第513話 ダルニア城
───ダルニア国王都ダルシム───
「王よ。見つけて参りました。」
「おぉ!あの愚娘が創り出したホムンクルスをか!!」
「はっ。...今は別室にて拘束しております。」
「してお主。どうやって連れてきた?愚娘曰く並大抵の実力だと返り討ちに会うと聞いたが。」
「ゴーレム専用の伝達麻痺粉を使用しました。ホムンクルスとはいえゴーレムの上位互換。ゴーレム用に開発された体を動かす機能が停止する粉を摂取してしまえば簡単に無力化できると踏みました。」
「なるほど...。」
「...解剖は慎重にな。アレは愚娘が創り出したとはいえこの国の未来だ。無駄にすることは許さぬ。」
「承知。」
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「...が......ですな。」
「いや......機械......いい。」
ん...誰......?うっっ...か、体が言うことを聞かない...?なん、で...。
「ですが......では.........?」
「......もうこれしか......ない......。」
私の周りにたくさんの気配を感じる...。知らない人達だ...。私確かメルと一緒にお祭りに行ったんだっけ...。あれから知らない人に声をかけられてそのまま...。
「───王の命令だ!我らはホムンクルス:アイリスを何としてでも解剖せねばならない!!それは分かっているだろう!」
「っ!?」
わ、私を...解剖...?な、なんで?私何か悪いことでもした...?
「で、ですが医長!アイリスは人間のようじゃないですか!体全体がまるで人間族のように柔らかい...!!もしこの子がホムンクルスではなかったら責任は誰が取るんですか!?」
「えぇいうるさい!!王がやれと言ったんだ!我らはそれに従う他あるまい!!」
「ぐっっ!!...くそ...。」
王...?私を解剖しろって行った人は...どこかの国の王様、なの...?ますます疑問が湧いてくる。それこそなんで私なのか?私を解剖する目的は何?メル達はどうしてるのかなぁ...。
「しかしまぁ...いくら切断しようとしても全身が見たことも無い金属でできているせいで傷1つ付かないな...。」
「文献を漁りましょう医長。」
「私が行ってまいります。」
「任せたぞ。」
「はっ!」
私の体が思った以上に硬かったみたいで今のところは大丈夫そう...だけど、いつまでもこうしている訳にはいかない。私の居場所は...居場所は......
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──メルside
「...アイリス。」
囚われているのはダルニア国王都ダルシムにあるあの世界で最も堅牢と言われている城。上位の魔法でも浅い傷しか付かない城なのだから私じゃ壊せない。ドワーフが総出で造りだしたからか襲撃対策のための罠も完備だという情報も聞いた。
「最高傑作ね〜...。」
そして城の奥深くには王が直々に創った最高傑作...デストラクターとやらが眠るとも聞いた。超近距離、長遠距離どちらもこなす器用さ。そして魔法攻撃に対する完全防御という魔法使い殺しの化け物。...風魔法と治療魔法しか取り柄のない私には到底敵わない相手だ。
「...本当なら私1人でなんとかしたかった。」
今もこうしてただ我が主アヤネを待つしかできないのだ。
「...ごめんアイリス。もう少しだけ...待ってて。」




