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第543話 殺意




───遡ることほんの20分前...



毒が体全体に回りきったことによって意識を失ってしまった私だったが、その後1分ぐらいの空白を置いて蘇生した。...はずだった。



───残り 20分───



真っ暗闇の目の前にはたった一言。それが何を意味しているのか、私は前に一度この状態になった事があるから分かる。...この時間が過ぎるまで目を覚ますどころか体も動かせないということだ。



しかし体が動かせないとはいうものの、意識だけはあるため周囲の様子は何となく分かるのだ。すずが私を復活させて、モネちゃんがそんなすずを守って...。私のために必死になってくれて嬉しかった。



...その後からはちょっと、ね。まさか眠ってるところを抱きつかれて首筋の匂いを嗅がれるなんて思わなかったよ...。...10分ぐらい。

その後も戦闘中なのにも関わらずたまに私の首にキスしてきたり...こんなにももどかしかったのは初めてかもしれない。というかちゃんと集中してよすず...。



「んんっ...。」



それからしばらくしてやっと体が動かせるようになったのでちょうど襲われそうになっていたモネちゃんの近くの敵目掛けて短刀を投げつけた。ずっと暗闇にいたからか暗いはずの洞窟内でさえもすごく明るく見えて思わず目を擦った。ちなみに敵の場所が分かったのは心眼のおかげだ。



「あ、あや。起きたの...?」

「ん。おはよ。」

「えぇおはよう...。」



私を後ろから抱きかかえているすずに挨拶をして怯えているモネちゃんに顔を向ける。私はそのまま立ち上がってモネちゃんを抱きしめた。



「ふぁっ!?にゃ、にゃにをぉっ!?」

「怖かったでしょ?」

「ふぇ...ぁぁ...はぃ...。」



涙ぐんだ声になるモネちゃんを抱きしめたまま、私ちらりとすずを見ると、すずは頷いて呆然としている残された敵に杖を向けた。


「《サンダー・マイン・ストライク》!」


「「え...ぎゃぁぁぁっっっ!!!」」



不意を突かれた敵はまともに防御することすら叶わず、そのまま死んでいった。



「モネちゃん。」

「は、はぃ...。」

こういうの(人に殺されるの)は初めて?」

「...はい。今まで人に殺されたことは...一応ありますけど、明確な殺意を向けられたのは...初めてで...。PvPイベントもこれが初めてなんです...。」

「殺されたのはミツルさんかな?」

「はい...その時は一瞬で意識が無くなって気づいたら自室のベッドの上だったので特に何も感じなかったんですけど...。」



人の殺意は怖い。悪意ない何気ない一言でさえも人を死に追いやることもあるのに明確な殺意を向けられれば慣れていない人はみんな怖いだろう。ましてや相手は自分よりも2倍近く大きい異性だ。



「...これからこういった危険な目に遭うことはたくさんあると思う。」

「...。」

「できるかぎりモネちゃんを守るって誓うけど、それでも怖い目に遭うかもしれない。」

「...はい。」

「それでも...ついてきてくれるかな...?」

「...どこまでも、どこまでもついて行きます...!!」

「ありがとうモネちゃん。」



私を抱きしめる力が強くなった。モネちゃんはちゃんと覚悟を決められたようで良かった。



「あや。」

「なに?」

「私にも抱きついて。」

「やだ。」

「なんで?」

「...さっきまでずっと抱きしめてたでしょ?私意識だけはあったんだから...!」

「っ...そ、そうだったの...?」



赤くなる顔を抑えながら私はすずを睨みつけた。すずも自分のした事が私に認知されていることに顔を赤くしている。自業自得である(引き分け)


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