番外編 囚われのお姫様
「...おい。さっさと吐け。」
「はぁ...そっちから追い出しておいて今更何の用だ。」
「決まっているだろう。貴様が造ったホムンクルスだ。」
「あぁ...あれか。でもアレは自分の意思で動いているし、もう何処にいるか分からんな。...お前たち来るのが遅すぎたな。」
「チッ...。ドールス...いやドールス・マチェルンテ・ダルニアよ。お前には謹慎を命ずる。」
「はぁぁぁぁ...まーた監禁か。シュリの時もそうだが、私には何か悪いモノでも憑いてるのか...?」
「何を言っている。まぁいいこいつを連れていけ。」
「「はっ!」」
「はいはい大人しくするから触るな。」
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───ガタンッ!
塔の最上階。構造的に逃げ場が1つしかないこの部屋の扉はとても重厚な物だった。
「はぁ...ここに来てからため息ばかりだな。」
ここ...王都ダルシムの中心にある一流の職人であるドワーフが造った大きなお城。私の実家とも言えるここはとても息苦しい。
「そういえば子供の時もこうやって監禁されてたな...。」
大人になってからは城を追い出されたからここに来ることは無かったが、この塔の造りはゴーレム専攻の私の目から見ても凄い。
素朴ながらも頑丈過ぎる懐かしい机を撫で、唯一一つだけある窓に向かう。
「...景色は悪くないんだけどな。」
監禁生活の中で私が心癒される瞬間はこの景色を見た時。もうひとつあるのだが、それはゴーレムを造る時なのだから何も無いこの部屋ではできない。
あぁ、そうだな。私が何故追い出されたのか話してなかったな。
あれは確か...62年前か。私がまだ小さい時の話。
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「お嬢様おやめ下さい!」
「ふぇ?だってたのしーもん!」
「はぁ...何度も申し上げましたが、お嬢様の手にあるそれは我が国の最新鋭の実験器具です...どうか壊さなぁぁぁあ!!!?!!?!?」
──バキッ!
「...しばらくここで頭を冷やしておけ。」
「はーいおとうさま。」
「はぁ...。」
小さい頃はこのようにやんちゃばかりしていた。しかも物を壊すタイプのやんちゃだ。さらに言うとその物はほとんど父の実験器具だった。
当然のように国の発展のための物を壊した私は塔の最上階の部屋に軟禁されていた。なんで子供が入れる場所にそんな大事な物があるのかって?もちろんあったさ。父直々に造った10桁の暗号が。しかし私には簡単だった。ただそれだけ。何度変えたとしてもすぐ解けちゃう。父の...人の考えることは簡単に分かる。
「...ドールス。お前はもう成人した。ここから出ていけ。」
「えー...なんで?」
聞かなくてももう分かるだろう。
「お前がいるとこの国が発展しない。お前は王女であったが故追放はしない。さぁ選べ。一生塔に軟禁か、はたまた王都以外の街で1人暮らすか。」
正直塔に軟禁でもいいかなって思ってたんだけど、私の研究欲求が満たされないからこの城を出ていった。
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とまぁこんな感じだな。...内容が薄い?知らんがな。
さて、そんな父だが、追い出された後も私の研究結果を奪ってきた。...とはいえ簡単な研究結果だけ送り付けたからな。私の命であるゴーレムの研究結果は送らなかった。
それなのになぜ今になってホムンクルスが見つかったのか。考えられるのはアヤネ達が言いふらしたとかだが、あの子たちの性格上そんなことはしないということは分かりきっている。
...この長い長い監禁生活で考えてみるかな。




