第512話 応援
「なるほどな...。こちらでも裏で支援をしよう。表立ってすると何かと面倒だからな。」
「すみません...ありがとうございます。」
「ふふっ気にするな。だが...ご褒美ぐらい欲しいよな。」
「へ?うひゃっ!?きゅ、急にどうしたんですか!?」
「しばらく愛でさせてくれ。」
「ふぇぇえええ!?」
あのゴロツキ達のようにジリジリと近寄ってきて私に抱きついたウォリティアさんはどこか闇を感じる目をしていた。
「あ、あの...」
「ふふふふふふ...。」
「ひゃぁぁぁっ...!」
───なでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなでなで.......
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「───すっかり骨抜きだな...。」
「ん...。うぉりてぃあ、さん...?」
「なんだ?」
「そ、ろそろ...いかなきゃ...。」
「...そうか。私も存分に楽しんだし、頑張ってきてな。」
「ぅん...。」
「飛んでいくだろうし結界は任せろ。」
「?」
10分ぐらい撫でられ続け、ようやく悪魔の手から解放された。朧気だけど最後にウォリティアさんが何か言っていた気がする...。
「次は...すず達だね。」
『スズカ達には伝えといたから後で合流してね〜。』
「っ!そうだったメルはどこにいるの?」
「私〜?私メルにゃん。今貴女の肩にいるの〜。」
「肩?」
左肩にはいない...。右肩には...それはそれは小さいメルが肩に立っていた。何時ぞやのキノコのほうしを受けた私のように...。道理でやけに近くで声が聞こえるなと思ったよ...。ちなみに人形時代のアイリスにまで妹扱いされたことは忘れないから...。
「というかなんで小さくなってるの?」
『ふふん!可愛いでしょ〜?』
「可愛いけど...。」
『私の分身なんだ〜。他のところにもコレよりも小さい分身が沢山いるんだよ〜?』
「そ、そうなんだ...。...んー情報を集めるため?」
『そう!今のところダルニア国がドールスが創ったホムンクルスを探してたらしいんだよね〜。』
「ドールスさん...。」
ドールスさんが創ったということがバレているということは恐らくドールスさんに話を聞いている。...もしくは尋問、最悪の場合拷問も考えられる...。
『アイリスが見つかった今ダルニアのドワーフ達の実験台にされちゃうかも。』
「っ...。」
そんなの絶対にダメ。ドールスさんもきっと監視されているだろう。2人を助け出さないと...。国が相手?そんなのは知らない。敵は倒す。
「ダルニアで待ってるってすず達に言っといてくれる?」
『もう既にスズカ達も向かってるよ〜。』
「ふふっ...そっか。それじゃあ私も行くね。」
『うん。私も後で行くね〜。』
「それじゃあまた後で。」
『頑張ってね〜。』
「うん。」
メルとの会話が終わったと同時に彼女は液体となり、そのまま蒸発した。
「...行くか。」
そうして私は屋根まで跳んでいき、バネのように屋根を蹴りあげ、翼を広げた。
「あ、そういえば結界があったんだっけ...。」
『そのまま飛ぶといい。私が少し開けてやるさ。』
「へ?」
───ブゥゥゥンッッ...!
外壁までやって来たら青色の結界に阻まれていることに気づいた。そういえばウォリティアさんの魔法で守られていたなと思って地面に降りようとしたらその結界に大きな穴が空いた。
「ありがとうございますウォリティアさん。」
『ふふっ気にしないでいいさ。頑張ってきてな。』
「はい!」
そして、私は今出せる最高速度でダルニア国へ飛んで行った。...恐らくこっちで合ってるはず。




