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番外編 赤い少女と赤の魔法使い②




「ここら辺だな...。」

「街から遠く離れた場所だけど本当にいるんすか?」

「...いる...はずだ。地図と照らし合わせてもやはりここが1番目撃情報が多い場所で間違いない。」

「もうちょっとだけ探します?」

「そうしよう。」



真っ白い景色の中、10人分の足音と吹雪く音だけが耳に入る。防寒具着てても寒すぎて炎魔法で常に温めたているからか明るさは問題ない。ただ、戦う前にこんな事でMPを消費することになったのはまずい。数々のプレイヤー達を屠ったとされるPKの赤髪の少女。その強さは未知数だから万全で挑みたかった。



「レンさん!ここに足跡があります!」

「本当か!」

「消えかかってますけど小さい子供の足跡で間違いなさそうです!」

「よくやった!その足跡はどこに続いてるんだ?」

「えっと...」



「───ここだよ。」



───ズバンッッ!!


「ぐぁぁっっっっ!!?!!?」


「カール!!総員距離を取れ!!」

「「「はい!!!」」」



足跡を見つけた風魔法使いのカールの胴体に大きな穴が空く。残り9人となった俺たちの中で緊張が走る。俺はすぐさま焔魔法で創った槍を持ち、赤髪の少女の前に立った。



「みんな援護を頼む。」

「ぼ、僕も前に出ます!」

「俺も出るっす。」

「『シルフよ...彼らに風の祝福を...!』」

「うおっ!体が軽くなった!?」

「精霊ですね!すごいです!」

「後衛は任せてください。《アイス・プロテクション》!」


「連携が取れてる。すごいねぇ?」


「お前は何者だ。何がしたい?」


「あはは。いいよ特別に教えてあげる。...俺がお前たち人間や魔人、魔物を殺して回るのは大事な女を守るためさ。全て殺してしまえば危険なんて無くなるだろう?」


「横暴すぎるな。」

「話にならないですね...。」

「『ウンディーネよ...あの者に水の制裁を!《ジェット・ストリーム》!』」


───ズバァァァァアアンンンッッッ!!!!


マオの体から水の精霊が現れ、水魔法を放つ。その強大な威力を持つ魔法は無防備でニヤリと嗤っている少女に直撃した。



「やったっすか?」

「バカ!それフラグ...!」


「弱いね。ただ冷水掛けられただけ。」



なんと、普通にピンピンしていた。少なくとも傷ぐらいは付くと思っていたのだが...。



「俺に続け!!《焔天斬り》!!」

「うぉぉおおお!!!《電光石火》!!」

「《フローズン・ブレイク》!」

「《アイス・バレット》!」

「《ライジング・ショック》!!」



──ズババババッッッ!!!


──ヒュォォオオ!!!ズドドドドドドッッ!!!


──バヂヂヂヂヂッッッ!!!



俺が焔の槍突いた後にピードが凄まじい速度で少女に斬り掛かる。リオは氷魔法で周囲を塞ぎつつ攻撃し、他の奴らも後ろから攻撃魔法を絶え間なく放つ。


こうでもしないとあの少女は死なないだろう。



「酷いなぁ...まだ俺が喋ってる最中でしょ?」



───ブワッッッ!!!



「ぐっ...!」

「チィっ!」

「ぐぁっ...!?」


手を振り払っただけ。それだけなのに近距離にいた俺たち3人を風圧で弾き飛ばし、後衛の魔法攻撃を全てあらぬ方向へと転換させた。



「2人ぐらい消すか...。《アンチ・ライフ》」



──ズモモモモッ...!!



黒い霧が後衛に襲いかかる。後ろにいたやつの2人が音を立てずに死んでいった。



「「「「っ!?」」」」



「惨たらしく死んでいってね!次は...お前だ。」



───グヂャッッ!!!



突然巨大になった手をピードよりも速い動きでピードの頭を掴んだ少女はそのまま握りしめた。



「そ、総員撤た───ぐぁっっ!?」

「マオさん逃げま───がぁっ!!」


「ひぃっ!た、助け──!」

「俺は逃げ───!?」



───グヂャッ!ピチャッ...!



「あ・と・は〜...君だけだね?」



真っ白なキャンバスにぶちまけられた赤い絵の具。そこに残るのは赤い髪の少女シュレンと白い髪の少女マオのみだった。



「君は俺の手でゆっくり殺してあげる。」

「ぐっ...!は、離し...ぁぐっ...!かひゅっ...!」

「ふふふふふふ...見た目だけだけどこんな小さい女の子に首を絞められるってどんな気持ち?」

「ひゅー...ひゅー......ぁぅ...。」



皆と共に死ぬのか...そう思っていたマオ。



「───俺の妹から手を離せ。《覇王の一撃》」




───ズガァァァァァアアアンンッッ!!!



「がぁぁっっ!!?お、お前...。よくも...!」


「大丈夫かマオ...。」

「ごほっ!う、うん...ありがとうお兄ちゃん...。」

「ちょっと下がってろ。こいつは...ここで潰す。」



「...また会ったね魔王。」

「どうだ?痛いだろう?《覇王の一撃》は生きとし生けるもの全ての生物に対して10倍の特攻ダメージが入る。お前とてかすり傷でもないはずだ。」

「きひひ...俺をよく分かってるみたいだね。...ここは分が悪いか...また今度殺り合おうか...。」

「お、おい逃げるな!!」



そうして赤髪の少女は吹雪に呑まれ、消えた。



「お、お兄ちゃん?」

「ん、なんだ?」

「あの子...何者なの...?」

「...さぁな。俺も今調べてるところだ。マオも一緒に来るか?」

「うん!元はと言えばお兄ちゃんに会うために始めたゲームだしね。」

「ふっ...そうか。じゃあ着いてこい。」



一旦休戦と言ったところか。



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