第491話 修行
師匠からの技攻めを無傷かつ技無しで逸らせるようになったとはいえ、修行が終わるかと言えばそうではない。
───ドスッッ!!!
「く...ぁ......!?」
間一髪急所を外せたが、それでも手痛い一撃を貰ってしまった。それでも師匠は攻めの手を緩めない。青い痣はできるだろうが、斬り傷よりはまだマシ。
『...刀での防御は完璧になったな。...ほんとにお前は...。いや。ここまで来たからにはこれもやらないとな。』
そう言った師匠は一瞬で私の刀を取り上げ、異空間に仕舞った。つまり...
『...いつでも武器があるとは限らないよな。防御面はこれが終われば今度こそ終わりだ。』
『そうなんですか?』
『あぁ。武器無しの次なんて無いだろう?...まぁ他の超人の能力を覚えさせるのも良いが...。』
『?』
『何はともあれ。これが終われば卒業...なんてのは無い。』
『まぁ...そうですよね。』
『あっはっは!次は攻撃面だな。張り切っていけよー。』
『はい!』
『いい返事だ。』
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──スパパンッッ!!ドゴッ!!
「ぐゥゥッ!!」
「ほれどうした?刀と技が無いとなにもできないのか?」
「っ...!」
師匠の剣の軌道に合わせたいのだが、いかんせん技を使ってくるものだから軌道がぶれるぶれる。そんな技が同時に多方面から襲いかかってくるのだから合わせようがない。
「ちゃんと見ろ。まずは1つずつ対処できるようにしろ。話はそれからだ。」
「っ...はいッ!!」
師匠の剣の軌道を逸らすためには師匠と同じ速度で剣の側面を叩かなければならない。でもその肝心な剣がぶれているため叩きようがない。
そう考えているうちにも体に傷がついていく。
まだ大丈夫。考えろ私...。
───ズパパパパパパパッッッッ!!!!!
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──
「...ごれ゛だぁ゛ぁ゛ッッ!!!」
「うぉっ!?」
剣がぶれてタイミングが掴めない?それならば体に当たるタイミングで逸らしてしまえばいいだろう。本の数ミリ。そこまでこれば剣の軌道が分かる。体に当たる前に勢いよく拳をぶつければいい。
───ガンッッッ!!ズバァァァアンッッ!!
私の左肩を斬るはずだったその剣は私の拳を受け、左側に逸れて行き、左足のすぐ側の地面に大きな切れ込みを入れる。
「はぁぁ......はぁぁ.........。」
「...ははっ。やるじゃねぇか。」
「は、い...!」
「だがもう無理だな。」
「ぇ...。」
────トスッ...
足に力が入らず倒れてしまう...ところで師匠に受け止められる。
「...今のは勘だっただろ?」
「うっ...そう、ですね...。」
まだ私は剣が体に当たるタイミングが完璧に理解できていない。さっきのは勘だった。それがたまたま上手くいったってだけ。だけど、さっきの感覚は覚えている。あと数十回やれば完璧になるだろう...。
「もう休め。傷はアイツに治させるから気にすんなよ。」
「いつ、も、通りです、ね。実際に会った、こと...ないです、けど。」
「はっはっは!そうだったな。......良くやったな。」
「...。」
師匠、言葉が聞き取れなかったです。もう1回言って...もらえ...せん...?
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───???side
「お呼びでしょうか?勝様。」
「よォ来たな。いつも通り彩音を治してやってくれ。」
「...かしこまりました。」
いつも毎朝5時ぐらいに勝様に呼ばれ、参上する。毎日のように生傷が絶えない彩音ちゃんの体を見るのは辛いですが、治すためにはちゃんと隅々まで見ないといけない。...彩音ちゃんが修行を止めてくれれば陰ながらサポートするだけで良いんだけど...。
「...。」
彩音ちゃんは絶対に死なせないよ。...まぁ私よりも強くなった彩音ちゃんに言うのもアレだけどね。でも隠密と治療は一流だから。
いつもの笑顔見せてね。
はい。息を吸うように新キャラ出していくスタイル。




