第480話 不意打ち
「このお水美味しい...。」
「はっはっ!だろ?地面から湧き出た水を濾過してるからな!大地のミネラルたっぷりだぜ!」
「これが100Gとはね...。」
「そうだな!俺らはただ水を濾過しただけだしな!ガハハ!」
へ〜この人たち優しいなぁ...。このゲームの住人さん達は皆優しいよね。
「...あや。必ずしもこの人達みたいに誠実な人ばかりじゃないわよ。」
「そ、そうなの?」
「えぇ。でも今は気にしなくてもいいわ。...私たちが守るから。」
「?」
「はっはっはっ!人気者だな!」
「店主も分かっちゃう?」
「そりゃもちろんだ!」
「???」
私をおいてけぼりにして話が進んでいく。まぁすずが楽しそうならいっか。とそんなことを考えていると
『 ────そう!今こそ我らは変わるべきなのです! 』
『この世界は腐敗している!それを止めるにはこの聖なる清め石を世界に広めなければならない!それに!この聖なる清め石は持っているだけで金運等が諸々上がります!』
『今ならなんと!この聖なる清め石を10000Gで売りましょう!!どうです?』
「あや...。あれは詐欺よ。」
「えぇ!?そ、そうなの?」
「あー...あれは最近この街に居座ってる奴らだな...。宗教の勧誘だろうけど胡散臭すぎて誰もあの石を買わねぇんだ。」
「それなのにまだ居座ってるの?」
「あぁ。でもこの街に来たばかりのやつにたまに買うやつがいるな。何を思って買ってるんだか...。」
「ねぇ見て見て〜この石綺麗だから買ったんだ〜!」
「...なんかすまねぇな。」
「...いえ。」
噂をすればなんとやら。いつの間にかメルがあの胡散臭い石を買ってきたようだ。...でもまぁお金は結構あるし、たまにはこういう使い方をしてもいい...のかな?
「おぉ!これはこれは!竜人様ではないですか...!!」
「?」
メルが買ってきた石を見ながら苦笑いしていると、突然話しかけられた。
「竜人様はこの世界での豊穣の象徴...。我らの宗教にピッタリなお方です!是非我らの宗教に入信しませんか!?」
「すみませんが入らないです...。」
「ねぇ私のあやに何言ってんの詐欺師さん?」
「詐欺っ...し、失礼ですねぇ!私はこの世界の意思に従って行動しているのです!貴女のような低俗な方に詐欺師などと言われたくないですねぇ!」
「ふーん...。じゃあ私たちはこれで行くわ。」
「え、ちょっとすず?」
「こういうのは無視が1番よね。」
「わ、分かりました!」
「...何が?」
「......いくらです?いくらで入信してくれますか?」
「とことんクズね。行くわよ皆。」
「う、うん。」
「アヤネ、ウツロちゃん...大丈夫ですか?」
「大丈夫。」
「ん...。」
「くそが...馬鹿に、馬鹿にしやがって...!神の鉄槌を下せ!《ホーリー・ハンマー》!!」
───ヒュッッッ...!!
「...。」
───ズガァァァンンッッ!!!
「おい。今のは殺す気で撃ったよね?」
「あ、あや...?」
「なにか言えよ。」
「ヒィッ...。す、すみませ───」
「次目の前に現れてみろ。...今度は殺すから。」
傲慢な人も不意打ちも...嫌いだ。いや、正確には私の近しい人に対する不意打ちが嫌い。




