていた。セレスティアというぐらいだから女だろうとは思っていたが、まさか少女だとは思わなかった。まぁ執事服着てるが。
「お前が俺を呼んだよな?」
『呼んだ?...あぁ...まぁそうなるか...。ゴホン!...「べつに挑発した覚え、ない。気を悪くしたなら、謝罪する。」
『おぉ〜ティアったら日本語喋れるのね!』
『少しだけね。』
「...やはり外国人か。...『それは関係の無いことだ。俺はお前と戦いたい。』
『ふぅん?』
『おぉ〜あの人も英語喋ってるわね!』
『ちょっとシアは黙ってて。』
『ちぇー...分かったよー。』
俺は地面に降り立ち、構えている左脚を軽く上げた。
『殺気ダダ漏れだし僕が戦わないと言っても無駄なのだろう?ならば軽く相手をしようじゃないか。』
『...舐められたものだな。』
左脚に入る力を抜いて、右脚の爪先一点に全力を込める。
「いざ尋常に...はァァァアッッッ!!!」
───ドゴォォォォォォォンンッッッ!!!!
改めて分かるアヤネたんの異常さ。ちなみにステータス開示してないので世間にはアヤネたんの異常なステータスは広まってません。それでもSTR10万越えは堅いと言われてるみたいですが。
アヤネたんのステータスがなぜ異常なのか...やっぱりスカーレットさんを取り込んだことによる称号の力でしょうね...。『ステータスを倍にする』効果を安易に付けてはいけない(戒め)




