第560話 愛の表現
──次の日。
結局あやは目覚めなかった。癒那とかいう超人少女に治してもらったはずだけど、やっぱり病院に連れていくべきだったかな...。人の脳は未だに全てを解明できていない。早く目覚めてくれるといいな...。
その日も学校帰りに寄っていき、刀夜さんお手製のディナーを食べて泊まった。もちろんお父さん達には伝えているから問題は無い。お昼は刀夜さんがあやの看病をしていたらしく、いつも聞こえている鍛治の音は今日は流石になかった。
ちなみにあやの抱き心地がいつも通り良かった。
──その次の日。
「ぁ...ぅん...?」
「すぅ...すぅ...。」
「あれ...すず...?なんでいるの...?」
「んぇ...おはよぅあや...。おきた、のね。」
あやがついに目覚めた。ケロッとした感じのあやを見て嬉しく思う反面、これから看病を名目にあやと寝れないという事実に寂しく思ってしまう。
「今日は学校だよすず。早く起きて?」
「えぇ。...あやは知らないと思うけどあやは一日中寝てたんだからね?」
「え...え?つまり...え?」
「大丈夫よあや...1日休んだぐらいで怒られないわ。」
「うぅ...。」
泣き顔が唆...大変可愛...可哀想なあやだが、脳内で保存して学校の準備をする。まだフラフラしているあやの手を取って食卓につくと、刀夜さんがジロっとあやを見つめた。
「...危険なことはもうするなと言わなかったか?」
「うっ...ごめんなさい...。」
「3度目はないぞ。」
「...はーい。」
刀夜さんは怒っていたが、刀夜さんなりの愛を感じた。私もなんであんな事をしたのかと聞きたい気持ちでいっぱいだからね。...まぁあとで学校で聞くけど。
「「行ってきます!」」
「...行ってらっしゃい。」
そう言って私たちの頭を撫でる刀夜さんの顔は少し微笑んでいた。え...イケおじの刀夜さんが、笑った...!?
───パシャッ...
「...なんだそのスマホは。」
「いえ、刀夜さんが珍しい表情をしていたので。」
あとであやにも送ってあげよう。
──────────────
そんな訳で学校に着いたのだけど、やはりというか、人気者のあやの休んだ理由を聞いてくる人が多かった。クラスメイト全員が『セカンダリア・オンライン』をやっていて、かつ一昨日の生放送を見ていた人がほとんどだったからあの異常事態もしっかりと見られている。
「え、えっと...その...私もよく分からない、です...?」
「そっかぁ...ごめんね病み上がりに...。」
「ううん大丈夫。」
普段は1歩離れてこちらを見てきていた子達が揃いも揃ってあやに迫るからあやが怯えちゃってるじゃない...。
「あや。おいで?」
「うん...。」
あぁ...今日のあやは素直で可愛いなぁ...。もう...こんなに震えちゃって...。ぎゅぅっと抱きしめちゃう!
「と・こ・ろ・で〜...。」
「ひゃいっ!?」
「な〜んであんな状態になったか〜...聞かせてもらってもいい...よね?」
「はぅっ...耳、ひゃめっ...。」
「答えて。ふぅっ...」
「ひょゎぁっっわ、わかったから...!」
曰く、あやは本当に覚えていないらしい。カインさんとの戦闘で一度気絶したあと、いつの間にか勝手に歩いていたらしい。ぼやける視界の中で誰かと戦ったことだけは覚えているんだとか。...意識がしっかりしてないのにジークフリートさん達に勝てるって...。
「...心配したんだからね。」
「ご、ごめんね?」
「ん。」
...私も結構参っちゃってるみたい。まさか一日中目覚めないなんて思わなかったから...。
もう絶対離さないからね...。
「ちょっとすず...苦しいよ...?」
「必要経費。」
「どういうこと!?」




