第585話 生命の源
「うぅ...」
「大丈夫あや?」
「今はスカーレットだ...。くそぅアイレーンめ...。」
「そ、そう...あやはどうしたの?」
「...我とアイレーンのやつの因縁だからと引きこもってる。」
「...なるほどね。」
だってしょうがないじゃん。実際私は関係ないんだから。
『...アヤネもアイレーンに狙われてるけどね。』
『......きっと気の所為。』
「は、はは、はく、は...」
「も、モネ?どうかしたの?」
「白髪、美少女ッ...!!ぶはっ!?」
「モネさんっ!?」
なんとワナワナと震えていたモネちゃんが急に鼻血を出して倒れた。皆で慌てて駆け寄るが、淡い光となって消えてしまった。前にもすずが同じことになったんだけど何でなんだろう...?
「ま、まぁ白髪のあやも可愛いからしょうがないと言えばそうなんだけど...。」
「た、確かにそうですね...私たちは2度目ですがモネさんは初めてですもんね...。」
「アヤネ真っ白〜!」
いつの間にかスカーレットに体の主導権を握らされたが、もうアイレーンさんの魔の手からは逃れているのでそこまで気にしていない。でもまぁ...全ステータスが1週間ぐらい半減するのは厳しいかなぁ...。それにMNDも上げないとまた操られちゃうしそこも意識しないとね。
「いつもの赤髪も良いですが白髪だと儚い感じがして良いですね...。あ、魚食べます?」
「っ!いいの?」
「はい。マジュリンドの方で買っておきましたので!では僭越ながら...あ〜ん...」
「あ〜む...。」
「ちょっとアンナさん?」
「アンナ...私にもやらせてください。」
「むぅ...分かりました...。」
うまい。うまい。うん...うまい。
『...語彙力無いなった。』
『失礼な。事実を言ってるだけだもん。』
「んもぅ私を放置して餌付けなの??」
「アイレーン...」
「そういえばなんでここに来たの?」
「んむんむ...久しぶりにアイレーンさんに会おうかなって思ったので来てみました。」
「ふふ...なるほどね。私に会いに来てくれたのね...。ふふふ...。」
「あや...魔生の女...。」
「私の妹に欲しいです...。」
「ふふふ...久しぶりに会ったから旅の途中であったエピソードとか聞きたいなぁ。」
「いいえふよ...。んぐっ...。」
「もうあやったら...食べながら話さないの。」
「はぁーい。」
─────────────
────────
「そんな事があったのね...私はここから動けないから新鮮だわぁ...。」
「また旅の思い出ができたら来ますね。」
「えぇ。ありがとう。それで、今度は北の炎の国にでも行くのかしら?」
「はい。そのつもりです。」
この世界で中心にあるブラックアイを除く大陸の中で唯一行っていない国が氷の国の北にある炎の国。そこに行けば実質全部の国を旅したと言っても過言じゃないだろう。
「でも暑そうよね...。まぁ私は金属の体だから暑さも寒さも感じないけど。」
「私も焔龍王だし熱には強いよ。あ、でもアリスとモネちゃんが心配かも...。」
「私は...到着するまでに涼しくなる魔法を開発しておきます...。範囲魔法にするつもりなので恐らくモネさんも大丈夫かなと。」
「お嬢様を守る為ならば何処へでも。」
「私達も大丈夫そうよネ。」
「アイリスはいつでもひんやりしてるからね〜!」
「ちょっとくっつかないデ...。」
「ふふ...なら私からはこれをあげようかしらね。」
「?」
そう言ってアイレーンさんが取り出したのは大きな天魔石。ん?なんか私の持ってる欠片よりも透明に近い?
「私も研究を続けててね。前に一緒に創った天魔石よりも純度の高い天魔石を創れるようになったのよ。」
「ほぇ〜...すごいですね...。」
「空島の燃料にするもよし、武器や防具、道具に付けるのもよし。アクセサリーにしても良いかもね。あ、そうだった。これもプレゼントするわ。」
そしてアイレーンさんがもう1つ取り出したのは何かの玉?
「ふふ...今はなんの宝玉かは内緒。いつかわかる日が来るかもね。」
「...?」
「あや、もう行きましょ?」
「う、うん。それではまた...。」
「えぇ。またお話しましょうね。」
パチッとウインクをしたアイレーンさんに手を振ってお城を出る。透明度の高い天魔石と青い水晶のようなもの。いつかわかる日が来るかもって言ってたけど何なんだろうね...。
「次は炎の国ね。炎の国での用事が終わったら一旦空島に帰る?」
「うん。」
炎の国での用事、それは試練の塔だ。もうすぐで終わる試練の塔も残るは3つ。この氷の国で行っていない試練の塔もあるからそこに寄ってから炎の国に向かうことにする。
「とりあえずモネちゃんを待とうか。」
「そういえばそうね...。」
「ふふ...そうでしたね。」
鼻血を出して倒れたモネちゃんが再びログインしてくるまで私たちは待つことになった。




