第546話 警戒態勢
「それで、あやがいない間私たちの方でも結構敵とあったんだよ?」
「そっかぁ...。ごめんね?」
「いや瞬殺だったから気にしてないんだけど、やっぱりあやがいないと精神的につらいし...。」
「私は精神安定剤だった...?」
「すんすん...うーんやっぱりいいね...。」
「ひゃっ...ちょっと分かったからやめ───」
───ヒュォォオオオオッッ──!!!
───ギィィィンッッ!!!
「ちょっと待っててね。」
「え、えぇ。」
「な、何があったんですか...?」
側に置いていた刀で矢を真っ二つにした私は2人を背に矢が飛んできた方向を警戒する。私だけなら突撃するだろうけど、そうすると帰ってきたあとのすずが怖い。みんなで行くっていう手もあるにはあるけど相手は私の察知できないところから矢を飛ばしてきている敵...つまりヨイチマルさんのいるチームだ。ジークさん達もいるから全員生存は難しい。
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「あ、あや?ずっと警戒してるけど疲れちゃうわよ?」
「ん。大丈夫。」
かれこれ10分程度か。全方位を警戒し、いつなんどきどんな攻撃が飛んできても弾けるように刀を構えている。一瞬たりとも油断はない。また場所を変えてヨイチマルさんの矢が飛んでくるかもだしね。
「───!!」
──ビュォォォォォォオッッ────!!!
───ギィィイイイインンッッ!!
今度は先程とは真逆の方向から矢が飛んできた。しかも先程よりも強力な一撃だ。
でも何かおかしい...。もしさっきの矢と今の矢をヨイチマルさんが撃ったとしたら10分ですごい距離を移動したことになる。
それでもなんとかやり遂げそうなクランだと思うけど、1人だと決めつける必要もない。
今いるここは岩山で2本目の矢が飛んできた方面は高い崖となっている。つまり2本目の矢は崖を超えて山なりに飛んできた事になる。1本目と比べて威力が凄まじかったことからこっちの方が本物のヨイチマルさんっぽい感じもするけどどうなんだろう...。
「下手に動けないね...。」
「挟まれてる?」
「うん。なんだかヨイチマルさんが2人いるみたいで...。」
「うわぁ...それは引くわね。」
すずも同じ気持ちのようだ。それにしても少なくとも2人には私たちの位置が割れていることはわかっているから挟まれていることに変わりはない。...矢を撃ったのが1人なら予測は外れたことになるけど。
「どっちかに向かう手もある...けど位置がバレてるならやっぱり漁夫られちゃうわね。」
「うん。待ちでいいかも。」
「ヨイチマルさん...ってあの有名な弓の人ですよね?」
「えぇ。弓の使い手でこの世界で右に出る者はいないって言われてるわね。」
「ほぇぇ...そんなすごい人に狙われてるんだ...。」
「...モネちゃんも同じチームだけどね?」
「そうでした!」
どこか他人事のモネちゃんを諭して警戒にまた集中する。
───ヒュヒュォォオオオオッッ!!
───ギギィィンッッ!
またもや矢が飛んできた。しかも複数。それを正確に当ててくるの凄すぎる...。まぁなぜか手を抜いているみたいで威力は2本目の矢とは劣るけど。これは誘われているという認識でいいのかな?誘われたなら...
「あや。行っちゃダメよ?」
「.........分かってるよ...。」
「なんで残念そうなんですか...。」
「あやは戦闘狂だからね〜。」
「戦闘狂じゃないもん!戦闘狂は杏子さんだけだもん!」
「分かったか───...。」
───ガギィィィイイインンッッ!!!
「...ふぅ。」
「ぁ、え...?」
今度は強烈な一撃。これが本命だったみたい。隙を突いてモネちゃんを狙ったヨイチマルさんだけどさすがに私が近くにいるから殺させないよ。
でも他のチームの警戒もしなきゃね。




