第521話 資材
「お帰りなさいませマスター。」
「ただいまハルカちゃん!」
「おぉ...スズカに似ておるな。」
「そうなのよ!あやったら───」
「ああぁぁああああ!!!!言わないで!!」
「ふふふっ...いいじゃない。あやが私の事好きってことドールスさんも知ってるでしょ?」
「ん?あぁそうだな。」
「それとこれとは違うの!」
「ふーん?じゃあ私は言わないわ。」
「ほ、ほんと?」
「えぇ。」
「...ハルカお姉ちゃんはね、アヤネお姉ちゃんの好きがいっぱい詰まった姿をしてるんだって。」
「ほーう?つまりアヤネが1番好意的になれる姿がスズカだと言うのか...。」
「うわぁぁぁあ!!!なんで言っちゃうのウツロちゃん!!」
「あはは!どーせいつかバレるでしょ?なら今でもいいじゃん!」
「んぎゅぅぅぅ...!」
は、恥ずかしぃ...!でも今じゃなくてもいいじゃんかぁ...。
「ほらおいであや。」
「...ん。」
「私もあやに負けないぐらいあやのこと好きだからね。」
「......ん。」
「世界で1番愛してるわ。あやがいればあとは何もいらない。」
「.........ん?」
「たとえ世界が崩壊したとしてもあやがいれば私はそれで───」
「す、すず?」
「ん?なぁに?」
「な、なんでもない。」
「そう?」
なんだかすずがどんどん怖くなったからびっくりした。でもいつも通りに戻ったから問題は無いよね。あとみんな見てるからそろそろ離してもらってもいいかな?...え?ダメ?...そうですか...。
「...そうだ。ここ最近で空島で事件とか起こらなかった?」
「いえ。特に何もありませんでした。」
「そっか...良かった。それで、ミツルさんはどこにいるの?」
「ミツルさんは今日も見回りに出ております。」
「そうなんだ。久しぶりに戦いたいなぁ...。ってあれ?みんなどこ行ったの?」
「ドールスさんが鍛治場の様子が気になっているそうで、そちらの方に向かいました。」
「いつの間に...。」
私も鍛治場に向かおうかな。
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「うぉぉおおすごいなぁ!ちゃんと設備が整っておるとは!」
「ここならゴーレムとか作れるんじゃない?」
「そうだな!資材さえあれば余裕だな!」
「この島に資材なんてあったかしら...。」
私が入ると熱心な眼差しで鍛治場を眺めるドールスさんの声が聞こえてきた。道具とか手作りしてみたんだけど気に入ってもらえて良かったよ。
それとすずの言う通り、資材は私が持っている物以外ない。この島で採れる物も木材とダルニマリンぐらいしか採れないしね。
「しばらくは私が資材を渡すから安心してね。」
「おぉアヤネ!ハルカとの話は終わったのか?」
「うん。この島じゃ採れるものなんてほとんど無いからね。いつかどこからか供給できるようにするよ。」
「それはありがたい!いやぁまたゴーレムが作れるとはな!」
「喜んでもらえて良かったよ。」
ドールスさんの反応が思った以上に良かったので、私は鍛治場をあとにした。
次に向かうのはミツルさんのところ。久しぶりに戦いたいからね。それにウツロちゃんのことも聞きたいし。
そうして私はミツルさんを探すため、空へ飛び立った。...元から空に島があるけど。




