第492話 水龍祭
「...おはようアリス?」
「っ!?ち、違うんです!これは...その...ち、違います!」
「何が...?」
ログインすると私の目の前にアリスの顔があった。思わずびっくりしちゃったが、それはアリスも同じようで顔を赤くしてとても慌てていた。とても可愛い。
ちなみにすずは未だに隣で寝ている。というのも今日は来客があるらしいのでログインするのが遅れるそうだ。
「そ、そういえばですね!今日は月に1度ある水龍祭なんですよ!」
「...露骨に話そらしたよね?まぁいいや。その水龍祭ってなんなの?」
「うっ...そ、そうですねぇ...水龍というのはこの国の女王様のことを表しているみたいで、この国...というか都市を護っている女王様に感謝するためにあるお祭りみたいです!」
「なるほどー...。」
水龍祭ねぇ...。女王様と水龍、どういった関連性があるか分からないけとお祭りは楽しそうだよね。
「...そういえばアイリスとメルは?」
「あの子達は先にお祭りを楽しんでます!ちょっと前から何かと対立することが多かった2人ですけど、最近は仲がいいみたいですよね。」
「言われてみれば...そうかも?」
メルがアイリスを追いかけて、アイリスがメルから逃げる...。これがいつも見ている光景だったのに、最近メルが猫耳を付けてからアイリスがメルを撫でている人に嫉妬しているように見える。...まるですずのように。
「...誰が私みたいだって?」
「ひにゃぁぁぁっ!?!?!?」
「あ、スズカさんおはようございます!」
「えぇおはよう。それで?だぁれが私みたいだってぇ??」
「ひぅっ...そ、その...ね?」
「嫉妬?」
「えぇっ!?なんで分かったの!?...あ」
「へぇ...?」
「戦略的撤退!」
───ガシッ...!
「あ、アリス...?離してくれないかなぁ...?」
「...アヤネ...ごめんなさい。」
「ぁぁぁぁ...!」
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「ぁ...う......。」
「...ちょっとやり過ぎちゃったかしら...。」
「...アヤネはくすぐりに弱いですもんね...。」
「...嫉妬、かぁ...。」
「どうしたんです?」
「いえ、なんでもないわ。.........そんなの私が一番分かってるわよ...。」
「?」
「ほらあや起きて?」
「んぅ?」
「お祭りに行くんじゃないの?」
「...そう、だっけ?」
疲れすぎて寝ているとすずが起こしてくれた。そういえばアリスとお祭りについて話してたっけ。
「水龍祭...どんなものか。この目で確かめさせてもらうわ!」
「スズカさんがいつもより積極的です...!」
「そうだねぇ...すずは昔からお祭りが好きだもんね。」
「べ、別にそんなんじゃないけどね?」
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「凄いです...!」
「そうね...。...一晩でここまで変わるのね。まぁゲーム内だから準備は3日か。いや、それにしても凄いわね...。」
「提灯がいっぱい...。」
「これほど明るければ夜でも安心ですね。」
「もぅアンナったら...少しぐらい楽しんでも良いのよ?」
「ですが...。」
せっかくのお祭りなんだから楽しまないとね。あ、水饅頭だって。でも私の知ってる水饅頭じゃなくて、味が着いた水が饅頭の形を保っている物だ。水分補給にはもってこいの物だろう。
「ねぇねぇコレ見てよ。」
「んー?」
「デフォルメされた水龍のぬいぐるみだって。」
「か、可愛いです...!」
「人型...?ってことは女王様の方ってこと?」
「そうみたいですね。」
ジト目と呼ばれる目をしたぬいぐるみの髪は深い海の色をした紺色でこれまた真っ白な白衣?のようなものを着ている(着せられている)。頭には私のモノとはちょっと違うけど立派な銀の角が生えていた。
どうやら私と似たような存在らしい。
『...全く別物だけどね。』
『久しぶりに声が聞けた気がするよ。』
『...。』
スカーレットが元気そうで何よりだ。最近はスカーレットが口出しすることが無かったから心配してたんだよね...。




